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中国:自宅軟禁された芸術家、艾未未氏のサワガニ・パーティーに対するネット上の反応

カテゴリー: 東アジア, 中国, 人権, 市民メディア, 抗議, 芸術・文化, 言論の自由

著名な中国の現代美術家、活動家である艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏は今月初め、北京の自宅に軟禁 [1]された。これは上海の政界実力者が動いたためと考えられている。艾氏は、違法建築と宣告された自身のスタジオの取り壊し記念パーティーを日曜日に主催するため、上海へと向かう予定であった。艾氏は取り壊しの決定が政治的な理由によるものだと主張している。当局はこれまでもしばしば、その政府に批判的な人権擁護活動に対して怒りを示している。

北京に軟禁されているにもかかわらず、企画されたパーティーには数百もの支援者が出席した。パーティーではサワガニの料理がふるまわれたが、サワガニとはインターネット用語で当局の検閲に対する皮肉を表す [2]ものである。

[3]

上海にある艾未未氏のスタジオ

ネット上でも、艾未未氏をめぐって論争の嵐が巻き起こっていた。それはShanghai Monthlyというブログから始まった。そこには支援者たちが艾氏の指示によって踊らされていたのだとする記事が掲載されている。そのタイトルは AWW, You Are Not Helping [4] というもので、艾氏は軟禁されてパーティーに出席できなかったことを驚きはしなかっただろうと書かれている。

我们对此结果毫不吃惊,相信艾未未先生同样不觉意外,因为稍有基本判断力的人都明白,这事先张扬的河蟹盛宴不可能成功。与其说警方的介入是此事件戏剧性的转折点,不如说这是艾未未河蟹剧本的一部分。这是一场行为艺术表演,艾未未早就预估到了事件的发展轨迹,警员的出现甚至所谓的软禁,都不会出乎他的意料;甚至不如说,这就是他想要的。当英国《卫报》或《纽约时报》迅即刊出艾未未被软禁的新闻时,他一定在草场地的寓所内满足了吧。

我々はこの結果に驚きはしないが、それは艾未未氏にしても同じだろう。常識人ならばこのサワガニ・パーティーが成功するわけがないと考える。警察の介入がこの事件のターニングポイントとなったというよりもむしろ、これは艾未未氏が書いたシナリオの一部だと言うべきだ。これはパフォーマンスアートの一部なのだ。艾未未氏はこの結果を早くから予想していた。同氏にとって警察の存在と自宅軟禁されることはまったく予想不可能ではなく、おそらくこれも彼が望んだことであろう。ガーディアンニューヨークタイムズが自宅軟禁を報道したとき、 彼は静かに満足したに違いない。

如果艾未未先生真的想请大家吃一万只河蟹,“庆祝”他的马陆工作室拆迁的话——我们甚至承认,这是一种平和的、富有幽默感的对抗——那么他就不该如此高调地将盛宴消息提前多日公诸于众,让那些“国际媒体”抱着看好戏的心态等待新闻。他本该利用艺术家的想像力,想出一个更有创造性的方法(或随便什么方法)使这场盛宴成为可能。我们无意质疑艾未未先生的初衷,我们同样不否认“螳臂当车”或者“堂吉诃德斗风车”的勇气;但是要知道,本事件中牵扯到的绝不仅仅是一只手臂或一个人,在这个基于个人选择的事件里还牵扯到千百位民众。——这恰恰是我们不喜欢艾未未的最重要的理由:在我们看来,艾未未先生导演整个河蟹事件的手法,与导演一场团体操无异。每个报名参加河蟹盛宴的人,都是一枚棋子、或一颗瓜子。他们成为了物,成为了团体操的千百分之一。

もし、艾未未氏がスタジオの取り壊しを『祝う』ため、実際に1万匹のサワガニを支援者に振る舞うのだとしたら?さらに私たちが、これを穏やかでユーモアあふれる抵抗だと考えるならば?それならば彼はこのパーティーを早くから目立つようにアナウンスすべきではなかったし、『国際的なメディア』に事が起こるまで待たせるべきでもなかった。艾氏はその芸術的想像力を働かせ、そのパーティーが開催可能となるよう取りはからうべきだったのだ。私たちはその動機を疑うつもりはないし、ドン・キホーテ的精神を否定するわけでもない。だがこの事件はただ1人の人間に関わる問題ではなく、多数の人々に影響を及ぼすことに気づく必要があるのではなかろうか?艾未未氏がこのサワガニ事件を演出しており、これはマスゲームと変わりはない。だから私たちは艾未未氏が好きではないのだ。パーティーに出席すると決めた人々は1個の碁石か、もしくはひまわりの種のようなものだ。彼らはマスゲームの一部となっているのだ。

その記事はBulloggerという題のブログにも転載された [5]が、今天天气哈哈哈というハンドルネームのコメント投稿者は、艾未未氏が単に自分自身を高く評価しすぎているのだという考えを述べている。

今天天气哈哈哈 [222.152.31.*] @ 2010-11-8 16:29:14:
艾未未,也是一很自以为是的人,这种人很难顾及其他人的感受
自我优越感很强
但我还是要说,他怎么样是他的自由
你们别陪他发神经就完了
何必呢?中国的事,是艾未未们改变不了的

