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中国:絶滅の危機に瀕するスナメリ、その死の理由は?

カテゴリー: 東アジア, 中国, デジタル・アクティビズム, 市民メディア, 環境

2012年3月以降、湖北省および湖南省にある洞庭湖 [1]で12頭を超すスナメリの死骸が見つかっている。中国のミニブロガー達は状況の最新情報を交換しながら、絶滅の危機に瀕しているスナメリの死の理由を究明しようとしている。政府がいまだ死んだスナメリの数を確認せず、救済計画も発表していないためだ。

スナメリ [2]は、中国で最も絶滅が危惧されている種の1つだ。インターネット上の情報によれば [3][zh]、洞庭湖に現時点で生息しているスナメリは84頭に満たないという。この絶滅危惧種の大量死は全国レベルで取り上げられるべきニュースのはずだが、国営メディア各社ではあまり取り上げてきていない。また、政府当局は今のところ、この問題に対して積極的な対応を取っていない。

雑誌記者の陽江氏は、この問題について、ミニブログサイトのSina Weibo [4]で継続して情報を発信 [5][zh]してきた。

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スナメリの死骸 FlickrユーザーChanghua Coast Conservation Actionより CC: BY-NC-SA

刚连线湖南岳阳江豚保护协会会长,证实,从3月3日至今,洞庭湖已发现的死亡江豚为12头,非网络流传的17头,但该协会不排除有更多尚未发现的江豚尸体,原因初步判断为环境污染所致…,另,此次至少7头是母江豚,照此速度,洞庭湖江豚一年内灭绝也不是没有可能。

長江スナメリ保護協会 [7][en]の会長に確認したところ、3月3日以降、12頭のスナメリの死骸が洞庭湖で見つかっている。17頭以上の死骸があるというインターネット上の報告に対して、協会はその可能性を否定しなかった。死の原因は環境汚染であり(中略)、死んだスナメリの内、少なくとも7頭はメスである。このままでは、洞庭湖のスナメリは1年経たない内に絶滅してしまうだろう。

ブロガーのYongaiqiqiが、新聞、インターネット記事など、あらゆるソースから情報を集めた結果、2012年に入ってからスナメリの死骸が見つかったという報道は13あったが、その中で国営メディアによるものは1つのみだった [8][zh]ことを突き止めた。

现在我要问:对洞庭湖已经发生的如此严重的江豚集中死亡恶性事件,当地政府为什么至今没有发布信息向社会公开?是不知情?还是有意隐瞒真相?呼吁当地政府尽快作出负责任的回应,澄清事实。

洞庭湖のスナメリの死、その状況はひどいことになっているのに、地方当局はなぜ世間にこのことを伝えていないのか。理由は何なのか。知らないからか、またはこの状況を隠したいからか。私は政府が責任を持って事実を明らかにするよう、ここに強く要請する。

ブロガーの「帝国良民」はこの問題を詳細に検証 [9][zh]したところ、根本原因の環境問題だけでなく、スナメリは住血吸虫症を予防するための薬によって中毒死した可能性があるという。

2008年记录死亡江豚20头,2009年为19头,2010年为12头。连续3年,江豚死亡都是两位数。要知道江豚种群总数已经比大熊猫还少,每年两位数的死亡速度实在太高了!太快了!太危险了!刚刚过去的2011年,记录死亡20头,然而进入2012年仅仅只是东洞庭湖一个栖息地,3月份以来40天内就死亡了12头,这还只是被渔民发现的江豚尸体,考虑到江豚一般都是以父母子女一家为活动习惯的规律分析,实际死亡情况更加严重,按照中科院豚类专家王丁先生们的研究判断,这次可能已经有30多头江豚已经死亡,这难道还不足以引起相关政府主管部门和研究机构的高度重视吗。

