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チリ:教育改革を求め生徒が学校を占拠

カテゴリー: ラテンアメリカ, チリ, 市民メディア, 抗議, 教育, 若者, 行政

この1か月間というもの、チリの学生らは国中の何百もの学校を支配し、教室を仮の住居にして無償かつより質の高い教育を要求している。Paul Kearneyはブログ”Back in a Bit”で次のように説明している [1]

生徒たちは、ピノチェト軍事政権下で作られた自由主義経済の教育に反対している。それは、費用の増大と格差、お粗末な教育政策をもたらしたのだ。特に、彼らは大学教育の費用増大につながる法律を導入することに抗議しているが、同時に教育システム自体を完全に変えることを要求している。彼らが求めているのは、憲法を改革し、優れた無償教育を提供するために政府の義務を変えるということである。生徒たちの中にはさらに踏み込んで学校を支配し(tomaと呼ばれる行為)、彼らの要求が応じられるまでそこを占拠しようとしている。

A high school ("liceo") taken over by students in Santiago, Chile. Image by Flickr user Erwin Horment (CC BY-ND 2.0). [2]

チリのSantiagoで生徒に占拠される高校 Image by Flickr user Erwin Horment (CC BY-ND 2.0).

Paulは、チリ南部のLos Lagos [3]の学校がどのようにして生徒たちに占拠されたのか次のように説明している。

金曜日(7月15日)Los Lagos市長、校長、教諭、親や友人たちが学校に到着すると30から60人の生徒が学校を占拠していた。午前1時30分、その時分は凍りつくような寒さであったろうが、生徒たちはフェンスを乗り越え、鍵のかかったドアを開け、警報を解除し、市民の立ち入りを禁止する看板を掲げ門にチェーンをかけた。

Paulは学校の中に入り、彼が見たものを引き続き詳しく描写し次のように締めくくった。

冒険心からそこいる生徒もいれば、国の教育に関して何かしたいがために居座っている生徒もいた。ここには脇に憲法のコピーを抱えて歩き回る生徒はいなかった。そうかといって他の学校で見られるように、生徒たちは酒を飲んでいるのでもなく、窓を壊しているというわけでもなかった。そこには、何か興奮した感覚と目的意識が漂っていた。ある生徒が「皆がこれほどまでに団結してるって、なんて素晴らしいんだろう」言ったように。「怖いなあ!外に調査員がいる。」「どうやったら暖房がつくんだろう?」「早く来いよ!麺が焦げちゃうぞ。」というような叫び声の中で、生徒たちは質の高い教育を受ける権利を求めて立ち上がっていた。

Cristóbal Cornejoも、「toma」についての観察記事をチリのニュース雑誌「El Ciudadano」 [4]に寄せている。また彼は、チリ全土で40万を超える人々 [5]が教育改革を求めてデモ行進した [6]日の前日にあたる6月29日の夜の様子を、SantiagoのダウンタウンにあるAmunátegui高校から報告している。

Students hang chairs and desks from the schools' gates to show they are in a "toma". Image by Flickr user Erwin Horment (CC BY-ND 2.0). [7]

生徒たちは門に椅子や机を引っ掛けて、彼らが"toma"をしていることを示している。 Image by Flickr user Erwin Horment (CC BY-ND 2.0).

Una tarde lluviosa en Santiago. Cientos de colegios y universidades paralizadas o en toma a lo largo de Chile. Adentro de ellos, se combate el frío, el hambre y la humedad con los métodos que estén al alcance de la imaginación. Más allá de la comida y el abrigo está el calor de los compañeros que se unen en la lucha por un presente y un futuro que asegure que nadie que no tenga dinero se vea excluido de educarse, por ende, de crecer y liberarse, al menos relativamente.

雨が降るサンティアゴの午後。チリ全土の数百に及ぶ学校や大学は、学生らに占拠されてその機能は麻痺していた。中では、学生たちが考えつく限りの方法を駆使して寒さと空腹、そして湿気と戦っている。食べ物や避難所のような快適さを超え、そこには共に戦ってきた生徒たちの温もりがある。彼らは団結する。現在の教育の改革を求めるために。そして、お金がなければ教育を受けられず、結果として成長できないということがない将来を保障され、今より自由になるために。

学生が占拠する校舎内で何が起こっているのかレポートしているのは、学校の外にいる人間だけではない。国中の「toma」の状態にある学校では、学生たちはネットを利用し動画ビデオやブログを通じて彼らが経験していることを共有していた。

Curicó [8](チリ中部の渓谷、Santiagoの南部の町)にある Zapallar高校の若者たちがブログを通じて写真や「toma」の一連の様子 [9]について伝えていたように。あるブログ [10]の中で、Diego Ortegaは6月16日に150人ほどの学生が学校を静かにに占有し、現在のところ25から35人の生徒が仲間を代表して校舎内にいると説明している。彼は説明した:

次のビデオは、サンティアゴ社会で取り残された町Población Los Nogalesにある技術専門学校(職業訓練校)で撮影された。リーダーの学生が、不安定な状況にある校内を私たちに案内してくれた。

CanalFech [11](チリ大学の学生連合のユーチューブチャンネル)は、サンティアゴのいくつかの学校における「toma」の様子を伝える映像(リンク先:Liceo 7 de Ñuñoa [12] , Liceo A-13 Confederación Suiza [13])とチリ大学の学生が‘casa central'(大学本部)を占拠する最新の様子を掲載した。

もっと軽いニュースとしては、Colectivo FAUNA [14](チリ大学の建築・都市計画を学ぶ学生)が「教育のために立ち上がろうとしない学生を招待するため」のパロディ「Grease(潤滑油)」を制作した。

今のところ、学生はどこにも行こうとしない。現地の新聞The Santiago Times [15]は2011年7月17日曜日、次のような記事を載せた。「9時間以上に及ぶ議論の後、Confederación de Estudiantes de Chile (Confech)の学生代表者は学生による学校の占拠を継続することに同意した。また、彼らはより大きな政治的側面を彼らのストライキ活動に取り込むことを明言し、政府にこの運動を「犯罪化」しないよう懇願した。

一方で、7月18日月曜日には、大統領Sebastián Piñeraが現在の教育担当相を Joaquin Lavín [16]から元司法大臣のFelipe Bulnesに変更するという内閣人事を発表した。同省の新担当相が学生たちに「toma」を止めるよう説得するかどうかはまだ分からない。しかし今のところ、学生らは教育の質の向上と無償教育のために動じない様子である。