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中国:学校襲撃事件と社会病理

カテゴリー: 東アジア, 中国, メディア/ジャーナリズム, 健康, 市民メディア, 若者, 行政

中国では、この5週間で5件も学校襲撃事件が発生した。(訳注:5月12日に6件目が陝西省漢中市で発生している)
犠牲者はすべて小学校や幼稚園に通う無実の子供たちであり、犯人もまた、すべて社会的不公平の犠牲者である。このような血も涙もない殺人事件は現代の社会に原因があるが、またも主流メディアは事件をこれ以上くわしく調査してはならないと告げられているのであった。

これがその5件の概要 [1]である。

3月23日,南平郑民生杀8名小学生;
4月12日,合浦男子砍死8岁小学生;
4月28日,雷州男子砍伤16师生;
4月29日,泰兴男子幼儿园内砍伤32人;
4月30日,山东潍坊一男子闯入校园打伤5名学生后自焚,

3月23日、南平で鄭民生が8人の小学生を殺害
4月12日、合浦で男が8人の小学生を殺害
4月28日、雷州で男が8人の小学生を刺す
4月29日、泰興で男が32人の幼稚園児を刺す
4月30日、山東省イ坊で男が5人の生徒を殴った後、焼身自殺

ChinaSmackは一連の無差別殺傷事件に対する反応を英語で伝えている。社会的不公平に対する復讐として子供たちが犠牲となっている、と多くの人は考えており [2]、政府ではなく子供たちを襲撃した犯人を批判している。さらに、子供達の親が保育園の広場の外でスローガンを掲示している様子を写した一枚の写真が出回っている。はじめはインターネットを通して、そして削除されるようになると次はEメールを通して広がったのである。そこにはこのように書いてある。「社会的不公平と負債には原因がある、あなたが右を向けば政府の建物が見えるぞ」

school slogan

楊佳が警官を殺害した事件 [3]と同様、この事件は社会に大きな影響を及ぼしている。twocoldsは次のように指摘 [4]している。

在最近的变态凶手杀人事件中,他们都选择了幼儿园和小学,相信在很多想报复社会的人心中,去幼儿园小学杀人成为了一种时尚,因为在杀人过程中,你将遇到最 少的抵抗,杀掉最多的人,造成民间最大的痛苦的恐慌,是最有效的报复社会手段。除了杨佳以外,几乎所有杀手都挑选了向弱者下手。这个社会没有出口,杀害更 弱者成了他们唯一的出口。

最近の痛ましい連続殺傷事件では、幼稚園や小学校が犯人の標的となっている。社会に対して復讐しようとする者たちが、子供たちを殺害することは一種の流行となっている。子供たちは最も抵抗が少ない相手で、犯人は多数を殺害することが可能であり、非常に大きな社会の混乱を引き起こすことができるからだ。これは社会に対する復讐として最も有効な手段である。楊佳とは異なり、犯人は弱者を狙う。この社会には出口が存在せず、弱者を殺害することがその唯一の出口となっているのだ。

共産党の宣伝部が非常に素早く通信社や主要なウェブサイトに対してそのニュースを第1面に掲載しないよう求めたのも当然である。もちろんchina/divideでKai Panが説明する [5]とおり、上海万博もその要因である。しかし、政府は事件に巻き込まれた子供たちに対して公正性を示しているだろうか?Twocoldsはこのように批判している。

在泰州幼儿园杀人事件中,新闻被控制了,这些孩子们生不逢时,死更不逢时。在相关部门的认识里,在这喜庆的气氛里,这事当属杂音。我们只知道,泰州幼儿园 杀人事件中,受伤32人,政府和医院一再强调,无一死亡,但是坊间又传说,死了多个孩子。你说我应该相信谁呢?相信政府吧,那为什么他们禁止家长见到孩子 呢?

泰州の幼稚園で起こった事件で、ニュースは管制下におかれた。子供たちは悪い時代に生まれ、そして殺された。祝賀ムードの中で、子供たちの死は秩序を乱す雑音となっている。泰州の幼稚園襲撃事件における負傷者の数は、我々の知る限りで32人に上る。政府や病院は死亡者が出なかったことを強調するが、うわさでは数名が死亡したとのことである。誰を信じるべきか?我々の政府を信じてみるとしよう。だが、それではなぜ被害に遭った子供の親がなぜ、自分の子供に会うことを禁じられているのか?

スタン・エイブラムス(Stan Abrams) はchina/divideで、この『復讐心に燃えた行為』の社会に対する影響 [6]を、精神疾患や所得格差、および自制心の欠如といった点を含めて要約している。しかし、許志永氏はこの問題は包み隠しても、あるいは安全管理を強化しても解決しない、と指摘 [7]している。

这些巨大的事件如果仅仅给我们带来社会管理技术上的修补, 我们就失去了更大社会改进的机会。这些事件,尤其是短期内连续发生一系列事件,一定具有更为深刻的社会意义,如果我们拒绝承认这种意义,该事件的结果可能 会朝着相反的方向。以个人恐怖主义五个要素来分析:社会背景——拆迁、社会保障缺失、社会不公等等,这些问题在有的人的头脑里聚集并强化;主角——个性偏 执的个人,但如果连续出现极端个体,这就说明社会问题已经相当严重;受害者——社会中最弱者,需要指出的是,一个人能够把行凶对象指向幼儿园的孩子,这需 要巨大的力量给自己内心填充“合法性”,这些力量来自社会问题的各种信息;震撼性——该事件成为一个巨大的公共事件具有内在必然的逻辑;社会整合——如果 一个社会回避巨大公共事件的深刻含义或者失去了整合的能力,该社会事实的意义可能是强化某种本已存在的失落情绪,这是悲剧中的悲剧。

もしもこの相次ぐ事件が結果として社会を管理する技術を強化するだけならば、我々は社会を改良する機会を逃すことになるだろう。これらの事件にはより深い社会的な意味があるに違いない。もし我々がその意味を認めることを拒否するならば、この事件の結果は相反する方向へと発展することになろう。もし、この問題をテロリズムの5つの主要な特徴に基づいて分析するならば、以下のようになる: 1. 犯人の社会的背景を見ると、強制立ち退きや社会的不公平、社会保障の欠如といった状況に直面している。このような問題は心理作用によって犯人の頭の中で増幅される。2. 犯罪者たちは異常な性格をしている。もし、このような事件が繰り返されるのであれば、おそらく社会が本当に病んでいることを暗示しているのだ。3. 犠牲者は社会の中で最も弱い人々である。もし、幼稚園児に対して怒りを向けるためには、何か本当に大きな問題によってそのことを正当化しなくてはならない。4. ショック – 事件が社会全体の混乱へと変化したという事実にはいくつかの潜在的な理由がある。5. 社会の融和 – もし、社会がこのような大きな事件に取り組むことを避け、事件を解釈し社会をまとめるパワーを失うのであれば、おそらくこのような悲劇を引き起こした感情をより強化することになろう。それはこの事件が引き起こした悲劇よりもずっと悲劇的である。