- Global Voices 日本語 - https://jp.globalvoices.org -

キューバ:国連人権委員会のLGBTに関する決議案でのキューバの票

カテゴリー: ラテンアメリカ, キューバ, 人権, 同性愛者の権利 (LGBT), 市民メディア, 政治

6月17日金曜日、国連人権委員会は「性的指向を理由としての暴力や差別に対する強い懸念」を表明した決議案を可決した [1]。同委員会は議決案の一部として、LGBTコミュニティーへの差別に関しての世界的な調査を呼びかけた。

決議案の可決は簡単ではなかった。23カ国は賛成票を投じた一方、19カ国は反対票、3カ国は白票を投じたのだ。

その賛成票を投じた国々の中にキューバがあった。議案の採決後、キューバのブロガーやツイッターユーザーは母国のLGBTコミュニティーのこの大きな勝利を祝ったのだった。

国家中央性教育機関オフィシヤルブログ Diversidad CENESEX [2](スペイン語)はこう書いている

El voto favorable de Cuba es muestra de la voluntad política de nuestro Partido y Estado en eliminar todas las formas de discriminación que lamentablemente aún persisten en la sociedad cubana.

この賛成票は、キューバ社会に遺憾ながらも存在するいかなる形の差別をも排除しようという、我らが(社会主義)政党と国家の政治的意思を示している。

国家が支援するCENESEXやHombres para la Diversidad(多様性へ向かう人類)といったLGBT権利団体が議案の支持を声高に叫ぶ一方で、独立の(非政府の)団体もこの動きに貢献してきた。
Laisla y la espina(島とトゲ:スペイン語) [3]はサンティアゴ市で5月に開かれた同議案への賛成票を呼びかけるゲイパレードを取材した。ブログの著者はこう書いている。

No estoy viendo una película. Son las calles de mi ciudad. Jornada cubana contra la homofobia.

私は映画を見ている訳ではない。私の町の路を見ているのだ。キューバのホモフォビアへの戦いだ。

キューバのLGBTブログコミュニティーで最も有名なサイトの1つである、Paquito el de Cuba(スペイン語) [4]は議決が示す大きな意味について記事を書いている。しかし同時に彼は、議案への大多数の支持にも関わらず、国の出版団体はオンラインでのみこの出来事について記事を書いたことを指摘した。つまり、紙媒体の出版物にはこの議決についての記事は書かれなかったのだ。

…los diarios impresos nacionales…no tuvieron a su disposición ningún despacho de esa agencia de prensa que diera cuenta del suceso.

[…]

¿Porqué perdimos esta oportunidad de educar a la población sobre cuál es laposición del Partido, el Estado y el gobierno de Cuba en relación con talestemas?  […] ¿Qué impidió adecuar la información que brindaron los sitios digitales cubanos a lasversiones impresas de los diarios?

…国の紙媒体の新聞出版各社は、この出来事についての情報を提供出来たであろう報道団体から、まったく何の情報も受け取っていなかったのだ。
[…]
なぜ私たちはこの問題に関するキューバの政党の、国家の、そして政府の立場を国民に示す機会をみすみす失ったのだろう?
[…]
一体何が原因で、オンラインのニュースサイトが取得出来た情報を紙媒体の新聞出版社が入手できなかったのか?

キューバの賛成票は、国際的な場面で先進的な政策をとっていきたいという政府の思惑を表している。その一方で、この出来事を国民へと広く知れ渡すためには、国家、そして社会の努力がまだまだ必要なようである。

* サムネール画像はFlickrのユーザーであるMarlith [5]の提供。CC Licence BY-2.0 [6]のもとで再公開。