中国:米国の「太平洋の世紀」着手にナショナリズムが反応

中国では人気のブログポータルサイトのほとんどに軍事ニュースに関する欄があるが、エンターテイメントや恋愛・交際板にある話題により埋もれてしまうことが多い。
しかし、インドが中国との国境沿いに駐留軍を強化し続けているといううわさ が10月頃にひそかにたち始めるとともに、軍事トピックの掲載数が増加し、有名なブログのホスティングサイト上で盛り上がってきているようだ。そして、米国務長官ヒラリー・クリントンと、インドネシアで 土曜日に締めくくられた米大統領バラク・オバマの「太平洋戦略」に対する反応によって、先週には最高潮に達した。

中国の温家宝首相は、「中国は 良き隣人なのだが、最近のブログやコメント欄を見ると、どうもそうではないと言いたいのが多いようだ」と主張している。

オーストラリア訪問中のオバマ大統領は水曜日に、当地での米軍駐留拡大計画を発表したが、「中国を恐れない」と表明 したことが中国ではそのニュースの見出しに採りあげられた。Tencent [zh]のようなサイトの読者は、ふだんはリベラルとシニカルの入り交じったコメントをしているが、今回のニュースではコメント欄には感情的なコメントをし、人気投票で上位に並んだ。

奥巴马说话太牛气中国现实需要一个年轻时期的诸葛亮

オバマ大統領の話し方はあまりにも傲慢だ。中国が今必要としているのは、若き日の孔明 [zh] のような人物だ。

求求中国那些懦夫们不要在发言了,羞死国人!气死我了!!!!!!
为丧失国土而哭!为美债而怒!为汉奸论而怒火冲霄!
我愿为中华民族而拔刀。。。。。。。。。。

中国の全ての臆病者の皆さまへ、話をするのはやめて欲ください。死ぬほど恥ずかしいし、頭にくるよ!私は、中国が領土を失ったことについて嘆いているし、アメリカの負債について怒り狂っているんだ!そして、こうした裏切りのコメントに激しい怒りを注入する!その中国人と対決する準備はできている……

つまり、オバマ大統領は先週、自身の最近の行動について、アジアにおける中国の勢力を確認するのが狙いであるとの 明言はさけた が、中国人の国家主義的感情にとっては、その行動が、中国を包囲するより大きな戦略 の確認というだけでなく、さらに拡大したアプローチと受け止められているということである。

オーストラリア国籍の作家であり、国際問題に関する学者である楊恒均は、今週この件について綴った

美国要对付中国,军事围堵当然少不了,而且他正好可以消化十年反恐中剩下的军力。这对于中国是很不妙的,我们过去20年经济大发展就得力于相对和平的国际环境,一旦北京决策者像年轻人一样头脑发热,要在军事上应战,像前苏联一样勒紧裤腰带、穷兵黩武,那么离苏联曾经走过的路就不远了。

在目前的国际环境与历史时期,我认为中美之间开战的可能不是没有,但战场是在经济领域。真正能够打得起来的战争其实是“经济战”,或者说“经济冷战”,军事部署只不过是美国人的大战略的一部分,决定胜负的是经济——是民众的生活水平能否提高,民众是否感到幸福,人心向背等等。其中最关键的因素是价值理念等“软实力”、“巧实力”的交锋。

もし米国が中国を相手にすることになるのであれば、軍事包囲はその一部となるであろう。これはまさに、テロとの戦いから10年になり、制限解除で強化された軍事力を米国が持つことを意味する。これは中国にとって好ましいことは一つもない。20年に及び経済は成熟し、拡張したことによって、国際舞台において我々にはそれなりの平和がもたらされるべきであったのに、もし、政治家らが、戦争の準備をし、旧ソビエトが行ったように引締めを始め、武装化し、攻撃的になる必要がないという幼稚な考えを持っているのであれば、 旧ソビエトが歩んだのと程遠からぬ同じ道を歩むことになるであろう。

