政府系vs反政府系による衝突が暴力に発展し、昨日、サマック・スントラウェート首相はバンコクに非常事態を宣言した。
民主主義市民連合(PAD)のメンバーは、先週からタイ首相府に留まり、サマック首相の退陣を要求している。
政治状況は依然として流動的だが、バンコクやタイのその他の地域の生活は普段と変わらないようだ。
Bangkok Punditは外国政府に対して、渡航延期勧告など過剰な反応をしないよう求めている。
「バンコクの政治暴力に巻き込まれて怪我をするより、自動車事故で怪我をする可能性の方がずっと高い。とくにバイク事故ですね(ヘルメットなし、飲酒運転、それに島での運転は当然に危険性を増す)」
Bangkok Bugleはそれよりも、海外メディアの不正確な報道のほうが気がかりだ。
「これまでとそれほど大きく変わったことはない。朝の交通渋滞がいつもよりひどくて、何人かの社員が遅刻したことを除けばね」
「昼休み中、事務所周辺の道路はいつもより静かだった。近くの学校が休校となったり、理由はいくつか考えられる。だが、私の場合、今朝はごくごく普通だった。今のところ、商売もいつもどおりだ。私が気になるのは、海外メディアの報道が正しくないことだ」
マレーシアのSusan Looneは、こう見る。
「公共交通機関の労働者は首相辞任を求めてデモに参加している。私の同僚の大半に言わせれば、今朝は、公共交通が頭痛のタネだったみたい」
バンコクの日常はいつもどおりのように見える、と書くのはChristopher G. Mooreだ。
「今朝も、午後の早い時間もバンコクで運転したけれど、表面的には何もかもがいつもどおりに見えた。買い物をしたり、レストランで食事をしたり、歩いている人がいたり。でも、首相府周辺は違う。これがnoir novelだとすれば、ここが山場だろう。主役たちが最後の戦いに挑めば、先が見えず絶望に見まわれることになる」
Wassup Nat?は、非常事態について気を揉みすぎないよう読者に呼びかける。
「心配しすぎないように。見かけ以上に状況が悪いように聞こえているだけだから。今朝、誰かに言われなかったら、私にだってわからなかったくらいだよ。それでも今日も仕事だし!」
「職場の窓から何が見えるかと言うと。ほら、渋滞はいつもと同じ。違うのは、あそこに警察が陣取っていること。車じゃなくて、バイクを手当たり次第に検問している理由はわからないけど」
公務員の多くは抗議に参加しているが、ほとんどの労働者は出勤することにした。Go East,Young Womanは、こう書く。
「抗議に加わった労働組合にはストをしているところもある。バスはほとんど走っていないし、警察や官庁には送電しないとか給水しないと言っている」
「でも、うちの階の別の部屋をリフォームする作業員は来ていて、うるさく作業してるけれど」
何もかもがいつもどおりだ、とGay Boy Thailandも書く。
「ボクが住んでるシーロムではなにもかもがいつもと同じ」
「Chalermは、自分が通うRajapat大学は3日間閉鎖されるんだと言ってた。その他にもたくさんの学校が休校になるらしい」
「Chalermは夜間外出禁止について話していたけど、そんな発表はなかったとボクは思う。彼は、2006年みたいに、軍隊が路上に展開すると思っているけど」
「The yellows(PADのこと)は、電気や交通機関や空港などの公共サービスを妨害したいんだ。今のところ彼らはタイの他の地域でそういうことをしているけど、バンコク市内で何かが変わったかどうか気づかなかったよ」
「この状況にはそれほど心配していない。見た目以上にコントロールされているはずだから」
映画好きには朗報がある。現在開催中のタイ・ショートフィルム&ビデオフェスティバルは中止されないようだ。
My Life in Bangkokは、好調なバンコクの様子を書いている。
「このビジネスエリアには抗議を想像させるものはない‐タイ経済と株式市場を別にすれば。が、現実的には落ち込む兆しもない。家の近くはどうかって? いつもと変わらない。バンコクは太陽が照りつける毎日だよ」
停電と断水は何度かあった。Pink Hearted Passagesは、こう書く。
「おかしなことを始めた商売もある。例えば、ついこの間、政府によって値上げが認められなかったバス会社は、今回の混乱に乗じて値上げした。飛行機がキャンセルされて苛立ったり、足止めをくらった友人は山ほどいる。でも、それは今までの中で一番タチが悪い。停電はあるかもしれないと聞くし、断水はもう何度かあったし(政府の仕返しだろうか?)」
Ramblings of a Byronはバンコク郊外に住む。
