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グルジア:おとぎ話の終焉?

カテゴリー: 中央アジア・コーカサス, グルジア, 写真, 抗議, 政治, 行政, 選挙

Tbilisi Protests

南コーカサスにある3つの共和国が来年の選挙に向けて準備をしているという時に、これほど最悪とも言えるタイミングはない。今日までこの地域において(比較的な)民主主義の模範と見なされてきたグルジアが、3ヵ国すべての反対派が選挙とその後に先立って抗議するだろうということを考えると残念な前例を作ったことになる。ミヘイル・サアカシュヴィリを権力の座につけた2003年のバラ革命でさえ、燐国のアルメニアとアゼルバイジャンでの当局による弾圧に比べれば平和的なものだった。

今日、皮肉にもSteady State [1](「安定した国家」の意)と名付けられたブログに掲載された「グルジアが大変だ…」というシンプルな題のエントリーとTOL Georgia の記事へのリンクに表されているように、そのすべてが変わってしまった。この2つのブログはともにTransitions Onlineによって作られたもので、特にTOL Georgiaが加わったことはこの地域のブログにとって喜ばしいことだった。事件が起こっている中、国内独立系メディアへの攻撃のを報告する最新情報など、このサイトの報道は称賛に値する。トビリシ中心街の光景を記録した写真が、うち数枚はこのサイトに掲載されているが、すでにDavit Rostomashvili [2]によってFlickrで提供されている。

以下の記事はKavkasia TV [3]Imedia TVの放送が中止 [4]になったことについての記事に続き、TOL Georgia は恐ろしい結論 [5]を出している。

Imedi TVのジャーナリストたちは武力で脅され、テレビ局から追い出され、そして携帯電話を取り上げられた。
[…]

テレビ局に突入してきた治安部隊の追加隊員に1人が殴られた…

どれだけの民主国家でこの様なことが起こるだろうか?

おそらく Imedi TVはロシアの売国テレビ局と言われるのだろう… なんということだ。明らかに独裁のようになってきた。

Tbilisi Protests

当局者によると、グルジアの伝統的な敵であるロシアがトビリシでのトラブルの背後にロシアがいたという。国際報道筋はすでにサーカシビリがモスクワを名指しで非難したと伝えている。例えばThe Internal Security Servicesは、反対派の人物とロシアの諜報工作員とされる人物の会合の音声とビデオ記録をすでに公開している。グルジアの駐ロシア大使は呼び戻されたという。

反対派はこの主張を否定しており、UnzippedのArtmikaはその代わりにグルジア政府と特にサーカシビリがロシアに自国の国内問題をなすりつけていると言及 [6]している。

サーカシビリは、深刻なスパイマニアを患っているようだ。実際、これはソビエトなどの時代に反対異見を封じ込めるのにうまく利用されたとても都合の良い病状だ。予想通り彼はロシアとロシアの「特殊工作員」に全てを責めた。 自分の権力が打ち砕かれていると感じている者にとっては非常に便利な策略だ。彼は以前もこれを利用しており、これからは彼の政策や政権に対するいかなる不満も反逆罪とされることになる。古き良き時代の再来である。それに、あわよく継続して西側の支援を確保できる。

現在はロンドン在住のこのアルメニア人ブロガーは、現地からの情報を彼に提供しているグルジア人の友人について言及している。Unzippedによると、双方とも収拾のつかない状態だという。しかし、責任の大部分は反対派の広義を散らすために当局が強引な手段を取ったとこにあると結論付けている。

私のトビリシにいるグルジア人の友人も、反対派を非難している。彼は政府の過剰な武力行使を非難しているが、反対派にも責任があると言っている。彼らは警察を挑発し、政権との対話する気もあるわけではなく、「両サイドが見苦しい行動をしている。」反対派もたいして変わりはない(反対派の背後にいる人びとの名前を見ただけでもうんざりだ。そして抗議集会中のばかばかしい集団祈祷 – まったく…)。でも、ひとつ私が知っているのは、権力の座にいる人びとが市民に対し過剰な武力を行使するとき、どこかその権力には間違ったところがある。それゆえに、私は政府を非難する。[…]

このブロガーは「(サーカシビリが)権力に居座っている限り、グルジアには平穏と民主主義の尊重はおとずれることはない」と結んでいる。彼のもう一方のブログでは、今日あった衝突の写真 [7]を掲載しており、TOL Georgiaでは、jibsがArtmika [8]と同様に騒動についてロシアを責めることへの失意に共感している。

グルジアであった最近の出来事で、反対派の抗議行動を強制的に解散させたことについてのサーカシビリ大統領の演説を聞いた。

[…]

またロシアのせいにしていた。

ロシア人は荷物をまとめて南米かどこかに行ってしまったほうが良いかもしれない。そうすれば、グルジアの国内問題の責任をなすりつけられることはない。

[…]

どうしたらこれをロシアのせいにできるのか?最初の日に集まった70,000人の人びと全員がロシアのあやつり人形だったとでもいうのか?

