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ウクライナ: 言語問題

カテゴリー: One month, First Post!, Two Posts, Three months, ウクライナ, ロシア, 人道支援, 国際関係, 政治, 教育, 歴史, 民族/人種, 法律, 移住と移民, 芸術・文化, 若者, 行政, 言語, 言論の自由, 選挙

ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ [1]率いる地域党 [2]はウクライナ語に加え、ロシア語もウクライナの公用語と認めるための国民投票を要求している。

TarasはUkrainianaの中で、2001年の世論調査結果を挙げてこの発議が見当違いであることを指摘している [3]:

[…] 全国的に、77.8パーセントが自身をウクライナ人と認識しているのに対し、ウクライナ語を自身の母語とみなしている人は67.5パーセントにとどまる。

質問: どちらの言語を保護するべきか?

Tarasはコメント欄のなかで言語問題についてさらにこのように書いている:

[…] もし、(ヤヌコーヴィチ)が2つの言語を求めるというのなら、彼は同胞のドンバス(地方)の人々にもウクライナ語を教えるべきだろうね。それにクレムリンとも働くべきだ-クレムリンのために働くんじゃなくーロシアに300万人いるウクライナ人コミュニティーのためにね。

ところが、彼と地域党はソビエト時代のロシア化政策の残した対立と断層を肥やしに生きながらえているんだ。

[…]

キエフ人の私はウクライナ語もロシア語も同じくらい話す。公私ともにロシア語を話すに当たって不安や制約を感じたことは今までの人生で一度もない。しかしはっきりと覚えているのは、ウクライナ独立の幕開けの頃、私が自分の母語を話した時に幾人かの人々が私に見せた敵意の目だ。

私はどの言語に対しても反感を持っていない。しかし、ウクライナをロシア帝国の植民地にしようと考え、自分達の言葉ではないウクライナ語を学ばずに済むように仕向ける人々に対しては反感を持っている。[…] もちろんロシア語を話す人すべてが愛国心を持っていないということではない。キエフは依然としてロシア語話者が多数を占める街であり、78パーセントの人々が2004年の三度目の大統領選挙でユシチェンコに投票したのだ。[…]

さらに、MarginaliaのPeteris Cedrinsは、Tarasの投稿へのコメントとして、言語問題への事例と結論としてラトビアでのやり方を勧めている:

[…] 別の言語を学ぶというのは、足し算であって引き算ではない。自分の国語を守るということは、バイリンガル能力の不均衡を軽減することであってロシア語を消し去るということではない。

ジャーナリストのOleksandr Paskhoverは雑誌Korrespondent でヤヌコーヴィッチにインタビューをしたが、自身のKorrespondent.net内のブログでヤヌコーヴィチの国民投票発議についても書いている [4] (ロシア語):

Korrespondent誌のインタビューの間、 […]ヴィクトル・ヤヌコーヴィチは私が質問する以上に質問を投げかけてきた。もう「誰が誰をインタビューしている」のか本当にわからなくなってしまった。なぜ選挙運動が悪口の言い合いに成ってしまったのかと質問すると、彼は「私が誰かを侮辱しているのを今まで聞いたことがあるんですか?」と聞き返してきた。公用語としてのロシア語の位置づけについて質問すると、彼は「ロシア語を正式な位置づけにすることのどこが悪いんですか?」と私に質問してきた。

少し補足しよう。しかし別の視点からのアプローチだ。もしウクライナでロシア語が外国語としての位置づけをされれば、第二公用語としてよりもより多くの利益を得るだろう。今年の初め私の子供たちの中学校ではロシア語の授業が減らされた。空いた時間にはフランス語や英語、ドイツ語の授業が当てられた。私はデュマやジダンやルパンの言語に何も反対はしないが、中途半端なフランス語よりはきちんとしたロシア語の方が私の子供達にとってはずっと有益だと思っている。学校当局が説明するには、ロシア語は外国語ではないから、外国語として割り当てられていた時間を教育省が削ったのだそうだ。大臣達よ。どうかロシア語を外国語としての地位に戻してくれ。そして私の子供達に英語やドイツ語と同じように勉強させてくれ。週に5時間ね。

この投稿に対する議論は現在1週間以上続けられている。あるときには乱闘に発展したこともあるが、また言語の抹殺(Linguicide) [5]についての長い講義がされたこともある。これはある読者が数回に分けて投稿したものだが、ここに抜粋したものの翻訳を載せておく。 (ウクライナ語・ロシア語):

