ウクライナの首都キエフは東ヨーロッパの中でも最も歴史ある市のひとつで、市内には目を引く建設物が多く立ち並んでいる。その中にはユネスコの世界遺産として知られるキエフ・ペチェールシク大修道院や聖ソフィア大聖堂などといった、歴史的に有名な建物や教会も名を連ねている。またキエフはヨーロッパでもっとも環境にやさしい都市上位30位に入っている唯一のCIS(独立国家共同体)の市でもある。
しかし近年、歴史あるキエフの中心街に無秩序な都市建設計画が進んでいるとして、ネット内外で熱い議論が巻き起こっている。事態を現す例のひとつとして、2010年の10月、キエフ市長が聖ソフィア大聖堂周辺の複合型住居の建設禁止を表明したという事態があげられる。地元住民からの激しい反発や、ユネスコから大聖堂を世界遺産のリストから除外するとの警告を受けたからだ。
キエフに建設ブームが起こる中、市の歴史的景観を守り、公園や行楽地が高級マンションやオフィスビルにとって代わるのを防ごうと、市民たちはさまざまな場面で団結しはじめた。こういった事例が重なり、市民運動の賜物「セーブ・オールド・キエフ(Save Old Kyiv:古き良きキエフを守ろう)が発足した。これは、同じような目的のために設立されたライブ・ジャーナル・コミュニティから名を受けたNGO団体である。
しかし残念なことに、彼らの努力がいつも実を結ぶとは限らなかった。キエフの歴史家でありブロガーのミハイル・カルニツキ(Mikhail Kalnitskiy:ライブジャーナルのユーザー名mik-kiev)は、ある悲しい例をあげている。新しい建設物がパトン橋(ドニエプル河の左岸から市街地へ入る主要な場所)から臨むラヴラ修道院の歴史的な景観を台無しにしていくようすが、彼のブログの2010年の記事にありありと描き出されている。
[…] Не буду говорить о том ландшафте, который открывается сегодня из окон березняковских небоскребов (в нем на Лавру накладываются сзади многие строения). Но все же, к примеру, сооружая комплекс не столь уж высоких домов на улице Суворова, ориентировались не на жителей подобных небоскребов, а все на тот же обзор с моста Патона. А оттуда эти дома практически не влияют на панораму Лавры, чего и добивались проектировщики в 1970-е годы.
Но для их нынешних коллег не существует ограничений…
Сначала был искажен вид из левых окон. Здесь негаданно-нежданно объявилось то здание, которое выросло на Зверинецкой улице близ метро “Выдубичи” – так называемый комплекс “Триумф”. […] Никто не просчитал его видимость с моста Патона.
しかし現代の同業者たちは限度を知らない・・・。
まず左岸からの眺めが損なわれた。突然「トライアンフ」複合施設とかいうものがツヴェリネツカ(Zverynetska)通りに出現し、地下鉄のヴドゥビチ(Vydubychi)駅へと続いていった。(・・・)それがパトン橋からどのように見えるかなど、誰ひとり考えもしなかった。
彼はこう続ける:
После того, как пропала охота смотреть с моста Патона налево, пришел черед и правой стороны, где царила Лавра. Теперь в силуэт нашего главного монастыря врезалась неуклюжая новостройка, о чем уже многие писали. […]
Большее архитектурное хамство трудно себе представить…
大きな建物の厚かましさといったら想像もつかない・・・。
カルニツキはブログ記事の最後で、ラヴラの歴史ある景観をさらに悪化させる都市計画があることを 警告している 。
上の写真の建物の建設者たちは、法的な正当性や建築的価値が疑問視される建築計画に関わっているとして、セーブ・オールド・キエフのブラックリスト に載っている。同NGOは、そのような建物が建設中または計画中の場所を掲載したインタラクティブ・マップも作っている。現在セーブ・オールド・キエフのウォッチリストには30以上の注目箇所がある。
その中には、地下鉄テートラルナ(Teatralna)駅周辺にある2軒の古い建物の間に、4階建てのビジネス・ショッピング複合施設を挟み込もうという計画がある。Neeka’s Backlogの中で、ヴェロニカ・ホフロワ(Veronica Khokhlova)はこのように書いている:
地下鉄テートラルナ駅の上(と、ロシアン・ドラマ・シアターからの通り)の建設工事が、またとても活発になっている。この不快な計画に対して様々な反対運動が起こっているし、世論にも反しているというのに。
かつてそこのアパートの前には、ほんの猫の額ほど、花の咲いた土地があった。さして特別な場所ではないけれど、それがあんなにもばかげたやり方でなくなった今、ああいった場所が絶対的に重要なスペースなんだということが良くわかった。
彼女は2月1日に起こった建設反対運動の 写真にもリンクをはっている。
醜悪な建設計画はさておき、キエフの建築物がいいかげんに扱われていることや、市民や行政の側に美的感覚が欠如していることなど、たくさんのブロガーが都市の発展に関連した頭の痛い問題を指摘している。キエフを活動の拠点にしている写真家ジョージ (ライブジャーナルのユーザー名:gk-bang)は、近年のヤロスラヴィフ・バル(Yaroslaviv Val)通りの変化をフィルムに 収めている。
同じ建物の以前の様子を写した写真と比較してみよう:

彼はこうつづる :
Для городского облика рейдерские разборки по поводу этого участка закончились созерцанием вот такого прекрасного цельнометаллического надёжного и долговечного забора. […] А то, понимаете, было какое-то неподобство – аккуратная ограда.
ジョージは市の中心にある公園、独立広場(デモや反対運動の会場としてよく利用される)の写真を投稿し、改築中(広場のタイルには何枚分か穴が開いている)の範囲と、それを取り囲んでいる緑色の木製フェンスのアンバランスさをからかったりしている。
彼はこう書いている :
Мы шо, хельсенки какие-то, чтобы выставлять по периметру ограждение с рисункаи, графити или фото-обоями.[…] В часности радует тот масштаб работ, ради которого затеяна столь необходимая реконструкция. И, вдагонку, заведена пара уголовных дел.