イスラエル:ガザ侵攻をめぐる議論

イスラエルのブロゴスフィアは、ガザへの攻撃と増え続けるイスラエル都市へのロケット攻撃に激しい反応を見せた。多くのブロガーたちは賛成や反対の意思を示したり、イスラエルには選択肢がないとも言っている。ここでは、攻撃が始まってから2日間に、イスラエル人によって書かれたものをいくつか紹介する。

Yuval Drorは、軍事行動に対する彼の入り交じった感情について書いている:

この軍事行動の後に、平和が訪れることはない。この軍事行動で、イスラエルへのミサイルが降り止むことはない。公平な釣り合いなんてない——死者の数にも、破壊の規模にもだ。我々の方がずっと強い。地上部隊がガザに進攻すれば、第二次レバノン侵攻の繰り返しとなることは疑いの余地もない。実際、もう再燃し始めている——奇襲攻撃、素晴らしい成功を納め、我々は勝った。でも、実際は違う。祝う気にはなれない。何百人もの人びとが殺され、その中に私たちと同じように生活したいと思っている無実の一般市民がいるときに、祝うべきものなど何もない。

その一方で、私はテル・アビブで今回の作戦に反対するデモを行っている人たちにはまったく共感しない。それは、この作戦がすべての問題を解決すると思っているからでも、これが最良の解決策だからと考えているからでも、私がこの国の指導者を信頼しているからでもない。8年もの間、スデロットで毎日ロケット弾が落ちているのに、テル・アビブで何もせずに、ガザが攻撃された時にはデモをする時間と労力があるなんて、この人たちは私の目からすれば偽善者だからだ。

私は、ガザからのイスラエルの撤退を支持した。私の考えでは、ガザへのユダヤ人の入植は倫理的ではなかったからだ。イスラエルがガザから撤退したその時から、私はガザから発射されるミサイルに対して我慢がならなくなった。私は対話や交渉、そして領地と平和の交換を支持する——しかし、ネティボットの子どもの命よりも、ガザの子どもの命の方が大切だとも思っていない。イスラエル領土内にミサイルが落ちてきている時に、何もせず黙って見ているべきだとも思わない。

グローバル・ボイスで、頻繁にコメントを残しているブロガーcivaxは、こう説明する:

ハマスは、ガザでの選挙で勝利し(大部分は、腐敗したファタハに対しての批判票だった)、暴力を非難することや、これまでの合意を認めたり、イスラエル(その政府の承認のために国際社会によって決められた条件)を認めることをしようとしない。そのためにイスラエル、米国、そしてこの有名なテロ組織への援助や資金を送ることを拒んだEUによる包囲が始まったのだ。

間もなくして、ガザでは内紛が起き、ハマスはファタハに関係のある人を殺害した。これによって、新政権がいかに残忍でテロリスト的であるかを世界に知らしめた。

6か月間の「停戦」が、先週終わった。停戦中でも数千発のロケットが発射され、ここ1年間のロケットの総数は3000発になった。私はアシュケロン出身だから、私自身もこれを経験している。

水曜日の「停戦」打ち切り、そして1日に80発以上のロケット——言っておくが、これは作戦前の話だ。数日間で300発以上のロケットが飛んで来たのに、イスラエルはハマスに警告を行う以外は何もしなかった(そして、自国の政府から見放され、守ってもらえないと感じた私たちイスラエル市民から多くの非難を浴びた。)

JCPAは、イスラエルが非国家主体のテロリスト組織やそのロケット攻撃から自国民を守らなければならない時はいつも、「不釣合いな武力」の行使について非難を受け続けているという考えを強調した、包括的な記事を投稿している。

純粋に法律的な観点から言えば、ガザにおける現在のイスラエルの軍事行動は正当なものだ。国際法によれば、イスラエルには同国に対して使われている武器の規模や範囲に基づいて同国が使用する武力を正確に計算する必要はない(イスラエルはカッサムロケットを作り、ガザに送り返す必要はなのだ)。

海外の法律専門家が「不釣り合いな武力の行使」という言葉を用いるとき、彼らの頭の中には厳密な意味がある。ハーグの国際司法裁判所(ICJ)所長ロザリン・ヒギンズが言及しているように、「均衡性は、既に起きたいかなる被害にも関連付けることはできない——攻撃を終わらせるという正当な目的に照らし合わせたものでなくてはならない。」つまり、イスラエルの様な国家が攻撃を受けた場合、均衡性はイスラエルが厳密に自国に対して行われた武力攻撃を終わらせるために武力を行使したかどうかを示す。言うまでもなく、武力が別の目的のために使われた場合には、一般市民に不必要な被害を与えるなど、行き過ぎにもなる。武力が行き過ぎかどうかを決定付ける主な要因は、軍司令官の意向だ。特に、一般市民を巻き込んだ被害に関して、司令官は何を意図していたのかを確かめる必要がある。