死んだスナメリの数は2008年に20頭、2009年に19頭、および2010年に12頭だった。この3年間、2桁の数が続いている。中国に生息するスナメリの総数はパンダより少ないという事実を肝に銘じなければならない。この数値の高さは既に危険なレベルに達している。2011年に死んだのは20頭で、2012年は40日に満たない間に洞庭湖のみで、漁師が見つけただけでも、12頭の死骸が発見されている。スナメリは家族で群れになって生息しているため、状況はおそらくもっと深刻だ。スナメリの専門家である中国科学院の王丁氏は、30頭は死んでいるだろうと言う。これは政府と研究機関が注視しなければならない、危機的な数字だ。

洞庭湖的生态危机其实已经早就成了众所周知的事实,江豚为什么濒临灭绝,这是与整个洞庭湖生态链遭到严重破坏、是与多年来围湖造田、滥捕滥捞、竭泽而渔分不开的,更是与渔政部门长期行政不作为、监管不力甚至为了经济利益纵容滥捕滥捞分不开的,加之洞庭湖水位随着三峡大坝蓄水后大幅下降,阻断了千百万年来年复一年的洪水泛滥,大面积的湿地长期裸露在外,再有就是大量挖砂船活动、大量捕捞螺类底层物种致使湖区食物链、生态链断裂…

洞庭湖の生態系の危機はすでに周知の事実だ。スナメリ絶滅の危機は、農業活動や、水産当局の管理不足に起因する乱獲のせいで発生した、食物連鎖の崩壊に関連している。さらに、三峡ダム [10]が建設されたために、洪水は起こらなくなったが、湿地帯の大部分が干上がってしまった。また、湖底の砂が掘り出されたため、湖底にいた生物は生存できなくなり、食物連鎖が破壊された(以下略)。

江豚的意外死亡,其实也不意外,在人类与江豚争夺食物也就是鱼类水产的时候,江豚甚至自身都处于被人类捕杀的境地,何况其食物链已经接近断裂;洞庭湖鱼类资源作为江豚的食物来源,已经从10多年前还剩下120多种急骤下降到目前仅存10多种…

スナメリの死は不慮の出来事ではない。人間が、スナメリと食料を取り合うことでその食物連鎖を崩壊させ、間接的にスナメリを殺すのだ。10年前、スナメリの食料となる川の生物は120種類を上回っていたが、今では20種類に満たない(以下略)。

我注意到今天的湖南经视新闻在报导本次江豚密集死亡事件的新闻中,采访了岳阳渔政部门的相关领导,他以自己的经验猜测可能是由于近期岳阳县出于血防需要在洞庭湖区投放杀钉螺药剂有关,可能是江豚误食了被灭螺毒死的鱼有关,我认为这当然是最直接的原因之一,但我就纳闷了,这种后果其实并非今天才出现,而是早就发生过,为什么就没有引起相关部门重视并在工作上加以改进呢?我查了一下资料, 洞庭湖江豚多年来饱尝命丧之虞就有类似直接的人为原因,2004年,岳阳为迎接全国血吸虫病防治工作会议的召开,在洞庭湖区投放了约5000吨杀钉螺药剂,曾酿下一个月内毒死6头江豚的惨剧。

湖南テレビが今日のニュースで、スナメリ大量死について、岳陽市の水産当局者にインタビューしていた。彼の経験から推測すると、この事件は住血吸虫症 [11]を予防するためのミヤイリガイ駆除薬に関連するという。スナメリはこの薬で死んだ魚を食べたことで、中毒死した可能性がある。これがスナメリが死んだ直接的な原因のようだ。こういうニュースは腹が立つ。当局の失態は初めてのことではない。しかし彼らは過ちから学ぶことがない。過去の情報によれば、岳陽市は2004年に、住血吸虫症予防の全国会議を受けて、ミヤイリガイ駆除薬を5千トン散布し、1ヶ月で6頭のスナメリが中毒死している。

この記事の校正はMichio Seiji [12]が担当しました。