艾未未は独善的な人だ
このタイプの人間は他者の感情に注意を払わない
彼は自分自身を高く評価する
だがもちろん、それは自由だ
みなさんは怒ったりしないことだ
なぜなら、艾未未に中国を変えるのは無理だから

しかし、idealleというハンドルネームの投稿者はサワガニ・パーティーが見事なパフォーマンスアートの作品だと考えている。

idealle[74.82.178.*] @ 2010-11-8 19:55:25:
这是艾未未迄今最好的作品,虽然他其它的作品都免不了让我觉得有矫情的成份,但是这个作品打动了我,让我觉得恰到好处,非常艺术,直击灵魂的黑色幽默。一个行为艺术作品,当然需要有设计,当然需要有预见性,当然需要引发不可预测的结果。甚至包括上面这篇文章,也是这个行为艺术作品的一部分。一颗石子,丢入一潭死水,欣赏它激起的涟漪,揣测水潭的深度,和浑浊度,艾未未成功地扮演了一颗石子的角色。

これは艾未未の最高の作品だ。他の作品は偽善的だと私には感じられるが、これには心を動かされた。一種のブラックユーモアであり、アーティスティックで、見事な作品だ。パフォーマンスアートにはもちろん、準備が必要である。予測不可能な偶然も起こりうる。実際、上に投稿されたコメントすらこの作品の一部をなしていると言えよう。ここで艾未未は小さな小石のような役割を果たしている。小石は水の深さや濁り具合を調べるために静かな水面へと投げ込まれ、それから全体へとさざ波が広がっていくのだ。

オリジナルの記事にコメントを残した麦克 [6]は艾氏のパフォーマンスアートがさらに広い範囲で持つ重要性について考えている。

艾未未从未否认过这也是一种艺术抗争的一种方式,同样参加的人也知道及认可这样一种方式,人们的参与是发自自愿并清楚知道可能的后果。中国人需要发出自己的声音。他不是幕后策划,这是幕前策划,这不是阴谋,这是堂堂正正的阳谋!
我尊重你不喜欢艾未未,我个人也未必喜欢他做的每一件事,可是我喜欢他在为我们每一个人呐喊的行为!无论你是否体制内外的五毛,他的行为也在也在为你呐喊。

今まで艾未未は、これが芸術的表現による批判であることを否定していない。同様に、参加者たちもこの表現方法に賛同する人々だ。参加者たちは完全に自発的に参加したものであり、その結果を知っていた。中国の人々は声を聞いてもらう必要がある。艾未未はこの計画の先頭に立っており、舞台裏に隠れているわけではない。だから、これは陰謀ではなくて、正々堂々とした陽謀だ!
私はあなたが艾未未が嫌いであることを尊重する。そして、私も艾未未のすべてが好きなわけではない。彼が私たちひとりひとりの代表として声をあげたことに喜んでいるのだ!体制の内外に関わらず、その声は私たちすべてを代表しているのだ。

ブロガーのLiu HanyuはAWW, You Are Not Helpingの論点を批判して、なぜ艾未未氏を好むのかについてこのように [7]説明している。

最直接的理由是,我认为艾未未一直在尽力做的事情莫过于帮助越来越多的人摆脱恐惧。在许多描述文革历史的作品以及名著《1984》中,我们总可以感觉到一种迫入心扉的恐惧。这些恐惧来自于自儿时起的奴化教育,来自于白色的政治气息,来自于无处不在的监视设备与打小报告者,来自于各种匪夷所思的罪名。

最も直接的な理由はこうだ。艾未未はより多くの人々が恐怖から逃れるための助けを差しのべるために力を尽くしている。文化大革命についてのたくさんの本や、ジョージ・オーウェルの『1984』のような古典小説を読むと、私たちはいつでも恐怖が心の中に入り込んでくるのを感じることができる。人を奴隷化する教育、白色テロの雰囲気、「ビッグブラザー」や検閲があらゆる場所に存在すること、そして私たちにも押しつけられる可能性のある奇妙な刑事責任といったものからこの恐怖がやってくる。

“上海一月”的作者认为,艾未未是在鼓动这些民众来提高自己的知名度,“每个报名参加河蟹盛宴的人,都是一枚棋子、或一颗瓜子。他们成为了物,成为了团体操的千百分之一。” 这种论调与前一段官媒评判世界各国对和平奖的立场的言论十分地相似,阴谋论患者总是会把自己的阴暗内心投射到别人身上,艾未未也许算不得君子,但是像该作者这样能总是以这样龌龊的想法去揣度别人的人,绝不辜负“小人”的称谓。而艾未未,敢于在严打“非法集会”的今天,如此大张旗鼓地举行反河蟹的宴会,值得每一匹草泥马尊敬。

”上海一月”を書いている人たちは、艾未未が自分の人気を保つために支持者たちをあやつっているのだと考えている。『パーティーに出席すると決めた人々は1個の碁石か、もしくはひまわりの種のようなものだ。彼らはマスゲームの一部となっているのだ。』
この論調は、 ノーベル平和賞に対する諸外国の姿勢を当局が批判するのと大変よく似ている。陰謀論者たちはいつも自分たちの暗い物の見方を他人に投影している。艾未未は聖人君子ではないかもしれないが、”上海一月”の書き手は「つまらない人間」と言わざるを得ない。艾未未について言えば、彼があえてこの『違法な』サワガニ・パーティーを開催したという事実から考えて、すべての草泥馬 [8]からの尊敬に値する。