[…]

ロシアの闇の魔術からの救世主そして守護者、万歳!

Tbilisi Protests

GL.Mimino.OrgのGregory Levonianは、彼のブログでは政治を避けようとしていると言っているが、この日の出来事についてトビリシから書いている [9]。グルジアでの「状況は良くない」と言い、このブロガーはおそらく民族に関係なく大半のグルジア市民の感情を代弁しているかもしれない。彼はサーカシビリが今までに達成してきたことに対しては賞讃しているが、この国が向かっている方向性については懸念している。

反対派を支持するのはかなり難しい。彼らにはそれほどの基盤があるわけでもなく、人びとはいつもサーカシビリに過大な期待をよせているようにも見えるが、ミーシャ(彼はしばしばこう呼ばれている)がだんだん周囲の者を気に掛けなくなったのは疑いようもない。

[…]彼はポピュリストだ。彼は彼に異義を唱える人びとを隅へ追いやる。

しかしそれでも、彼はグルジアに対して真に専心していたし、今まででこの国で最良の民主主義者だった。

少なくとも、今日まではそうだった。今は、何が起きているのか誰も分からないし、街全体が衝撃と恐怖に包まれている。

[…]

私がこんなことを書いているなんて信じられないが、占領下に置かれたような感じが街にはある。 […]

遠くから見守っている他のブロガーたちも、グルジアの首都での出来に複雑な心境でいる。例えば、underWater desert Blogging は、この国を訪れたときのことを振り返り [10]、「素晴らしかった」と言っている。実際このブロガーはグルジアにとても良い印象をもっていらしく、なにか良いことが起こるよう望んでいる。

この国には好機への大きな可能性がある。そして、サーカシビリ大統領にソビエト時代の抑圧的な方法を取ることなくこれを鎮圧できるだけの賢明さがあることを願う。もし彼が、抗議者たちが言っていることの核心に対処できる方法を見付け出せるのなら、私は彼を絶対に支持する […]

しかし、Global Voices の Neeka's Backlog の Veronica Khokhlovaは納得していないようだ。2003年のバラ革命の際にこれでグルジアの問題も解決されるという望みを持って彼女が書いた記事を掲載しているが、Khokhlovaは他の全ての人と同様に、失望し衝撃を受けているようだ [11]

サーカシビリには彼らが望ように抗議させてほしかったが、残念ながら彼は気の短い男で、今日は結局彼らを追い払うために武力を使った。

グルジアの状況をそれほど詳しく追っているわけではないが、BBCによると「抗議者たちは汚職と不十分な貧困対策についてサーカシビリ大統領を非難している」という – 私はこれを信じない理由がない。

この先事件があれば、間違いなくTOL Georgia [12]やBBC特派員マシュー・コリンのThis is Tbilisi Calling [13]に最新情報が掲載されるだろう。実際、このエントリーを書き終えようとしているところで、TOL Georgiaは緊急事態宣言が出されたと伝える [14]エントリーをひとつアップしている。

4年前、現在の当局者はシュワルナゼ政権に反対する集団デモの結果政権を握り、その時マスメディアが巻き込まれることはなかった。サーカシビリのやり方は違う – これは私が今までに聞いたことのない民主的措置にちがいない。

そもそもデモがグルジア中に広がったのはこれが理由であり、「邪悪」なロシアのせいではない。今ではロシアのほうがグルジアよりもずっと民主的に見える。これでグルジアのバラ革命神話も終わりだ。

または、Unzipped [6]が今日早くに言っていたように、「サーカシビリのおとぎ話の終わりだ。 […] この攻撃に関してグルジア人は彼を許さないだろう」。

Tbilisi Protests

掲載されている写真 © Davit Rostomashvili. この他の写真は http://www.flickr.com/photos/barrygeo/ [2]に掲載されている。

原文:Onnik Krikorian [15]