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ロシア:ベスラン事件に関する新たな映像とYouTube

カテゴリー: ロシア, テクノロジー, デジタル・アクティビズム, メディア/ジャーナリズム, 人権, 戦争・紛争, 抗議, 政治, 歴史, 法律, 若者, 行政

2004年にベスラン学校人質事件 [1]が起きてから9月で丸3年になる。この事件は331人が犠牲となって終わったが、このうちの186人が子どもだった。

また、モスクワにあるドブロフカ/ノルド・オスト劇場が占拠された事件 [2]から、10月23日で丸5年を迎える。事件では人質となったうち、少なくとも129人が犠牲となった。

Marina Litvinovich(マリーナ・リトヴィノヴィッチ/ベスラン事件に関わる書類の全てをロシア語で参照できるようにしたPravdaBeslana.ru/Truth of Beslanの開設者)の投稿に寄せられたコメントに、米国在住の読者がこの事件におけるプーチンの責任について問う質問 [3][Ru]があった。

san_diegan:

・・・あなたや他の人の記事を読んで、困惑しました。ノルド・オストやベスラン事件が「社会体制がもたらした犯罪」とみなされるのはなぜでしょうか? あなたの記事以外にもそうした意見を読んだことがありますが、私の考えは違います。ノルド・オスト救助本部は責任を負うべきだと思います。ベスランでは完全に混乱していたのですから。しかし、「犯罪体制」という決め台詞のような一語は、ノルド・オストやベスラン事件の実行犯が気づかないうちに疑いを晴らすという、それ以上の失敗を隠してしまいます。テロリスト・・・ テロリストは全く悪くないとまで思わせるようになっています。同じ年、飛行機二機が爆破された時(2004年8月24日 [4]にロシア国内線二機が爆破された事件)、誰彼かまわず搭乗させて賄賂を要求した警官が犯罪的過失を犯したことは明らかです。しかし、この警官が社会体制なのでしょうか? 飛行機を爆破した犯人は有罪です。それは疑うべくもありません。この文脈では類似点の説明になりませんが、左寄りの米国人ジャーナリストが9.11について何を書いているのか、私には正確なところはわかりません。3000人の米国人を即死させ、米国のシンボルを破壊させたことをテロリストではなくFBIやCIAのせいにしているのでしょうか?読み書きが十分に出来るとは言えないベスランの警官と違って、FBIやCIAは好きなように処分できる膨大な資料を持っているのに?

これに対するMarina Litvinovich [5][Ru]のコメント:

あなたの意見は正しいと思います。ノルド・オストやベスランに関しては、作戦本部が行なった犯罪もありました。私たちはよく「体制による犯罪」について語りますが、それは、私や私以外の人も含めて緊急事態ではどのように物事が決定されていくのか知っているからです。重要な政治的決定を下しているのはプーチンです。それ以外は、FSB(連邦安全保障局)長官、MVD(内務省)長官、その他彼らの部下などが決定します。ベスラン事件では、『交渉の余地なし』として『突撃準備』を命じたのはプーチンとFSB長官Nikolay Patrushev [6]、MVD長Rashid Nurgaliyev [7]でした。ノルド・オストで指揮していたのはプーチンでした(私はこの目で見たんです)。(注:Litvinovich はかつて、Gleb Pavlovsky’s Foundation for Foundation for Effective Politics [8]のインターネット部門長を務め、2000年のプーチンの大統領選にも関わった)

テロリストや彼らが犯した罪に関しては、彼らはすでに処罰されています。ありがたや。

私たちがここで議論しているのは、ベスランやノルド・オストで不法な誤った決定を下した輩が誰一人として裁かれていないということ。

9.11では、米国政府は犠牲者を助けようとしたし、私が知る限り、消防士や救助隊員などは素晴らしい仕事をしました。

ノルド・オスト事件では130人が犠牲になりましたが、私が正しければ、テロリストによって殺害されたのはこのうちの3人だけです。残り127人の犠牲者に対する責任を負うべきは誰なんでしょう?

