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日本:イルカと「ヒーロー」たち

カテゴリー: 日本, メディア/ジャーナリズム, 国際関係, 抗議, 民族/人種, 経済・ビジネス, 芸術・文化, 行政, 食

(訳者注:抗議に参加していた有名人の中に、テレビ番組『Heroes』に出演している女優がいた。題名はそれをもじったもの)

今週、英語圏のメディア [1][En]やブログ [2][En]では、コメンテーター [3][En]や有名人 [4][En]、そして活動家 [5]などが、和歌山県太地のイルカ漁 [6][En]について発言した。憤慨した漁師の映像と、屠殺される寸前のイルカと「水を共に」しようとする金髪の西洋の有名人の画像とがぶつかり合った。英語圏のブログやフォーラムでは大半が抗議を支持 [7]した一方で、日本人ブロガーの意見は異なるものだった。

Fisherman at Taiji [8]

Hayden Panettiere [8]

日本のメディアではこの抗議のニュースがほとんど報道されなかったため、この問題についてブログに書いたブロガーの多くは海外在住だ。ドイツ在住のブロガーkakinomoto [9]は抗議者たちの立場を支持している:

海外では大々的な非難を呼んでいるこのニュースですが、日本では報道されていないようです。
シーシェパード、日本のイルカ追い込み漁に抗議 [10]

このニュースはドイツではトップ扱いでした。
シーシェパードのような大金の動くビジネスまがいの団体には、普段、個人的に疑問も多く持っています。
しかし、このニュースに関しては、シーシェパード側に少なからずも賛同せずにはいられませんでした。

まず、イルカの追い込み漁という方法自体が、世界で禁じられていることを無視している日本。
なぜ禁じられているか。
それは殺し方があまりに惨いからです。
イルカの追い込み漁の日本における歴史は残念ながらよく分かりません。ですが、文明や産業・技術が発達した日本で、そのような惨たらしい方法で漁をする必要が本当にあるのでしょうか。

そして最大の問題は、このニュースが日本で報道されていないことです。
これは報道規制ですね。
先進国として、ますます許されないこと、そして恥ずかしいことだと思います。
報道がされなければ、日本人の多くは「日本で何が起こっているか、そしてそれが海外でどういった見方をされているか」が分からずに、まっとうな議論さえできないのではないでしょうか。

フランス在住のブロガーabcnt [11]は、ビデオを見た外国の人びとがどう思ったかと考えている。

今やすでに季節の風物詩的な扱いなのですが、
先日また朝のニュースで日本人のイルカ捕獲の壮絶シーンが伝えられていました。
しかも今回は声を荒げて抗議活動に抗議する男性の映像も。
ことニホンジンに関しては普段にこやかでおとなしい映像しか見たことないので
そっちのほうがショックだったフランス人も多いかも。

しかし、ブロガーの多くはこの出来事に関して懐疑的だ。アイルランド在住のブロガーT [12]は、英国メディアでのこのニュースの報道に対して不満を表している:

私は結婚してアイルランドに住んでします。先日、11月1日に、イギリスが世界に流してるskynewsで日本のある漁村で漁師らが、イルカを大量に殺していることが取り上げられていて、その映像は悲惨なものでした。そして、ハリウッドの有名人達が、その村へ行ってイルカを殺すのを辞めさせようしている模様などの映像や、18歳のTVスター(女の子)が泣きながら捕らえられたイルカの様子話す姿なども、何度も繰る返し放送されました。ニュースキャスターは「日本人はイルカを食べるために殺している」と言ったり、ほかのレポーターのような女性は「そうではなく、商売で、水族館のような所へ、売るため」などと、報道している側が、分かっていないまま、真実ではない事を付け加えて世界に報道している。

おまけにskynewsのwebサイトでは「多くの日本人はイルカは殺されていい魚だと思っている。」などと全くのでたらめを記載している。・・・惨残酷な映像とハリウッドスター達の熱い抗議と涙は注目されるのに最適でニュースショーにはピッタリだ。それだけでskynewsにとってはいいのかもしれないが、、   私としてはこのニュースの視点をもっと掘り下げて欲しかった。この行為の背景にはどういったことがあるのか、何が問題なのか、それがはっきりと分かれば、そこから、その問題の解決策や手段を検討、実行できるのではないかと思う。イルカを殺すのをやめさせられるかのしれない。少なくとも、”怒って、泣いて・・・”よりは何かを変えられるはずです。 skynewsはなぜそこに視点を置かないのか・・・

ブロガーthe knight of prussia [13]はさらに抗議者たちの動機について疑問を投げかけている:

欧米人の悪いところは、こういうところですね。
自分達の価値観が絶対であると考え、異なる価値観を認めようとしません。

日本がクジラやイルカを食べようと、それが食文化なのであって、外国人に非難される覚えはありません。
牛や豚を日本人の何倍も食べている連中に、人道がどうとか言われたくありませんね。
そもそも、クジラの数が激減したのは、欧米人がランプ用油のために乱獲したからであって、
細々とクジラを捕って、皮から骨に到るまで利用していた日本人のせいじゃないです。
そういう事も知らずに、他国を非難するから馬鹿だと言うのです。
それとも、この女優は自分のイメージアップのために計算してやっているのかもしれませんが。
漁師の妨害をしておいて、「漁師がエンジンをふかしながら向かってきた」とか被害者面をするなと言いたいですね。
漁師は生活が掛かっているのだから、必死になるのは当たり前です。

牛を食べるのは、ヒンドゥ教徒から見たら許せない行為だと思いますが、ヒンド教徒から欧米人は牛を食べるのを止めろと言われたら、どう思うのでしょうね。
どうせ、欧米人らしい理屈で「牛や豚は増やせるから殺してもいい」「クジラやイルカは賢いし可愛いから殺してはいけない」というような幼稚園児並の理屈を平気で言いそうです。
もしくは、「牛や豚は苦しまずに殺しているらからいい」けど「クジラやイルカは苦しんでいるから駄目」とか言いそうですね。
私は犬を食べませんが、犬を食べる韓国や中国の人を非難するつもりは毛頭ありません。
それが彼らの食文化であって、自分の価値観と違っても尊重すべきものだと思うからです。

原文:Chris Salzberg [14]