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Facebookが中国再参入か?

カテゴリー: 東アジア, 中国, テクノロジー, メディア/ジャーナリズム, 人権, 市民メディア, 政治, 経済・ビジネス, 言論の自由

Facebook CEOであるマーク・ザッカーバーグが中国に戻ってきた。 先週火曜日の3月27日、現地のジャーナリストやネチズンたちに、彼と彼の恋人であるプリシラ・チャンが、上海で 目撃された [1]。インターネット上では、ソーシャルメディアの王は中国に再出現しようとしているのか、という噂が再び烈火のごとく広まった。

ザッカーバーグは、単なる休暇中の旅行だったと 主張したが [2]、中国含め世界中のネチズンたちは疑惑を抱いている。

M.I.C. Gadget [3] のブログでStar Chanは、火曜日にこう投稿している。

今日の午後、中国のパパラッチたちは上海にいるFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグと彼の 中国人の婚約者 [4] (訳注:正確には中国系アメリカ人)を見つけた。マーク・ザッカーバーグが中国に戻ってきたのだ!休暇中の旅行なのかビジネスの出張なのか?内部の噂によると、マーク・ザッカーバーグとApple CEOのティム・クック (なんと クックも中国にいるのだ [5]!) は、ともに同じプライベートジェットで中国へ旅行に来たようである。

中国国内外からの Facebookへのアクセスは、2009年中頃に禁止された [6]新疆ウイグル自治区 [7]西部で発生した暴動に参加した人々が、ソーシャルネットワークを利用して抗議行動を計画した、と中国当局が結論付けた時期である。

しかし2月、 Facebookは 世界最大のインターネット市場 [8]である中国に再参入する可能性を検討していることを明らかにした [9]。 まさにこの時期、ザッカーバーグは公式の「休暇」として中国を訪れていたのだ。

Shangaiist [10]Ministry of Tofu [11]TechNode [12] などのブログでも、ザッカーバーグの訪問について議論が交わされている。

TechNode [12]で、Gang Luは、こう書いている。

これは本当に興味深い。世界で最もホットなテクノロジー企業を代表する二人の大物が、同時期に中国を訪れている。一人は北京へ、もう一人は上海へ。一人はビジネスで、もう一人は休暇を過ごすために。一人は初中国、もう一人は 2回目 [13] である上、中国人について少々の知見がある。 一人は、中国で驚くほど急速にビジネスを伸長させており、もう一人は、インターネット業界のほぼ全てを席巻しているが、中国ではまだ利用できない。しかし、彼らの頭の中にあるたった一つのキーワードはこれであるに違いない。そう「中国」だ!

水曜日、 中国PopCap Games [14] [zh] マネージャー Liu Kun [15][zh]は、 北京にいるザッカーバーグを発見し、中国人向けソーシャルネットワークサイトSina Weiboで、彼の行動は休暇であるとは考えられないとして、こう言っている。

[15]

北京で撮影されたマーク・ザッカーバーグ Liu Kun撮影

@Liu Kun [15]Facebook CEO 马克.扎克伯格!他离我仅3米的距离。现场实拍。Mark Elliot Zuckerberg!他来北京是解决VPN么?@李菁rekin9 [16] @植物大战僵尸 [17] @赵迅PopCap [18] @ANDY田行智 [19] @蒋涛CSDN [20] @龙伟-大众点评 [21] @宋炜 [22]

@Liu Kun [15]FacebookのCEO・マーク・ザッカーバーグだ!私の3メートル向こうにいる。その場の写真だ。
マーク・エリオット・ザッカーバーグ!彼はVPNの問題を解決するために北京に来たのだろうか? @李菁rekin9 @植物大战僵尸 @赵迅PopCap@ANDY田行智 @蒋涛CSDN @龙伟-大众点评 @宋炜

ザッカーバーグが最後に中国を訪れたのは [23] 2010年12月で、その時も休暇中の旅行という名目であった。 百度(パイドゥ) [24]新浪 [25](シナ) 、アリババ [26] といった、中国トップのインターネット企業を 数回訪問している [27]にもかかわらず、である。

Facebookへの制限緩和の可能性は、アジアの巨人の社会的、政治的変化を見届けたい人たちの期待を後押しする。国内と国外両方のソーシャルメディアが、拒否する中国共産党に成り代わって中国国民に力を与えるという考え方が広がっている。中国国内のソーシャルメディアは、すでに政府の 情報統制 [28]に対して挑戦的であり、多くの中国ネチズンは国外のソーシャルネットワークにアクセスしたいと考えている。
ザッカーバーグ自身、エジプトやチュニジアで見られたように、Facebookが 中国に変化をもたらす媒介 [29] となり得ると言っている。
3月19日、米国国務省・IT技術部門筆頭アドバイザーの アレック・ロス [30]が香港大学にて中国についてスピーチを行った。中国当局による検閲と弾圧を排除するよう、中国ネチズンが米国政府に要求 [31]していることについて質問され、中国の変革は自国民から起こるものであることは歴史が示しており、ソーシャルネットワークは大きな助けとなるだろう、と全くそつのない答えを返している。

ザッカーバーグの中国訪問で活気づいたオンライン討議では、インターネット産業だけでなく検閲や表現の自由、Facebookが制限解除されることによる期待や不安についても議論された。

ウィリアム・モスは、Rectified.name [32] という新しい共同ブログで、中国再参入で想定しうるシナリオと立役者を予想し、Facebookと中国を語るのは、政治と表現の自由について語ることであるとして、表に描き出している。

中国で経営する機会を得るために簡単な試算をする必要がある。それは、Facebookは委任された検閲ルールを核となるサービスを使用するユーザに対して適用しなければならないか、核となるサービスとは別の周辺サービスに適用しなければならないか、ということである。また、要求があった場合、当局に中国ユーザの情報を引き渡す心積もりでいなければならない。

Star Chan's は M.I.C. Gadget [33] でこのように書いている。

そして、写真を撮ってくれたマイクロブログ Sina Weibo [34] (新浪微博) [zh] ユーザ全員に感謝する。[…]ザッカーバーグは上海滞在中、自分のFacebookアカウントを更新することはできないだろう。 中国の金盾 [35](訳注:中国国外へのインターネット接続を監視する大規模な検閲システム)のおかげで。―彼がVPNを使用しない限り。

Facebookはブロックされているにもかかわらず、約450,000人(ソーシャルベーカーズ [36] による)の中国インターネットユーザが プロキシを通して [2]金盾 [35]を乗り越え、VPNソフトなどでトンネリングし [2]アクセスしている。この慣習はすぐには変わらない。

校正 Ayumi Nakajima