ベスランでは330人が犠牲になりましたが、テロリストによる犠牲者は大体40人です。それ以外の犠牲者に対する責任は誰にあるんでしょうか?

もう何年も公式調査が行なわれているが、ノルド・オストやベスラン事件に関するこうした疑問はまだ解消されていない。

ベスランに関しては、9月3日午後1時前後に1000人の人質が閉じ込められた体育館で起きた2件の爆発の原因が謎のひとつだ。ロシア当局は、体育館周辺に並べた手製爆弾をテロリストが爆発させたとしている。が、最近発見されたビデオ [9]では、損害の程度からして体育館内で爆発したとは考えられないというロシア人爆発物専門家の発言がある。これは、当初の爆発は特別部隊によるものだという主張を裏付けるように思える。

7月30日、Marina LitvinovichはYouTubeに新たに投稿した [10]。彼女は、短期間に多くの人に情報を提供することができたとして、喜んでいた [11][Ru]。

今朝の6時までかかって、2004年9月3日から4日に起きたベスラン事件のビデオクリップ [12]を完成させてアップしました。検察当局の映像です。作業中、ウォッカをくいっとあおって酔っ払ったように感じました。なぜかというと、全部を見ることができなくなったからなんです。

スペース節約のため、ビデオクリップはYouTube (pravdabeslana [13])に投稿しました。後になってそれがよかったことがわかりました。YouTubeを見る人は多いから! クリップへのリンクは私のブログにしか張っていませんが、それでもすでに数百人がこのクリップにアクセスしていますし、今日はKasparov.ru(競合するサイト)からもアクセスがありました。

しかし、7月31日、検察局当局者による9月4日の尋問の場面のうちのパート6とパート8が削除された。Litvinovich [14][Ru]によると:

削除は、正しいとも言えますが、正しくないとも言えます。

パート6では、自爆した女性の頭部と脚部が映っていたし、パート8ではテロリスト2人の遺体が映っていました。

何をどう言い表したらよいのでしょう? これは尋問の現実を伝える場面であるのに - 私はあるがままのものをアップにしたにすぎません。事実は事実ですし、編集はしていません。閲覧する人が気分を害しないように、あちこちに警告文を掲載しています。編集して遺体をはずすべきだったのでしょうか? いや、それが正しいとは思えません。

もちろん、YouTubeが慎重になるのは理解できます。しかし、この場面は他にはないものなのです。実際に存在しているものなのです。YouTubeほどのアクセスしやすさはないでしょうが、だとしたら、どこにアップしたらよかったというのでしょう? もちろん、いずれこの問題は解決できるでしょうし、PravdaBeslana.ruにもアップはしています。しかし、このサイトだと、この問題に関心のある人全てが見てくれるわけではないでしょう(特にロシア語を話せない人は・・・)。

Litvinovichは「妨害」を受けていると疑う読者などは、この映像は「非常に政治的であり歴史的」なもので掲載しておくべきだと、YouTubeに抗議したらどうかと提案した。しかし、結局、LJ userは、検閲のように思われた当初の行為の説明 [15]-YouTubeコミュニティのガイドラインを明らかにした。

生々しい暴力、意味のない暴力は許可されません。怪我を負わされている場面や攻撃を受けている場面、屈辱を与えられている場面などがビデオに含まれている場合は、投稿しないでください。

YouTubeは衝撃映像のためのサイトではありません。事件や遺体などの気分を害するようなビデオは投稿しないでください。これには、衝撃を与えるとか嫌悪感を与えることを意図する戦争映像も含まれます。

この投稿ビデオの12のパートの全て、また、関係する映像のいくつかはPravdaBeslana.ruからダウンロード [12]できる。赤字で記してある免責条項には、「子どもや情緒不安定な人」このビデオを見ないでください、と明記してある。

原文:Veronica Khokhlova [16]