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東南アジア:2010年を振り返って

カテゴリー: 東アジア, インドネシア, カンボジア, シンガポール, タイ, フィリピン, ブルネイ, ベトナム, マレーシア, ミャンマー (ビルマ), ラオス, 東ティモール, スポーツ, テクノロジー, デジタル・アクティビズム, メディア/ジャーナリズム, 人権, 労働, 同性愛者の権利 (LGBT), 国際関係, 女性/ジェンダー, 市民メディア, 抗議, 政治, 教育, 歴史, 法律, 環境, 経済・ビジネス, 行政, 言論の自由, 選挙, 難民, 食

ミャンマーのアウンサンスーチーの拘束解除 [1]やタイの赤シャツデモ活動 [2]は、東南アジアの中で、おそらく2010年のトップ政治ニュースであった。しかしグローバスボイスで特集された重要なニュースは他にもある。2010年を振り返った:

ソーシャルメディア

2010年はフィリピンとミャンマーで選挙年だった。フィリピンでは選挙結果をチェック [3]するために、ミャンマーでは選挙ボイコット運動 [4]を広めるために、ソーシャルメディアが効率的に使用された。

ツイッターを通して、フィリピンの人々は9月から「メリークリスマス」 [5]の挨拶をし始めた。ブルネイでは自殺未遂 [6]がツイッターで中継された。#slashingや#369などのハッシュタグは、シンガポールの非難攻撃 [7]で引用された。

マレーシアではブログが国の結束 [8]を高めるために使われた。Borneo Coloursは、世界三大島であるボルネオ島 [9]中のブログをまとめている。BruneiTweetはブルネイの公的なツイッターアカウント [10]である。シンガポールで設立され、今やインドネシア、フィリピン、インドで活動しているsexxie.tv [11]はインタラクティブな性教育ウェブサイトである。グローバルボイス記者のKeta Haluhaは、フェイスブックで活躍したティモール人達 [12]を取り上げた。

東ティモールでは、警官の残虐行為 [13]を撮影した映像が、インターネット上にアップロードされた。フィリピン人の家政婦は、在香港フィリピン労働担当大使館員が助けを求めた労働者に対しどのような対応したかを録音 [14]した。インドネシアのソニーという名前のブロガーは、 商標権侵害をめぐりソニー社から告訴 [15]された。タイのフェイスブックユーザーは、自国の文化省 [16]を非難するページを作った。ベトナムのある父親は、行方不明になった自分の娘の救助 [17]をネット上で求めた。

グローバルボイスは以下市民メディアにイベントについて報告した:
シンガポールでのTwestival [18]プノンペンでのBarcamp [19]、ミャンマー初のヤンゴンでのBarcamp [20]サイゴンでのBarcampとEducamp [21]

Screenshot of Global Voices website being banned in Myanmar [22]

ミャンマーで差し止められたグローバルボイスのウェブサイトのスクリーンショット。

検閲制度

ウェブやメディアの検閲制度は、地域で強化されてきている。報道の自由や表現の自由は、マレーシア [23]シンガポール [24]カンボジア [25]のブロガーが積極的に記事にしているトピックである。

インターネットの自由は、カンボジアのインターネットファイアーウォール [26]やタイのサイバースカウト [27]プログラム等、様々な法的措置で規制されている。ネット上では、グローバルボイスを含む、多くのウェブサイトやブログがミャンマーで閲覧不可 [28]となっていることが批判されている。どこの政府も若者のモラルを守るために、ウェブ上の有害 [29]な内容をブロックしていると言い訳をしている。

メディアの自由を向上させるために、フィリピンでは市民グループが、情報公開法案 [30]の設立を推し進めている。一方、インドネシアのネット上では、政府によって作成された抑圧的 [31]なインターネット法案が反対されている。

[32]

Jogjakuのフェイスブックより、インドネシアの噴火の影響の写真。

災害

2010年は災害の年でもあった。一番被害がひどかったのは、カンボジアの水祭り [33]での殺到事故 [34]である。

インドネシアは、48時間 [35]の間に地震、津波、火山噴火が起きた。洪水被害はインドネシアの西パプア州 [36]、シンガポール、タイ [37]、ベトナム、マレーシア北部 [38]で発生した。洪水のシンガポールのショッピングエリア [39]を想像してほしい。バンコクでは何週間も水浸し [40]となった。フィリピンでは7月に水不足 [41]が起きた。

シンガポールの人々は、シンガポール、マレーシア、インドネシアで発生したもや [42]に一番悩まされた。また、原油流出 [43]はシンガポールの海岸地域を破壊した。

ネット上では、4月に起きたインドネシア、スマトラ [44]での地震の影響が取り上げられた。市民ジャーナリスト達は、火山噴火によって家を追いやられたフィリピン、アルバイ州の避難民 [45]の状況を伝えた。

[46]

燃え上がるバンコク。BKKApologistの写真より。

政治

前にも述べたように、二ヶ月 [47]政府を停滞させたタイの赤シャツデモが、2010年のトップ政治事件であろう。

何千もの反政府抗議者が首都に押し寄せ [48]、政府の建物を封鎖 [49]し、首相の辞任を要求した。抗議者が建物や政府の役員の家に血を撒いたので、まさに血なまぐさい [50]抗議となった。機関が課した検閲があるにも関わらず、抗議者と軍隊のバンコクでの衝突 [51]ブロガー達 [52]によって書かれた。