一般市民の犠牲についての報道はどうか。一部の国際報道機関は、今回のガザ侵攻の第一段階における犠牲者の大半はハマスの工作員だったことを強調している。Ibrahim BarzakやAmy Teibelは、12月28日、死亡が伝えられた230人のパレスチナ人のほとんどは「治安部隊」で、パレスチナ当局者は「死者のうち少なくとも15人は一般市民だった」と述べた、とAP通信に書いている。パレスチナ人犠牲者を算定するにはまだ早すぎるが、もし犠牲者数が増えたとしても、報道された数は一般市民に不釣り合いな被害を与えようという明確な意図はなかったということを示している。

時間の制約があったために、ここではイスラエルの攻撃に反対する理由を説明したJonathan Klingerの洞察力のあるエントリの一部のみを翻訳した。

昨日も言ったように、イスラエルは宣戦布告をするべきだった。そうしていれば、イスラエルは明確な立場に立って、南部都市のために早急な行動を起こすことができたはずだ。宣戦布告しなかったために、クネセトは大多数が反対していてもこの戦争を止めることができない。法的同意のないこのような独裁的な軍事行動は、エフード・バラクとエフード・オルメルトにとっては高くつくだろう。
[…]

この戦争でカッサムロケットが降り止むことはないだろうが、うまくいけばハマスの攻撃能力を示すことになる。今のところハマスは、ミサイルでアシュドッドを攻撃できているが、恐らくまたいくつかのサプライズがあるだろう・・・毎回こういうことが起きる度に、イスラエル国防軍の攻撃によって状況が悪化し、良くなることはない
[…]

昨日のイスラエルによるハマス系テレビ局への攻撃は、言論の自由とガザ地区で現地の被害を伝える機能に対する直接攻撃だ。イスラエルが外国人記者のガザ入りを許可しないのは、ハマスのガザにおける主権への深刻な攻撃である。現在、ガザの市民には、自分たちの領土内の状況についての情報を得られないでいる。
[…]

良い戦争などない。これ以上うまく言うことはできないし、説明もたくさんしたと思う。
黙って何もせずにいるべきではないと思うが、カッサムロケットへの最善の対応策は、明確な地上戦と外交交渉の組み合わせだと思う。

最近のエントリで、23歳のShaiは、当初攻撃に反対していたものの、支持へと回ったのはなぜなのか説明している:

一般市民に被害を与えずにテロリストだけを攻撃する方法があったらと良いのにと思うが、そのような方法はない。現地に部隊を送れば、私たちは彼らの死に対し責任を追うことになるが、そうあるべきではない。ハマスは話をしようとはしないし、そうであれば「首謀者を捕まえる」ために部隊を送るのは、文明的であるということのために若い兵士たちの命を無駄にすることになる。でもこれは、文明的であるという話ではない。怪物のような武装した凶悪集団による決着のつかない暴力への対応についての話で、彼らが我々を怪物にさせているのだ。これが彼らの偉大な業績だ。我々は殺人者にされ、どうすることもできない。

ハマスは我々に人殺しをさせる。彼らは愚か者を殺しているけど、彼らは自分たちの市民のことなど気にも留めていないから、我々をも人殺しにするんだ。

一般市民を巻き添えにしない一番確実な方法は、攻撃を全く行わないことであって、私は話し合いを拒否する一方で暴力を選ぶテロ組織のメンバーに対して寛大でいるわけではないということを強調しておきたい。彼らを捕まえることが正しいのだが、それは不可能であると私は実感している。この様な人間にやさしく接することは不可能だし、彼らと話し合うことも不可能だ。ファタハとは外交交渉の可能性もあるが、ハマスはまったくだ。ハマスは我々を皆殺しにしたがっている。それだけ。彼らは全てのユダヤ系イスラエル人が死ぬまで止めないし、そのためには彼らの民族を殺すことも厭わない。彼らの目的はパレスチナをユダヤ人から解放することだ。
[ …]

私は私たちの軍隊を支持しているし、ハマスのような犯罪組織に対するものならこの戦争を支持する。私がこの戦争に反対するのは、ただ、まったく罪のない人びとがこの戦争で死んでいるのに、ハマスは我々に選択の余地を与えないからだ。私はこの戦争に反対しているが、賛成もしている。それは、賛成しなければ、我々も殺されてしまうからだ。

ガザの人々が、彼らの「代表者」と呼ばれる人物たちがどれだけ有害であるかに気づいてくれればいいのだけど。

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