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モルディブ:非イスラム教徒は国籍不可?

カテゴリー: 南アジア, モルディブ, 人権, 宗教, 政治, 法律

[1]8月7日、アジア最長政権維持者でモルディブ [2]大統領のマウムーン・アブドル・ガユームは、同国の改正憲法を裁可した。4年に及んだ憲法改正が締めくくられた。今回、モルディブ国民は運が良かった。それは、ガユームは1978年に権力の座についた時、1980年から1997年の間17年にも及んだ憲法改正を始めたからだ。

改正された憲法では、国民に表現と結社の自由などいくつかの公民権を与えている。しかし、この憲法では非イスラム教徒がモルディブ国民になること認めておらず、これは同国の宗教の自由に制限を加えることになる。政府はモルディブは100パーセントムスリムの国であると主張しているが、ブロガーや権利活動家たちはこの国籍条項について懸念を表している。

ブロガーMuizzu [3]は、憲法の国籍条項について調べ、政治家がこの条項を憲法に加えたのは賢明な措置ではなかったと結論付けている:

ムスリム教徒でなければモルディブ国籍を得ることが憲法で許されないという噂が広がっている。しかし、第9条にある現在の文言から、すでにモルディブ国籍が認められているがイスラム教を信仰しなくなった人は国籍を剥奪されるのかは確かではない。そのため、この件については、明確化させるためにしかるべき裁判の続きを踏んで、憲法裁判所(モルディブの場合、将来の最高裁判所)で判断されるべきだ。しかし、この条項では確実に、旧憲法下ですでにモルディブ国籍を持つ(ムスリム教徒または非ムスリム教徒の)親に生まれた非ムスリム教徒の子供たちがモルディブ国籍を得られないようになる。

前述の国籍に関する条項については、憲法改正のプロセスの中で政治家が行った決定は賢明ではなかったかもしれないと私は思っている。

まず、この条項の背景にある理由がモルディブ国民のイスラム教信仰を守ることであるならば、これは有害無益かもしれない!この条項施行の非現実性または国際的圧力の可能性から、もっと悪い影響をもたらしかねない。

ブログNon-Muslim Maldivians [4]が伝えるには、国籍条項はアメリカのNGO「宗教と社会政策協会」から非難を浴びている。

この問題は、過去にもDhivehi Society [5]Secular Maldives [6]でも取り上げられていた。

非難を浴びているのは国籍条項だけではない。Idhikeeli [7]は、憲法にはいくつかの不備があると指摘している:

改正憲法は以前の憲法よりもモルディブ国民にもっと自由と権利を与えるものだが、いくつかの不一致がある不完全な憲法だ。三権分立は大統領制の特徴だが、モルディブの大統領制の機能を妨げ、行政府と議会の説明責任を弱める不備がこの憲法にはいくつかある。裁可された憲法は、二院制議会を許さず、中間選挙はなく、大統領の任期は4年ではなく5年としている。私たちは前のエントリ [8]でこの問題について取り上げ、他のライターたちも懸念を表していた。モルディブの若者たちが将来もっと良い憲法をモルディブにもたらすことを私たちは願っている。

写真上:グランド・フライデー・モスク、モルディブ(Michael Foley Photography [1]撮影 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づき、Flickrに掲載)