東南アジアのもう一つ重大な政治的事件は、スーチーの拘束解除である。今のところ世界の注目は浴びていないようだが、ミャンマーの [53]を占めているのは、未だ軍を後ろ盾にした党である。ちなみにミャンマーには新しい国旗と名前 [54]がある。

カンボジアのクメール・ルージュ政権が消滅し30年以上立った今、初めての有罪判決 [55]が、クメール・ルージュの法廷で渡された。カン・ケク・イウ、通称ダック、の非人道的犯罪に対する有罪判決は、国際的に重大ニュースとなった。

またラオスではクラスター弾に関する条約 [56]が開かれ、ラオスは最も被害にあった国であるという事実が強調された。

インドネシアでのオバマ大統領の帰郷 [57]スピーチは、多くのインドネシアの人々を感動させた。ネット上で活発に取り上げられたもう一つのスピーチは、インドネシアの大統領の独立記念日でのスピーチ [58]であった。

マレーシア−インドネシア間の領海問題 [59]は、この地域の数ある国境争いの一つである。フィリピンは香港に対し、9人の香港の観光客がバスの人質事件 [60]で殺されたことを謝罪 [61]した。

[62]

ウィキリークス [63]

ウィキリークスは、この地域の政治について面白いゴシップを提供した。シンガポールのリー・クアンユーは北朝鮮人を肥満男に独裁された精神病人間 [64]だと言った。シンガポールの別の上級外交官も隣国 [65]のリーダー達のことをあからさまな悪い言葉で言っている。思った通り、シンガポールはウィキリークスの暴露を、単なるカクテルトーク [66]だと一蹴した。

マレーシアは、もともとイランのためだったミサイル技術を中国から購入したことを否定 [67]した。タイから漏れた情報は、Viktor Bout事件 [68]に関する国際的圧力を暴いた。Boutは世界トップレベルの武器密輸業者との理由で告発されている。

ウィキリークスをまねた [69]Thaileaks、Indoleaks、Pinoyleaksなどが出現した。

経済

マレーシアは2010年に、新しい経済モデル [70]を立ち上げた。2011年の国の予算 [71]、特に新しいメガタワー [72]を建設する計画について首相が発表すると、ブロガー達は強く反発した。

シンガポールでは、最低賃金法 [73]を課すべきかをめぐり、熱い議論がされている。インドネシアの銀行救済 [74]は、政治的に議論を巻き起こしている。ラオスとフィリピンでは新しい紙幣 [75]が発行されたが、一部の評論家は不満を持っている。

スポーツ

この地域のサッカーのブログ [76]はグローバルボイスで何度か取り上げられた。ASEANサッカー選手権、特に決勝 [77]のマレーシア対インドネシア戦は話題となった。カンボジア [78]ミャンマー [79]のブロガーは、ワールドカップについていろいろと面白いコメントを書いた。

宗教

マレーシア [80]インドネシア [81]ではキリスト教会が攻撃された。教会のリーダー達 [82]も攻撃された。カンボジアでは僧侶の品行方正 [83]が疑問視された。シンガポールのある牧師 [84]は、道教や仏教の教えを嘲笑した。また、ブルネイのイスラム教徒のラマダンの祝い方 [85]が取り上げられた。タイでは、バンコクの仏教寺院で二千体以上の胎児の遺体 [86]が見つかるというショッキングな事件があった。

教育

教育予算の削減 [87]で、フィリピンの学生達は公立大学でストライキを打った。性教育 [88]を学校のカリキュラムに含めるという提案が、インターネット上で議論の的となった。

マレーシアでは、初等教育 [89]で二つの試験を廃止 [90]する等、教育改革が施行された。また、医者と研修医の定員過剰により、医大プログラムは一時休止 [91]となった。

[92]

Pink Dot Blogによる写真。

ジェンダー

フィリピンの政治グループは更新制結婚 [93]法を提案した。また、マレーシアでは幼な妻 [94]問題が取り上げられた。

カンボジアで初めて作られた女性のためのウェブポータル [95]はオンラインコミュニティーで温かく受け入れられた。インドネシアの女性起業家 [96]への援助はますます増えている。ブルネイのブロガー達は乳癌 [97]に対する意識を高めた。

LGBTコミュニティーと連携したシンガポールのPink Dotイベント [98]は成功をおさめた。カンボジアのブロガー達はLGBTの問題 [99]についてオープンに議論した。

マレーシアの三人の女性は、不純な性行為 [100]によりむち打ちの刑を受けた。フィリピンのフライトアテンダントの踊り [101]が性差別的だと非難された。

その他のグローバルボイスでの話題

フィリピンの2007年の踊る囚人達 [102]は、今年は変わって踊る収税官 [103]となった。東南アジアで人気のドリアン [104]は、フルーツの王様である。シンガポールの食べ物ブロガーは食べ物を無料 [105]でもらうべきか?

このブルネイの「アイムソーリー」 [106]のビデオは多くの人によって視聴された。インドネシアの選挙ラリーでは水牛 [107]が禁止された。公共物破壊の罪により、スイス人がシンガポールでむち打ちの刑 [108]を受けた。

マレーシアのやし油 [109]製造は、エネルギー問題だけではない。マレーシアでは歴史的な刑務所 [110]が解体された。カンボジアでの抗議活動は自由公園 [111]でのみ許可された。ハノイでは建国1000年記念 [112]が祝われた。

グローバルボイスの東南アジアチームを代表して、2010年を支えてくれた私達の読者に感謝します。これからもこの地域に関した素晴らしい市民メディアの話題を取り上げて行きたいと思います。2011年も良い年になりますように。