ボリビア:コカの葉禁輸措置撤廃に向けた真剣な取り組み?

コカの栽培者と業者によるデモや草の根運動が、2012年3月12日、ボリビアの多くの都市で行われた。それはコカの葉に対する国際的な罰則取り下げを要求するものであった。

地元のメディア [es]は「コカを噛む日」キャンペーンには4万人の人々が参加することになっていると報じた。(ちなみにボリビアでコカは、” acullicu ” か ” pijcheo ” の名で知られている)

これらの公共イベントは、コカの葉に対する国際的な罰則取り下げを狙ったボリビア政府の戦略の一部である。同時に、以前コカを栽培しコカ組合のリーダーでもあったエボ・モラレス大統領自身は3年ぶりに国連薬物犯罪事務所(UNODC)の麻薬委員会(CND)に出席し、オーストリアのウィーンでコカの禁輸措置撤廃を求める演説を行った。

コカ栽培者ミーティングでテーブル上に置かれたコカの葉。 撮影:Jusada (CC BY-NC-SA 2.0)

コカ栽培者ミーティングでテーブル上に置かれたコカの葉。 撮影:Jusada (CC BY-NC-SA 2.0)

コカはアンデス地方の自生植物で、一帯で何世紀にもわたり栽培、摂取されてきた。コカは医療や儀式にも使われ、自然なエネルギー (訳注:疲労や空腹感を紛らわす覚醒作用) 供給源としてもよく知られている。特にボリビア西部においてはコカを「聖なる」葉とするのが一般的な伝統だ。

コカの葉には栄養があり伝統的に摂取されているにも関わらず、コカイン生産の原料でもあるという事実をボリビア政府は認め、対処する事を誓約している。

ラパス在住のブロガーEduardo Bowlesは自身のブログでコメントした。[es]

En las últimas semanas se ha estado hablando hasta el cansancio sobre los preparativos del viaje del presidente, pero además de la noticia de que Evo Morales masticará coca frente todos en Viena, que viajará acompañado de algunos dirigentes cocaleros y que llevará consigo algunas “hojas sagradas” cultivadas en los Yungas, es poco lo que se conoce sobre el contenido de la posición boliviana ante la JIFE [Junta Internacional de Fiscalización de Estupefacientes]. Debemos recordar que no es la primera vez que el mandatario boliviano cumplirá con el ritual del acullico en la ONU, hecho que no redundó en beneficios palpables para la imagen de la coca en el mundo.

昨週は絶え間なく、大統領の渡航計画について噂が飛び交っていた。エボ・モラレス大統領がウイーンの公衆の面前でコカを噛むだろう。そしてコカの栽培者が同行し、ユンガス産の「聖なる葉」を持っていくのだろう。そんな公表がされたことはさておき、国際麻薬統制委員会(INCB)で、ボリビアがどの様に位置づけられているかについてはほとんど知られていない。が、ボリビアの大統領が国連でacullico(コカを噛むこと)をやってのけるのは、初めてでないことを忘れてはならない。それは結果的に世界中に与えるコカのイメージをぐんと良くする、というわけにはいかなかったが。

コカ栽培者組合とボリビア政府の目的は、コカの生産だけでなく摂取の禁止を撤廃することを求めるものだ。これらは「国連の麻薬単一条約」で禁じられており、モラレス大統領は「歴史的な過ち」としている。

2011年6月、ボリビア政府は1961年に採択された「国連の麻薬単一条約」からの脱退を決定した。現在の政略は、コカの禁止が無効になってから条約に加わろうというものだ。私は1961年の国連の条約とコカの葉についてのより掘り下げた分析を、個人ブログ[es]に記した。

モラレス大統領はウィーンでのスピーチの中、加工していないコカの葉が人の健康を害す証拠はないと強調した。(彼のスピーチを聞ける海外のポッドキャストはこちら。)
それにも関わらず、エル・アルト在住のブロガーMario Duran Chuquimiaはこうコメントした。[es]

Al respecto, son interesantes algunos datos, el presidente Morales utiliza las hojas de coca producidas en los Yungas ya que las del Chapare tienen otras características, tampoco se menciona los destinos de la coca prensada y que en Bolivia 6 de cada 10 habitantes no acostumbra acullicar.

この件では、いくつかの興味深いデータがある。モラレス大統領は、チャパレで生産されたコカの葉は他の特徴(伝統的な用途、つまり薬品や嗜好品とする以外の使い方)があるとして、ユンガス地方(彼の説によれば伝統的な使い方をしている地域)で生産されたコカの葉を購入している。また、モラレスは抽出精製されたコカの最終的な行き先にも、ボリビアでは10人のうち6人が常日頃からコカを噛んでいるわけではないという事実にも触れなかった。

ボリビアでのコカの葉の生産については、主流の海外メディアで麻薬を問題視する観点からよく取り上げられている。しかし、ボリビアにおいて状況はより複雑だ。

Twitter上の市民社会では、伝統的な方法でのコカの摂取に賛意を表明したが、コカがコカイン生産の一部だということを案じてもいる。

匿名のTwitterユーザー@LaMarielleは、アメリカの干渉に反対し、コカの伝統的な摂取については賛意を表すポピュラー音楽のミュージックビデオを紹介してつぶやいた。[es]

Y me uno a la jornada de acullicu en protesta por la falta de una política nacional de dignificación de la hoja de coca

だから私は「コカを噛む日」に参加する。品格あるコカの葉を守る国策が欠けていることに抵抗を示すために。

また、サンタクルーズ在住のジャーナリストTuffi Aré (@tuffiare)は、Twitterでコメントした。[es]

Un estudio del Celin establece que el acullico tiende a bajar. Identifica al sector minero como el que mas pijchea coca

Celin research(コカの問題で定評のある機関)の調査によれば、コカを噛む人は減少している。最もコカを噛むのは鉱山労働者と見られる。

ジャーナリストで、地域のラジオネットワークErbolのディレクターでもあるAndrés Gómez(@AndrsGomezV)もまた、Twitterでコメントした。[es]

Buenos días en el día destinado a recordar que el acullicu está prohibido injustamente en Bolivia por la Convención de 1961

おはようございます。「コカを噛む日」に、1961年の条約によりボリビアでコカを噛むことが不当にも禁止されたことを思い出してください。

Carlos Salas (@carlos_rs131)はTwitterでAndrés Gómezに返信した。 [es]

es parte de nuestra CULTURA el acullicu, pero no dejemos que lo sea el narcotrafico

コカを噛むのはぼくたちの文化だ。でも麻薬取引が同じく文化の一部になるのは認めちゃいけない。

Eduardo Bowlesは彼のブログの投稿でこう結んでいる。[es]

Hubiera sido plausible que el Gobierno lleve ante un foro tan importante, el estudio sobre la coca que tanto le ha prometido al país, los resultados de la política de industrialización y por supuesto, logros más alentadores en materia de lucha contra el narcotráfico. Nadie va a discutir que la coca merece un estatus especial en Bolivia y sería iluso pensar en que debe ser erradicada por completo o considerada una droga, pero lamentablemente su defensa luce poco seria.

政府がかくも大切なフォーラムで提起したコカについての調査、産業化という政策、そしてもちろん麻薬取引撲滅に対する取り組みを進めるという内容は、もっともらしく思われたはずだ。コカがボリビアで特別の扱いを受けるのはしごく妥当で、コカを根絶するべき麻薬と断定するのは浅はかだとすることには誰も異論を唱えないだろう。しかし残念なことに、伝統的なコカ栽培を保護しようとする国家の戦略は、あまり真剣でないように見受けられる。

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