「昨日の晩、政府はインターネットを閉鎖しようとしたんじゃないかと思う(今朝の非常事態宣言が漏洩されるのを防ぐために)。有料テレビ放送が映らなくなったんだよね。こういうこと全てが、2006年のクーデターを思い起こさせる。首相が非常事態宣言を発表したニュースがあったはずだけど、あったとしても放送はタイ語だし、タイのテレビ局だったからね」
「ま、とにかく、ボクはバンコクにはでかけないし、観光客が多いところにも住んでないから、影響はなかったけど(少なくとも、今のところは)」
My Thai Lifeは、サマックは辞めるべきだという。
「バンコクとプーケットでは大規模な抗議があったようだ。プーケット空港は占領されたし。全て、サマック首相のせいだ。言わせてもらえれば、彼は辞めるべきだ。プラスじゃなく、マイナスになることばかりをしているようだし。繰り返すけど、これはあくまで私の意見だけどね」
「タイのこうした政治から、今後は何がどうなるんだろうか? 私がここから出ていくことはない。ここは私の国だから。この国はこの政治的不安定さも乗り切るだろう。人は必ずここに戻ってくる」
SilapaJarun.comは、非常事態宣言の正当化をもくろんで、政府が暴力を指揮していると考えている。
「サマックが暴力事件をたくらんだのは明らかだ。これは、非常事態宣言や、サマック自身、サマック政権、後ろ盾のタクシンなどの本性を暴露した支持者に対して、夜間外出禁止令を出したり、過剰な力をふるう可能性を正当化しようとしたからだ」
彼は、真の争いは法廷の中で展開されるとも指摘する。
「あらゆる人が抗議活動に注目しているところだが、対立は実は法廷で争われる。タクシン夫人が逃亡中の犯罪者だという事実とは関係なく、サマックやタクシンの裁判がいくつか始まっている」
HaPPi like a HiPPoは、ラリーの参加者を解散させるために振るわれた暴力がなぜ正当化されないのかを示す。
「抗議参加者は、一見、害を及ぼさない人々のようだ。何人かは、自己防衛のための傘を持っているだけで、それ以外の人々は「Ku Chart」と書かれた黄色のハチマキをしめているにすぎない。彼らは突撃するでもなく、ただそこに座り込んでいるだけだ」
Newley Purnellは、抗議をする人々を観察して、こういう。
「5人以上の集会は禁止されたけれども、抗議はお祭り騒ぎみたいだ。抗議に参加している人々は敬愛する国王を象徴する色である黄色の服を着て、大舞台の前に立って、様々なスピーチに耳を傾ける。防水シートをかぶってリラックスして、手をたたき、おしゃべりをし、軽食を取る人もいる。数ブロック離れたところには機動隊がいた」
バンコクに住む外国人の多くは密かにサマックを支持しているが、地元民の大半は首相の辞任を望んでいる。absolutelybangkok.comは、これについて、こう論じる。
「タイ在住外国人の多くがサマック政権を密かに支持している事実には、驚きを禁じえない。一方、バンコクっ子のほとんどはサマック政権を直感的に、徹底して非難する。まっとうな議論をすることも、事実を指摘することもできないまま、「腐敗だ」、「悪弊だ」を理由に名指しで非難している状態だ」
「タイ人には見えていて、外国人には見えていないことはなんだろうか? 別のマスコミから情報を得て、社会を現実に分かつ溝は深く、嫌悪感が激しいことをガイジンは気づいていないだけなのだろうか?」
今や国王が乗り出す時期にさしかかっている。と、New Mandalaは書く。
「国王の政府が四面楚歌の状態にある間、困ったことに、国王と枢密顧問官は第三者であるかのように沈黙したままだ」
「国王は、いつもは政治から距離をおいているが、必要な場面では介入している」
「国王の発言は確実に重要な意味を持つ。が、国王が発言しなかったことも、同様に意味を持つ場合はある」
「王は再び沈黙したままだ。否定の言葉は一言たりともない。国王のためとして抗議する一般市民を抑えることもしない」
「今や国王は、より多くの一般市民が瀬戸際対策の結果を被るのを待っているべきではない。PADは、サマック政権から過剰な反応を引き出そうとして煽っている。今後数日のうちに、バンコクでより多くの血が流される可能性が現実としてあるなか、国王の沈黙は困惑を招くだけだ。反民主主義の回し者たちが国王のためにとして活動をするのをやめさせないとしたら、一生かけて積み重ねてきた国王のカリスマは、国民にとって何にもならない」
非常事態宣言につながった路上での衝突の様子は、Matichonから。ビデオクリップは、Thailand Jumped the Sharkによるもの。