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世界:ニュースに取り上げられていない原油流出

カテゴリー: サハラ以南アフリカ, ラテンアメリカ, 北アメリカ, 東アジア, アメリカ, エジプト, シンガポール, ナイジェリア, ベネズエラ, ペルー, 台湾(中華民国), 人権, 健康, 災害, 環境, 経済・ビジネス

メキシコ湾で起こった悲惨な原油流出は、油田掘削の杜撰な経営が引き起こした被害で世界中から注目を浴びた。しかし、世界の各地には同じような毒物流出の被害にあっている人々が他にもいて、ビデオを通して、彼らの苦境も世界に伝えようとしている。

ナイジェリア
ナイジェリアの人々は、ニジェールデルタで起きた石油汚染に何十年間もつき合ってきた。また石油採掘反対活動家の命を狙う人権被害とも戦ってきた。人々は現地で原油採掘行っているシェル社に対し訴訟を起こし [1]、今月はじめ、同社は公判の前日に1億5500万ドルで和解した。この和解金は人権活動家への補償にあてたり、信託基金を設立するために使われる。しかし、環境被害に対する訴訟の方はうまくいっていない。“>この団体によると [2]、原油の「一掃」とは土を掘り起こして原油を目に見えないようにするという意味でしかない。しかし原油は事実そこにあるわけであり、地面は汚染され、人々は病気になってゆく。また燃えて続けているガスの炎に対しては何の措置も取られていない。

これはニジェールデルタの原油流出によって生活を壊された人々のビデオ証言である。

エジプト

紅海にあるフルガタ [3] のビーチでは2、3日前に油があふれ、観光客やホテル経営者達から苦情があがった。これらの苦情は対応され、HEPCA [4] (Hurghata Environmental Protection and Conservation Association)の報告の通り、チーム [5]はすぐに原油流出の原因調査と、措置と、ビーチの清掃のために乗り出した。

シンガポール

一ヶ月前、グローバル・ボイスではシンガポールでの原油流出 [6]を伝えた。これはタンカー2艘の衝突によるもので、結果何バレルもの原油が海を汚染した。これは一般市民が映した原油に覆われた海岸線の映像 [7]である。

ペルー

アマゾンのジャングルにあるマラニョン川は、川沿いにある28地域の唯一の水の供給源だったが、 今月初めのプルスペトロル社の原油流出後は、すべての地域の飲料水が失われ、300バレルの原油汚染のため魚をとることもできなくなった。 ブログGlobalizadonJuan Arellano [8]はこのような原油流出が 水路や川と密接しているアマゾンの野生動物や先住民族の生活に、どれだけ多方面に衝撃を与えているか詳細に包括的に記述している。これは 一般市民が撮影した水に浮かぶ原油の映像 [9]である。

このような事件はペルーでは初めてではない。ロレトでは、同じ プルスペトロル社が引き起こした原油流出が過去にあるが、一掃の努力は正しく行われていない。次のビデオ [10]では、同社は土を掘り返すだけで関係当局がくると流出はすべて除かれたと説明しているが、本当は表面下に今も残っていて水や植物や動物達を汚染し続けていると従業員の一人が証言している。ある地域のメンバーは、 原油の摂取により、彼の友人たちが亡くなったこと、90歳や100歳と高齢まで生きていた人々が今では若い年齢でどんどん亡くなっていることを話している。

ベネズエラ

マラカイボ湖の浜辺で黒いタールのような油を映した写真やビデオ [11]があるにもかかわらず、ベネズエラ環境省は原油流出や問題があることを否定し、2009年から浜辺を汚染し続けているこの状態をCódigo Venezuela reports [12]で「正常」と報告している。

アメリカ

メキシコ湾の原油流出以外にも、ユタ州で同様の流出 [13]があり、シェブロン社のパイプラインが漏れ、3万3000ガロンもの油が水路に流れた。池や湖や川で油を取り除く作業が行われているが、住民はこの汚染が引き起こす影響を心配している。次は油で覆われた小川の短い映像 [14]である。

その他の地域、その他の被害

今だけメディアが原油流出に注目しているように見えるが、2005年には台湾人のブロガーMunch [15]が彼の読者に呼びかけたおかげで、台湾の 蘭嶼島近くで起きた原油流出をメディアに取り上げられた。次の写真は油に覆われていた浜辺が一掃していくところの写真である。

[16]

Cleaning up Oil Spill in Taiwan by Munch

石油だけが海の環境の脅威という訳ではない。2009年、リン酸塩を運んだ船がマダガスカルで沈み [17]、その汚染はクジラを含む海洋生物から沖の水を飲んで病気になった漁師達までと多大な影響を与えた。

石油採掘事業というのは、どれだけ年月がかかっても、石油の需要や利用率に見合うほどの環境安全対策を講じていないように見える。たぶん我々は石油の必要性を改めて見直し、石油採掘をする企業に対して責任をもっと強く要求していく必要があるのかもしれない。