バングラデシュ:ドラえもんは子供の教育に悪いのか?

ディズニーチャンネル・インディア [en] で放映されているあるアニメが、バングラデシュで論議を呼んでいる。それはヒンディー語吹き替えの日本アニメで、ドラえもんという。このアニメが、子供たちに隣国インドのヒンディー語を話せるようになることを押しつけ、またウソをつくように促している、と批判されている。このアニメは継続して繰り返し再放送されており、大勢のバングラデシュの子供たちが視聴している。

The blog of a Mom [bn]で不満を抱えた母親の話を読めば、彼らがいかにドラえもんに夢中かが分かるだろう。

うちの5歳の息子はドラえもんを見ないとご飯を食べない。見させないようにしたら、宿題をしようとしなかったり、寝る時間に眠ろうとしなかったりするの。

別の母親はDaily Prothom Alo [bn]に手紙を送った。

私の8歳の息子は、学校の宿題をひとりで解けないと言います。ドラえもんみたいに一緒にいて問題を全部解決してくれるロボットを欲しがっているんですよ。

This cat robot is called Doraemon.

このネコ型ロボットがドラえもん。画像はWikimediaより CC BY-SA

『ドラえもん』は日本の人気マンガを元にしたアニメで、後にシリーズ化された。耳の無いネコ型ロボットのドラえもんが、小学生の野比のび太を助けるために、22世紀からタイムトラベルして来る。物語はここから始まる。

のび太は大変な怠け者で、災難ばかり引き起こす。ドラえもんは22世紀の道具を使ってのび太を助けようとする。のび太は道具を間違った使い方をして、前よりもっと困った事態に陥る。

ドラえもんは楽しめる話ではあるが、教育目的でどの程度役に立つかについては論争されうる。というのも、ドラえもんがのび太に与えるひみつ道具には、ごまかしとウソをつくことが含まれることが多いからだ。

ドラえもんはヒンディー語吹き替え版が衛星放送で放映されている。このアニメの放送が長期にわたるため、大勢の子どもたちがヒンディー語を話すようになった。彼らは家族と話す時でさえ、母国語であるベンガル語でなくヒンディー語を使う。そしてこのことが、長い論争を引き起こしてきた。

こうした子供たちが、主人公のび太のように勉強をサボることや嘘をつくことを覚えてきている、と主張している人が大勢いる。この論争は、主要メディアからお茶の間まで拡がっている。ディズニーチャンネルの放映を中止すべきだと訴えている人も多い。

Kanak Barman [bn] はSomewhereinblogで言う。

ドラえもんアニメの最大の被害者は幼い子供たちだ。彼らはベンガル語も流暢にはしゃべれないのに、ヒンディー語はすぐ覚える。もはやこの番組の放映をすぐ止めなければ、この年代ではベンガル語よりヒンディー語を話す人の方が多くなるだろうという程度まで、この被害に脅かされている。だからバングラデシュでは、できるだけ早くこのチャンネルは閉鎖されるべきなのだ。

一方、Shahriar Shafique [bn] は、こうなったのはベンガル語のテレビに人気のある子供番組がないからだ、とBlogBDNews24.comで言っている。

バングラディシュには20以上のチャンネルがあるが、子供番組は不十分で質もよくない。私の覚えてる限りでは、Sisimpur [en](訳注:セサミストリートのベンガル語版)や Meena [en]、Moner Kothaといった、いい番組は3つあって、BTVで週2~3回放映されている。Desh TVもアニメMeenaを放映しており、他にもトムとジェリーの吹き替えを放映してるチャンネルがある。これらのわずかしかない番組は人気はあるが、比較的短期間しか放映されない。それ以外の時間は終日、昼メロ、ニュース、トークショー、料理番組やタレント発掘番組といった、子供にはあまり価値の無い番組を放映している。訳のわからないトークショーや台所の状況、悲劇の恋愛ロマンスなど、子供にとっては魅力がないのだ。

ブロガーのFahmidul Haque [bn] は、ドラえもんはベンガル語を脅かしはしないだろうと考えている。

ベンガル語には生来、外国語の侵略から身を守る力が備わっている。90年代初期に衛星テレビが入ってきた時、人々はこの国の言語と文化が崩壊するだろうと思った。しかし地元の言語と文化は変化に適応した。ベンガル語のチャンネルも多く出てきた。『異国文化』は、かつてよく言われたが、今ではあまり聞かれない。もしドラえもんが本当に問題の元になっているなら、シリーズの権利を買ってベンガル語に吹き替えてから放映するのが、一番簡単な解決策である。

校正:Maiko Kamata

1 コメント

  • gvjapanese

    この記事を選んだ理由は?
    『日本アニメの海外進出ぶりに、その功罪共に興味を持っていたことと、
    アニメ好きの子を持つ母として、子どもを釘付けにするアニメの魔力に
    ほとほと手を焼いた経験があることからです。』
    -- 翻訳者(2012/6/30)

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