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レバノン:名誉殺人を禁ずるファトワ

カテゴリー: レバノン, 女性/ジェンダー, 宗教, 芸術・文化

レバノン人男性とのつきあい方のルールから、ラミア(訳者注:ギリシャ神話に登場する頭と胴体は人間の女で下半身がヘビの怪物)という名前の意味に至るまで、名誉殺人 [1]を「汚らわしい行為」だと評したシーア派最高位聖職者による名誉殺人禁止のファトワ(宗教的訓告)に関するブログをしめくくる。

レバノン人男性との付き合い方

ひとつめの投稿では、男女関係に注目する。Lebanon Reporter [2]は、ベイルートでは女性が押さえておくべきルールがいくつかあるということを発見した。そのルールとは、レバノン人男性とつきあうとき、間違ったメッセージを送らないために必要になる。

ベイルートを闊歩する女性は誰であれ、とりすましているように見える。だからといって彼女たちが本当に傲慢なのかといえば、そういうわけではない。それは単にうわべだけの問題だ。王女のようにふるまわなかったら、何もなしとげられないし、どこにも行けないのだ。あるいは、へたをすると、男性に間違ったメッセージを送ることになってしまうのだ。
好きでもない男性に話しかけられたら、どうしたらよいのか?

1)心底つまらなそうにする。眉をつりあげて、うさんくさそうな表情をつくり、あくびをする・・・ 「あんた、くだらないわね」と顔で伝えるというわけだ。

2)忙しいふりをする。何か読む、今すぐ混雑している道路を渡る、ボーイフレンドに会う、なんでもよい。しかし、結婚していると言ってはいけない。そう言ってしまうと、横に夫はいないし、今は別の男性と楽しげに話しているし、あなたは誰か別の男性との出会いを求めているのだろうと思われてしまう。

3)無視する。「お名前は?」とか「ご出身は?」と聞くことは、何気ない質問のように思われるかもしれないが、それを聞いてしまうとその男性を遠ざけることはできなくなる。

4)そこを仕切っているのは私だといわんばかりに、肩をそびやかして歩き回る。決して目を合わせてはいけない。

5)絶対に、笑顔を見せてはいけない!厳禁!

芸術と神話

Einmal-Ist-Keinmal [3]は、セミヌードの「ラミア」の美しい絵をポストした。アラブでは、ラミアという名前が非常に多い。Einmalは、ラミアに込められたギリシャ神話における意味と、アラビア語での意味を説明している。この2つは、真逆とまではいかなくとも、まったく異なる。

ギリシャ神話では・・・
ラミアとは、子どものいない、執念深く冷酷な母親のことだ。他人の子どもを食らって自分の子どもの死をうめあわせる。

アラビア語では・・・
美しく暗い唇を持つ女性
やわらかく、繊細な唇
黒く硬い槍
暗く覆い茂った木々

宗教

最後に、Human Province [4]は、レバノン人シーア派聖職者大アヤトラ・ファドララ [5][En]によるファトワについてまとめている。これによると、ファドララが名づけたように、名誉殺人や名誉犯罪を禁じている [6]。これは、主に家族あるいは親族の男性が女性に対して行なう殺人という犯罪だ。その動機は、彼らが容認できない性的関係あるいは行為を女性が行なったからだという。

木曜、レバノンで最高位にあるシーア派イスラム教聖職者が、性的不品行を行なった女性親族を殺害する行為は「汚らわしい行為」だとして、名誉殺人を禁じるファトワを発布した。
アヤトラ・ムハンマド・フセイン・ファドララが発布したファトワは、高名な聖職者がこの習慣を非難したきわめて稀なケースだ。ファドララ側は、名誉殺人が増えているとの報告に警告を発する意味を込めたのだと話している。

レバノンでは興味深いブログが数多く投稿されている。

原文:Moussa Bashir [7]