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マケドニア:バナナ共和国への10ステップ

カテゴリー: セルビア, マケドニア共和国, メディア/ジャーナリズム, 市民メディア, 政治, 行政, 言論の自由

Okno.mk ポータルのコラムニスト Kopach は「バナナ国家 [1]を運営する10の方法」という題名のリスト [2][マケドニア語]を発表した。

著者のペンネームはマケドニア語で「掘る人」の意味である。彼はノーム・チョムスキー [1]の “Year 501: The Conquest Continues” やミクロス・ビロの “Homo Postcommunisticus”(セルビア語によるレビュー [3])やウンベルト・エーコ [4]によるエッセイ「永遠のファシズム」 [5]に刺激を受け参考にしたと書いている。

このリストのリンクはフェイスブックやツイッター、それにコーヒーやビールなどの地域のメディアを介して広く行き渡った。

ステップ1:猿扱いせよ

バナナ国家の運営について議論を始めるにあたって、基本的な前提条件として最初に挙がるのは、市民を猿に仕立てあげようと常にこころがけることだ。それにはさまざまな方法があるが、つまるところは、のろまで従順で無力な野次馬として人々を扱い続けることに尽きる。そのうち、人々は実際に受け身で従順な自分の腹にしか興味のない野次馬に成り下がるのだ。大衆を隅に追い詰め、彼らの居場所はそこなのだと教え込まなければならない。あらゆる社会的な責任から解放され、現状に満足であると思わせるのだ。

ステップ2:リーダーを決めよ

歴史からわかるのは、コサック [6]ですらリーダーを民主的な選挙により選んだということだ。年長者たちはアタマン [7]と呼ばれるリーダーを総会で選ぶのである。(ハリウッド映画のようではないか。)民主的な正当性が保証されているため、在位中に以前は適任だと思っていた部族のメンバーの長の首を切ったとしても問題にならなかった。同様に、バナナ国家もリーダーを中心にすべてが展開されなければならない。リーダーは複数かもしれない。政治的部族に全員を押し込むなど不可能だからだ。リーダーの地位は他のメンバーより高くなければならず、畏怖されていなければならない。

ステップ3:うぬぼれを破壊せよ

決して大衆にうぬぼれや自尊心や自己実現の機会を与えてはならない。簡単にいうと、自分たちの力で何かさせてはいけないということだ。自らの意思で行動させたら、リーダー抜きで物事が実現できるのだと知り、自分の可能性に気がついてしまうかもしれない。大衆が、真摯に努力することにより自分の運命を決めることができるという考えを持つようになり、自尊心を育むことがあってはならない。大衆が得るものは、全部こちらから与えてやるか譲ってやるかしなければならないのだ。、仕事も、賞も、袖の下も、許可も、利権も、大学の単位も、文字通りすべてだ。社会的利益はすべてリーダー個人の判断か支配のもとで公正な手続きや価値判断に基づき分配されなければならない。

ステップ4:キャンディを施せ

バナナ国家を運営するには大衆を「紳士」(または兄弟・姉妹・同士 [8]など)と呼ぶことが大切だ。そして好きなときに檻に詰め込むのだ。馬に砂糖をやるという、騎手のやり口を使えば、馬は騎手に服従し愛着を抱くようになる。そうすれば実際に上に乗り指揮しても文句を言わなくなる。

ステップ5:分断せよ

バナナ国家を運営するための基本的な条件は大衆を分割し、互いを憎みあうように仕向けて力を弱めることだ。このアプローチには大衆の注意をコントロールできるという利点もある。注意深く計画的に国の問題を作り出すことにはいくつも利点がある。

  • 解くのが大変な重大な問題から目を逸らすことができる。
  • 社会的な問題を定め、他の人々がその問題についてどのように考え議論するか決めることができる。
  • 自分の流儀にあうような問題を作り出し解決することができる。
  • 問題を作り出したあとに引っ込めれば、まるであなたが何かを与えたように見える。現状を維持し、あなたにとってずっと重要な別のことをする時間を稼いでいるだけであっても。

ステップ6:仰々しい冒険を強行せよ

昔、大掛かりで仰々しい冒険は、リーダーの永遠性を確かなものとし、リーダーに関する集合記憶に消えない印を刻むために行われた。歴史に個人の印を残すことの重要性は軽くみるべきではないが、今日の仰々しい冒険(プロジェクト・建物・キャンペーン・イベント・建設 [9]など)には、手法や金やその他の資源が増え、ふさわしいと考えられる人間にさまざまな方法で資源を割り当てることができるようになったという重要な側面がある。資源の流量が増えることにより、より楽に大衆を望む場所に導けるようになった。他の効果に加えて、金のダイナミズムのおかげで、どこの誰にどのくらい与えるか予測し、恩恵を受ける人と自分を結びつけることができるようになった。

二つの並行なプロセスがここでは進行している。

  • 資金の一部を得る機会
  • 「合法な」汚職と支持者の「登用」

ステップ7:適度に恐怖を蔓延させよ

民衆に畏敬の念を抱かせるには、ちょうどいい量の恐怖を徐々に植えつけていく必要がある。恐怖を呼び起こすような場面やイベントを選んで見せ、広めてやればよい。 もっともよく使われる手法は敵や意見の異なる人々がどういう羽目になるのか見せることである。より巧妙なやり方としては、過剰または度をすぎた権力を小物の敵や犯罪者、容疑者に対して振るうというのがある。弱者に対する権力を見せ付ければ結果として畏敬の念を抱かせることができる。同時に、無意識のレベルで受け身で従順になるようにすることができる。

ステップ8:非合理を強いよ

もっとも一般的なのは大衆を狂乱状態にすることだ。一般生活に非合理を植えつければ、合理性を追い出し、現実が明らかにならないようにすることができる。市民が非合理性・感情・懐古の念・直感・熱情に囚われるほど、適切な解決策に辿りつき、現実と虚構を区別し、存在するものを想像から区別し、真実を誤りから区別するのが、あなたにとっては簡単になり、彼らにとっては難しくなるのだ。道理や論理、現実的な判断に背き、非合理な行動をするだけで、人々を狂乱させることができる。非合理が例外でなく原則となったときに、大衆の操作というゲームが始まるのかもしれない。

ステップ9:敵を名指しせよ
不可侵で動かしようのないリーダーとしての地位を維持するには、恐怖を別の形にかえ、さまざまな場所に広めなければならない。

一つの方法は、信じられないような抜本的な変化・振る舞い・行動によりあなたを脅かし、あなたの世界をめちゃくちゃにし、あなたが大切に祭り上げているものを汚す者を
明確かつ直接に「敵」・「反逆者」・「敵対者」と名付けることである。

スーパーヒーローになるためには敵が必要だ。どんなバットマンにはジョーカーがいる。スーパーマンには必ずレックス・ルーサー [10]がいる。マーチン・ミステリー [11]には黒服の男(ウィル・スミスとは別の種類ね)がつき物だ。以下略。同時に、「適度に恐怖を蔓延(ステップ7)」させ、不安だ、陰謀が起きている雰囲気を無理やり作り出し、広めることで、あなた自身が名指しされた敵から人民を守った救世主になることができる。

ステップ10:儀式を奨励せよ
権力が自然発生的に頂点から行き渡るために、儀式はもっとも強力な習慣である。前ユーゴスラビア時代に、共産主義者たちは、集会・ユースワークアクション [12]リレー [13]・パレードなどを通じて儀式を極めた。多元的な社会において、宗教儀式の政治化・さまざまな「慈善」活動・スポーツイベントの政治化など、儀式はさまざまな方法で受け継ぐことができる。