中国および北朝鮮と国境を接するロシア沿海地方では住民たちが、11月23日に延坪島において発生した北朝鮮と韓国の間での砲撃事件を、新しい戦争が起こるのではないかと特別な関心を持って見守っていた。
すべての地方メディアがそのニュースを追いかけていた。韓国に対する支持は少なく、この問題におけるアメリカ合衆国の役割について特に批判が集まっていた。現地の政治家たちは韓国がこの問題を引き起こしたと確信している、とまで述べている。
しかし、沿海地方の住民は予想ほどに戦争の恐れについて口にしてはいなかった。また、新年の韓国旅行チケットの払い戻しに人々が殺到する、というようなこともなかった。そして韓国と北朝鮮の直接戦闘によってウラジオストクの空港が封鎖されるという事態にも至ってはいない。
ただし、地方紙のVladnewsは、この問題発生後に北朝鮮から沿海地方へと出稼ぎに来ていた人々が続々と同地方から立ち去ったと報告した。同紙は、安い労働力となっている北朝鮮からの労働者が消えると景気が冷え込むことになると述べた。
地域ニュースをあつかうウェブサイトVl.Ruは続いて、韓国が北朝鮮への食糧支援を停止したことを伝えたが、そのコメント欄においてsamidinah (самидинах) という読者は陰謀説のひとつを支持してこう述べた。
[…] Южная провоцирует кимченировцев с подачи США.
[…] Россия уже никуда не лезет. Медвепут с […] (Обамой) уже обо всём договорились.
И скоро через нас будет осуществляться транзит пендырской армии.
…ロシアはもはや干渉しないだろう。Medveput… はすでにオバマと話をつけている。
そしてすぐにPendyr の軍隊がわれわれの土地を通っていくだろう。
(原注: “Medveput“はメドベージェフ大統領とプーチン首相の二頭体制を表す軽蔑的な表現。 “Pendyr”はアメリカ人の蔑称である。)
Mozg Cheloveka(”人間の頭脳”の意) は、Vl.Ru紙の同問題を扱う別記事で、新たな戦争勃発の可能性についてこのようなコメントを残している。
Если начнется Ирак-2 (с вторжением америкосов в КНДР), то это будет пипец. Война в 200 километрах от Владивостока.
また、別の人はウラジオストクで2012年に予定されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)が戦争勃発の可能性によって影響を受けるかもしれない、と皮肉めいた調子で述べている。伝えられるところによると、APECサミットの予算は沿海地方全体の年間予算の4倍、バンクーバーで開催されたオリンピックの5倍になると言われている。Zhaba (”ヒキガエル”の意) はこのように述べた。
Эй, там, на распиле бабок саммита АТЭС!Пилите быстрее, похоже ваш саммит накрывается корейским медным тазом!
時がたつとすぐに、沿海地方のネット上の話題は最近起こった吹雪について、APECの準備やその他の生活にかかわる事へと移り変わっていった。
実際に戦争が起こると考えている人は少数派のようである。