現段階では、歴史的にも国際情勢においても、中米間に戦争の可能性がないわけではないが、どちらかと言えば、それは、経済的な要素を含んだものになると思う。実際の戦争は経済戦争、すなわち「経済冷戦」である。軍事派遣は、米国の戦略全体の一部である。勝敗を決定するのは経済力であり、国民の生活水準が良くなるか、公衆が満足するのか、国民の支持を得られるのかなどだと思う。対立の鍵を握るのは、価値観、ソフトパワー、スマートパワーのようなものになると思う。
[…]

如果我没有说错,中美在经济领域的前哨战已经打响了。事实上,我们已经看到美国在经济上全面出击了。我们告别了“中国可以说不”的时代,迎来的却是“世界开始对中国说不”。

私が間違っていなければ、中米間の経済戦争の第一弾はすでに始まっている。事実、米国は経済の最前線すべてに攻撃をしているのが見て取れる。我々は “「中国がNoと言える」 時代に別れを告げ、「世界が中国に対してNoと言いだす」時代を迎えてしまった。

以下楊恒均のブログ投稿のコメントより。

不知要到何时中国人成能真真站起来,做一个有尊严的人!!

結局、中国人が立ち上がり、尊敬を受けることができるのはいつになるのであろう?

我们要在软实力上战胜美国,先得战胜国人的心。

我々のソフトパワーは米国のみならず、我々自身の心や気持ちに勝利する必要がある。

美国对中国是从希望到失望。国人只知道美国军舰进入太平洋,只知道希拉里去菲律宾,奥巴马进澳大利亚,美国大兵进驻澳洲,可就是不知道他们为什么来到这里,是谁把他们引到这里来的。

米国の中国に対する希望は失望へと変わっている。中国人は、米海軍が太平洋に進出し、ヒラリーがフィリピンを訪問し、オバマ大統領がオーストラリアで軍を駐留させると発表したことだけは知っている。我々が知らないのは、何故中国を訪問したのか、誰が彼らをここへ呼んだのかということだ。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の全ての国々、特にフィリピンは、先週のインドネシアで開かれた首脳会談の期間中、中国に狙いをつけていた ように思える。

Tencentにあるクリントン国務長官の「万が一フィリピンが攻撃された場合には軍事支援を行う」という公約 についての記事で、人気投票で圧倒的多数で1位になった コメント は、「アメリカはこの件について本気なので、真正面から立ち向かおう。たとえそれがアメリカ人を殺すという意味だとしても、『恥の百年』を繰り返すわけにはいかない」というものだった。

ブロガーはいま、主流のブログポータルに対する摩擦の引き金とも解決シナリオともなりうる投稿をしている。ただのよくある国家主義的で、ニッチなオンラインコミュニティの常連としてではない。ブログポータル「鳳凰博報」内のブログで、时伟松は、領土問題の数が増えるにつれ、中国は危機を防ぐ手段を模索するため先手を打つ必要があると述べている。 軍事駐留を強化して、軍事的および経済的手段で周辺国を説き伏せ、それらの国がアメリカに主導されないようにする必要がある。

北朝鮮は、韓国を混乱させ続けることができ、米国に対する道具として使える。同様に台湾との再統一に向けての動きは、米国から優位性を取り上げることになるであろう。南シナ海に関しては、シ・ウェイソンは、ストライキの機会のみならず、フィリピンに匹敵する役割を担うのにふさわしい対向者を見つける必要があると述べている。

美国力量进入东亚地区是不可避免的,也是无法避免的。中国如何与美博弈,保障自身利益与战略空间,特别是周边国家借此翻江倒浪,将是中国无法躲避的问题。

米国の力が東アジアに進出してくることは避けることができないであろうし、そうならないであろう。米国との衝突において、中国が今後防ぐことができなくなる自国の利益と戦略地域(特に周辺国家が近寄るにつれて)をどのように確保するつもりなのか。
カバー画像 は、Wikipedia ユーザである Bazonkaから借用しました。

校正 Takashi Ota

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