Ihor_Dudnyk:

ヴィクトル・フョードロヴィチ(ヤヌコーヴィチ)は多言語国家であるベルギーについて聞いたことがあるのだろうか。かの国は今にも分裂しそうな状態にあるが、言語問題が分裂の最大の理由のひとつなのだ。

ロシア語をウクライナの第二公用語にするということは、国家を分裂の危機に立たせることになる(ベルギーがその例だ)。そしてウクライナ語が撲滅させられるのだ(ベラルーシではロシア語によりベラルーシ語が撲滅されかかっている。それが一例だ)。

サーシャ。君はヴィクトル・フョードロヴィチにこれらの国の言語がおかれている状況をもっと学ぶようアドバイスするべきだった。そうすればそんな質問をしてこなかっただろう。

Leading:

Ihor_Dudnyk。僕は、ロシア語や他の言語の問題というのはウクライナには存在しないと思う。この見せ掛けの問題は選挙があるたびにクローゼットの中から引っ張り出され、ほこりをはたいて、ほこりを払われて群衆の前に差し出されるのだ。 そして選挙の後はクローゼットの元の場所に戻されるのさ。[…]

Petro-syanko:

[…] 言語問題は解決不可能だよ。というのは、憲法改正には300票が必要だからね。もちろん地域党は議員達を買収することはできるけど、そのお金は無駄になって、 見返りはないんだろう。彼らが次の選挙に訴えるための話題は他に何があるだろう? […]?

Chif:

ロシア語問題は風船のように膨らんで誇張されているよ。 […]僕の大学には母国のいろんな場所からの友達が来ている。いい例なのは、僕のグループの中の一番の仲良しは リヴィウ、ビーラ・ツェールクヴァそしてセヴァストーポリから来ている。言葉は彼らの友情に何の問題も引き起こしていない… ハビエル・ソラナはこんな風に言っていたよ: ウクライナはロシア語についての国民投票よりもさらに大きな問題を抱えている。って。

svs02:

きっと誰も考えたことがないんだね…第二公用語の導入にどれだけの費用がかかるかってことを。 […] あらゆる法律、文書等は2つの言語で読めるようにしなければいけない、とかね。つまり、僕は一国民として、どんな機関や交流(文書を含む)をどちらの公用語でも行う権利があるということだよね? ドネーツクからの役人がウクライナ語で僕に話しかけないなんて事はないし、その逆にイヴァノ・フランキフスクでロシア語でコミュニケーションを取れないなんてことがないんだね? そうでないなら、僕は公用語の概念を誤解しているのあかな???

そして道路標識や建物…これらもたぶん両方の言語で書かれていないといけないんだよね? [sic]

Petro-syanko:

“そして道路標識や建物…これらもたぶん両方の言語で書かれていないといけないんだよね? ”

おお。(もし標識が存在するならすばらしいね)たとえそれが1つの言語でも、勝手に作られたものでもね :-)

Gm:

第二公用語の支持者に告ぐ:

君たちはロシア語の「ため」というが

そうじゃない。

実のところ君たちはウクライナ語に「反対」しているのだ。

ウクライナではロシア語に対して何の脅威もない。それにロシア語にはロシア連邦という本拠地がある。そこでロシア語は発展しつづける。

しかし、ウクライナ語にはどこにも避難する場がない。

ウクライナがその本拠地なのだ。

そして、それゆえに君達の立場は道徳心がないといえるのだ。

Gm:

昨日、キエフのユーロスター書店にいったところ、男性客と若い店員の会話を立ち聞きした。その会話はウクライナ語で、ウクライナ語のSF小説はあるかと男性は尋ねていた。店員は丁重にないと答えた。すべての本はロシアの出版社から発行されており、ロシア語の本しか手に入らないとのことだった。男性は何も買わずに立ち去った。

僕はその店員にこの書店には全部で何冊のウクライナ語の本があるのかと尋ねた。彼が言うには大体60-65冊あるが、残りの4,000-4,500冊はロシア語だということだ。そして先月は入荷がなかったとそっと付け足した。

僕はさらに、それは会社の購買方針なのかと尋ねた。彼はそのようだと答え、彼の意見としては、意図的にやっているのだと言う。というのも、ロシア語出版社から出ている本よりも値段が高くてもウクライナ語の本に対する需要があるからだそうだ。

原文: Veronica Khokhlova [6]