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インド:タタ社「ナノ」誕生

カテゴリー: 南アジア, インド, テクノロジー, 環境, 経済・ビジネス

ニューデリーのオートエキスポで1月10日に行われたタタ社製の超小型車「ナノ [1]」の発表を受け、ブロゴスフィアではちょっとした騒動が巻き起こった。この車の標準モデルは10万ルピー(およそ2500ドル)で、インド市場に出回る車としては最低価格となる。

Tata Nano

この車への反応はかなり複雑だ。これだけ安い車は、道路渋滞など既にインド都市を悩ませているインフラの問題を増大させるだけだと主張する人びともいる。さらに、道路に出る車が増えれば、汚染が拡大する可能性もある。しかし、多くの人びとはこの車に極めて肯定的だ。

Indian Muslim [2]sは、インドの農村部へ興味深い影響を及ぼしえると書いている。

悲惨な交通事情を引き起こすだろうと批評する人には賛成する。都市はすでに渋滞や混雑した場所で溢れかえっている。しかし、ラタン・タタはビジネスマンだ。そして彼が注目しているのは、人びとが必要としている製品をできるだけ安い値段で売ることだ。インフラ問題は政策立案者や政治家によって解決されるべきだ。それは無理な注文かもしれない。私たちはバンガロールやプネが激増する人口に対応しきれずに哀れな状態になったのを見てきた。でも、都市からインド人口の70%が住む農村のことを考えれば、人生を変えるようなことかもしれない。

IndieQuill [3]は、一連の反響を総括し、車が贅沢品であるべき理由などないと指摘している。

一方で、一体どんな気で車は贅沢品であるべきだなどと言うんだ?ラタン・タタはPR活動に明け暮れているかもしれないが、安全な交通手段を確保する余裕がないために非常に危険な交通手段で間に合わせるしかない家族が山ほどいると彼は言っていて、いい点を突いている。膝に小さな赤ん坊を乗せて夫にしがみつき、自転車に乗って大渋滞の中を通り抜けていく女性を見たことがあれば、銀行に大金がある自分たちがエアコンのきいた車を乗り回せる様に、この夫婦はずっと自転車に乗っていてくれなければいけないなどと、どうしたら言えるのか。

Don't Trust The Indian Media! [4]は、オートエキスポでの車の写真を掲載し、人びとの向上心を標的にすれば、活動家は好意を失うだろうと書いている。

Sunita NarainとR.K. Pachauriの交通渋滞と汚染についてのコメントについて、正当な主張だけど悪いがエリート主義の匂いがぷんぷんする。この車に講義する人がでてくるだろうが、むしろ工場やディーゼル発電装置などを追求するべきだ。インドの環境保護主義者たちの問題は、間違ったものに抗議し好意を失うことだ。グリーンピースの会員をやめた。人びとの願望を責めるのは止めようよ、好意を失ってしまう。人びとにはもっとスマートな買いものをするように、そして政府にはもっと賢明に金を使い無制限の開発を許可しないように伝えればいい。移動手段と通信は間違った標的だ。

Ultrabrown [5]は、安全性について懸念しているが、少なくともかなり肯定的であるようだ。

タタ・モーターズは、物価上昇を差し引いて、しかも単純に金額化しても安い、カローラの現代板を発売した。タタ「ナノ」はビューティークイーンでもなければ、クリックホイールがついているわけでもない。渦巻き形のバンパーは、新型のフォード製「トーラス」を思わせ、やけに高いフロント部分はハコフグのようだ。でもたったの10万ルピー(およそ2500ドル)で、世界中の中流や下層階級の家族がもっと安全な交通手段を手に入れることができるのだ。

Marketing Practice [6]は、この車が最初に発表され冷笑の的となった時のことを振り返り、売上げを上げるためのマーケティングはおそらく必要ないと言っている。

マーケティング面では、ナノは理想の出だしを切った。実際、ナノには広告ではなく、立ち上げにあたり巨大でポジティブなPRが必要になる。パフォーマンスに関してブランドに対しての疑念を打ち返していかなければならないだろう。もうひとつの悪夢は一番始めに客が殺到した時の対処だ。一般人向けの車であるために、代理店で客が不公平な扱いを受けるという可能性は大である。インド市場は良質の顧客サービスの可能性に目覚めなければいけない。タタとその代理店が当初の高揚感にどう対処するのかは顧客関係の観点から注目すべき点だ。