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フィリピン:台風「センドン」の被害で政府が国家災害宣言

カテゴリー: 東アジア, フィリピン, 市民メディア, 災害, 環境, 難民

台風「センドン」 [1](国際名Washi)がフィリピン南部に位置するミンダナオ島北部の多くの地域を破壊したことを受けて、大統領は国家災害 [2] を宣言した。 政府によると、先週センドンがもたらした洪水の影響でカガヤン・デ・オロ市とイリガン市では、1,080人が死亡し [3] さらに1000人が未だ行方不明だという。

Rubzは被災者 [4]の話を紹介した。

午後10時頃、彼女は家の屋根が揺れる音が聞こえた。雨は降り続いていた。そして突然両親が彼女を呼び、水位が上がってきていると言った…。彼らは木に登って耐えることにしたが、近所の家の一つが流れてきて父親と共にその木を押し倒してしまった…。彼女はジャンプを繰り返し、大きな丸太に掴まることができた。その上に乗ってカガヤン・デ・オロ川を流れていると、冷蔵庫に掴まって浮かんでいる一家を見つけた。彼らに助けを求め、手を借りてその冷蔵庫に掴まった。その冷蔵庫には子供を含めて6人が掴まっていた…。洪水が起こったのは寒い夜の間だったので周りはあまり見えなかったが、たくさんの人が助けを求めて叫んでいる声が聞こえた…。日が昇ると、彼らは近くに多数の死体が浮かんでいることに気付いた。

Overview of flood impact. Photo from Tony Alejo on Facebook. [5]

洪水被害の状況。Tony AlejoのFacebook投稿より。

ミンダナオ島にある住居 [6]は洪水で被害を受けた。

昨日目を覚ましてから、あまりに多くのことが起こった。強い雨風を乗り切って、何時間も続いた停電を耐えて、水道が止まっていることを知った。それに、カガヤン・デ・オロ市にある簡素な事務所も被害を受けたことを知って、事業損失は避けられないとわかった。でも、私たち家族は感謝すべきことがたくさんある。家族全員が無事に生きていて、困っている人たちを助けることができるのだから。

#sendong [7]のハッシュタグを通して、ネットユーザーたちは洪水の被害者に同情の意を表した。

@jeffcanoy [8]: ある女性は、死体の指の結婚指輪を見てその死体が自分の夫だとわかったらしい。 #Sendong #heartbreak

@momblogger [9]: お願いだから今は被災者に向かって「それでも人生は続いていくさ」なんて言わないで。深い傷を負ったばかりなんだから。いずれ新しい人生に向かって前に進むことができるようになるでしょう。

@piacayetano [10]: #Sendongの被災者のために自分ができる小さなことなど意味がないなんて、絶対に思わないで。意味はあるんだから。

この映像はバユーグ島 [11]で水位が上がっていく様子を映している。

ネットユーザーはまた、。赤十字 [12]政府 [13]の救助活動に加えて、どうやって洪水の被害者を助けるか [14] について積極的に情報を広めている。洪水の壊滅的被害の様子をとらえた市民メディアの写真 [15] もFacebookに上げられている。 [16]

Damaged car. Photo from Alam Kana Nakin. [17]

損傷した車。Alam Kana Nakin撮影。

Flooded street. Photo from Alam Kana Nakin [18]

水浸しの道。Alam Kana Nakin撮影。

Scene inside an evacuation center. Photo from Beatriz Arcinas Cañedo [19]

避難所の中の状況。Beatriz Arcinas Canedo撮影。

Flooded village. Photo from Rachel Monterona [20]

浸水した村。Rachel Monterona撮影。

Pecier Decierdoは、台風の凄まじい被害を最小限に抑えるためには科学的リテラシー [21] が必要だと強調する。

センドンが引き起こした悲劇の被害者の人々に対しては心が痛むが、この出来事からしっかりと教訓を学ばなければならない。国民にとっても政府にとっても、地球がどのように活動しているのか、そして気候の変化によりその活動がどのように変わっているのかをもっと学ぶことで、同じような悲劇が繰り返されるのを防ぐことができる。

この痛ましい悲劇をきっかけに国民と政策当局は、今日では高いレベルの科学的リテラシーに基づいて決定を下すことは生死に関わる問題なのだということを心に留めておこう。

Stuart Santiagoは大統領が台風の余波を受けて行った演説 [22]を醒めた様子で聞いていた。

なぜ自分の命令にも関わらず違法な伐採はなくならないのか、なぜ警告があっても人々は避難しようとしないのか、そもそもなぜ危険な地域に家を建てて住むのか、なぜ救助隊は警告を無視した人々を助けるのに自らの命を危険に晒さなくてはいけないのか、と大統領が話すのを聞いていたが、それを聞く限り、絶大な権力を持っているのにも関わらず、大統領は将来起こるセンドン級の台風がもたらす壊滅的被害を軽減する方法を考え出せそうにない。