モザンビーク:ダイビングと海洋生物の保護

南アフリカをはじめ世界中の観光客が、くつろぎを求めモザンビークのビーチを訪れる。スポーツフィッシングに興ずる人もいれば、インド洋の暖かい水中でダイビングを楽しむ人もいる。

モザンビークでは人口の3分の2が沿岸地域に住み、その多くが漁で生計を立てることで海に依存しているといわれる。しかし、大きな観光地の近隣コミュニティの人々でさえ観光ビジネスの恩恵をあまり感じていないようだ。モザンビーク沿岸地域の持続可能な未来のためには、モザンビークの人々に、より職業ダイバーや観光プロフェッショナル、自然保護活動家への関心を持ってもらうことが重要だ。

Whale shark in Mozambique. Image by Flickr user gigi_h (CC BY-NC-SA 2.0)

モザンビークのジンベエザメ
gigi_hによりFlickrに投稿された画像
(CC BY-NC-SA 2.0)

Bitonga Diversの取り組みを見て欲しい。Bitonga Diversは、モザンビーク初の職業ダイバーで先駆者的存在のCarlos Macuacuaが支持するNGOで、イニャンバネ地方の町Tohoを拠点としている。

Bitonga Diversのウェブサイトからの引用

2006年、Bitonga Diversが設立された当初、ダイブマスターやインストラクターの資格を有するモザンビーク人は1人もいなかった。以降、Bitonga DiversではOcean Revolutionや外資系ダイブセンターの協力を得、今までにモザンビーク人のインストラクター8人とダイブマスター11人を養成してきた。

Image courtesy of the Bitonga Divers

画像提供 Bitonga Divers

Bitonga Diversは、沿岸地域の住民に巨形動物類や水中の様子を見せるなど、コミュニティへの働きかけにも投資している。沿岸地域に住む人たちの多くは、水中に潜った経験がなく、巨形動物類が生きている姿を目にしたこともないのである。Bitonga Diversによれば、活動を始めた当初の反応は鈍かったが、数年かかってたゆまぬ努力を続けた結果、今では、たった一夜のセッションで250人を動員するのも容易になり、コミュニティーの指導者たちも参加するという。

このような取り組みを通じ、人々は次第に、海洋生物の保護と観光、経済発展に前向きなつながりを作りはじめている。

乱獲に警鐘

近年、Tofoを拠点とする観光業者や地域自治会は、商業漁業の後押しを図る政府の計画が沿岸のエイや鮫、イルカの乱獲につながっていると警鐘を鳴らしている。

旅行記者のAaron Gekoskiは、オンライン旅行マガジンGo World Travelで次のように述べている。

Tofoが直面している最大の脅威は、残念なことに特別な状況ではない。ここ数年、Tofo沿岸は乱獲により多大な影響を受けている。ほんの5年前には、ダイバーは300枚ものイトマキエイのすさまじい群れにありつくことができたが、今では一度に10枚も見る事ができれば運が良いほどだ。巨大で容赦ない刺し網がいくつもの壁となり、オニイトマキエイを頻繁に捕らえているのだ。

Tofoにあるダイバー用宿泊施設の中でも大きな施設の1つCasa Barryのブログでは、海洋生物の保護を話題にし、違法漁の現状について注意喚起している。たとえば、この記事では、違法に捕らえられたアカウミガメが救出され、無事に海へ戻されたことを取り上げている。

モザンビークでは地元漁師に対し、より多く、より大きな種の捕獲を促進している。世界銀行がこのような政策に融資していることが最大の物議をかもしている(Canal Moz新聞社の最近の記事より[pt])。

Mozambican fishermen. Image by Flickr user stignygaard (CC BY-NC-SA 2.0)

モザンビークの漁師
stignygaardによりFlickrに投稿された画像
(CC BY-NC-SA 2.0)

Márcia Horstは、ブログReflectindo Sobre Moçambique [pt]でこのように反応している。

Isto eh inacreditável…alguém acredita que o Banco mundial financiou barcos a motor e redes aos pescadores das zonas turísticas, sem uma previa formacao, sem capacitação nenhuma, sobre as espécies mais importantes destas praia, que nós todos dependemos delas para o nosso desenvolvimento turistico, e hoje, a cada dia esses pescadores só pescam essas espécies que o povo depende delas..EU ESTOU EM ESTADO DE CHOQUE, e me pergunto, onde estavam essas ditas associações de preservação, concernência, whatever se chamam, quando o banco mundial fez essa entrega?

信じられないです。誰が信じるのでしょう。世界銀行が、何の訓練も受けず、能力構築もされていない漁師達に漁船や網のための融資をしているなんて。この沿岸で最も重要な種、我々全員が望む観光産業発展の軸となる種の捕獲を支持するなんて。今では、我々にとってかけがえのない種が、漁師に日々捕らえられています。ショックでどうしていいのかわからなくて、自問自答するしかありません。世界銀行が漁船や網を提供するというなら、海洋資源の保全、保護、あるいは何らかの対策を講じるに相応しいグループは一体どこにあるのでしょう。
Dead shark. Photo by Flickr user anaadi+ (CC BY-NC-SA)

鮫の死骸
anaadi+によりFlickrに投稿された画像
(CC BY-NC-SA)

このような世界銀行(本件に対する公式な発表はされていない)を巻き込んでの申し立てにもかかわらず、経済的誘因がこの種の漁に拍車をかけていることは間違いない。

Bitonga Diversのパートナー組織Marine Mega Fauna Foundationは、こう説明している。

近海漁業は地元の収入基準と比べて極めて実入りの良い仕事である。鮫1匹から取れるひれには3000Mets(約US$120)相当の価値がある。

MacuacuaとMarine Mega Fauna Foundationにより昨年撮影されたドキュメンタリー「Shiver」では、鮫漁の課題について深く掘り下げている。

実際には、Tofoで捕獲された獲物の多くは、加工されマプトから中国などアジア市場に輸出されている。モザンビークの環境NGOの1つであるCentro Terra Vivaは昨年、違法に海産物を加工していた中国業者に対する捜査についてこう記述している[pt]。

Apesar do inventário das quantidades e espécies encontradas ainda não ter finalizado a STV publicou imagens, adiantando que foram encontradas grandes quantidades de barbatanas de tubarão, entre as quais algumas ainda estavam no processo de secagem, holotúrias (também designados por pepinos-do-mar e localmente por megajojos), diversas conchas, cavalos-marinhos secos em sacos de serapilheira, cágados vivos em tanques e carapaças de tartarugas marinhas. As autoridades acreditam que estes produtos conservados seriam exportados para a China ou outros mercados asiáticos.

最終的に量や種の一覧は確定していないが、モザンビークの民間テレビ局STVは映像を流し、大量の鮫のひれ、中には乾燥工程の物も見つかった、と加えた。他にもナマコ(英語でsea cucumbers、地元ではmegajojosとも呼ばれる)や様々な種類の貝殻、乾燥したタツノオトシゴが詰められた袋、ウミガメの甲羅も複数見つかった。水槽もいくつかあり中に生きているカメもいた。当局では、これらの物品は中国あるいは、その他アジア市場へと輸出されるものであったと確信している。

モザンビーク政府は、違法漁と闘う姿勢を地域的、国家的、国際的にも繰り返し表明しているが、政府の取り組みもBitonga Diversのような献身的な保護団体の活動も乱獲阻止には至らぬようだ。

校正 Ayano Usukura

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