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台湾:原発のない未来は実現するのか?

カテゴリー: 東アジア, 台湾(中華民国), 日本, 市民メディア, 抗議, 環境

2011年3月に起きた福島での原発事故 [1]以来、日本国内で54基ある原子力発電所のうち53基が、安全点検のため操業停止となった。2012年5月5日、北海道にある泊原子力発電所第3号機 [2]の操業停止に続いて、日本の電力供給のうち原子力発電が占める割合が、ここ42年間で初めてゼロになった [3]。近頃、日本政府がいくつかの原子力発電所を操業再開させようとしているのに対して、地元の代表者たちは、安全性に対して未だ深刻な不安を抱えている。

台湾では、核技術に頼らない将来に向かっていく可能性を、多くの人が話題にし始めている。以下のCoolloud.orgからの引用文のように、台湾環境保護連盟 [4]は日本での原発廃止の運動について楽観的である。

日本從去年311之後,國內核電廠陸續關閉, 至今尚未發生缺電問題,如果可以熬過今年夏天不需核電,日本將真正進入無核國家。

2011年3月11日の地震の後、日本では原子力発電所が次から次へと運転停止になっている。さらに、日本では電力不足についての問題をほとんど抱えていない。この夏、もし日本人が原子力燃料に頼らなくとも生活することができれば、現時点で日本は真の原発廃絶国となるだろう。
2012年3月11日の台北での反原発デモの様子、James Yang under が投稿 CC: BY-NC-SA

2012年3月11日の台北での反原発デモの様子
James Yang under が投稿 CC: BY-NC-SA

民進党 [5]党首の候補者である、蘇煥智もまた、台湾の有名なソーシャルメディアサイトであるPlurk上で以下のように述べている [6]

如果我當黨主席,一定先推動核四北北基宜四縣市地方公投廢核四!

もしも私が党首に選ばれたら、台北、新北市、基隆、宜蘭県にある4つの原子力発電所の停止について、国民投票を行うよう呼び掛けるつもりだ。

それでも、必ずしもすべての人たちが、日本における原発をなくす開発に対して楽観的ではない。 bluesystem [7] [zh] は、日本がすべての原子力発電所を停止したのち、どうするのか心配している。

廢核絕對可以推! 只要不影響經濟下滑. 不過這真的會很拼…

原発廃止運動はもちろんできる――経済を悪化させない限りであれば。 しかし、それは非常に難しいだろう…。

核能的問題不只是使用其它能源來替代, 而是「能源自主性」的問題. 一旦重要的能源來源被別國控制, 那這個國家等於廢掉一樣! 這問題要怎麼解決? 除非能源自主率能提高吧~…那大家都廢核, 請問天然資源是不是大家一起搶? 假設台灣也搞廢核的話,能源來源方面搶得贏中國跟日本嗎?

原子力発電の使用に関するこの未解決の問題は、単に代替エネルギーを探し出せばいいということではない。 問題は、「エネルギーの自給」である。もし、エネルギー資源の多くが他国によって支配されたら、この国は悲劇的な運命をたどることになってしまう! この問題を私たちはどう解決するか? エネルギー供給量を増やすことさえできれば、私たちは原発のない生活に向けた運動をすることができる。自然エネルギー源に立ち向かう準備が私たちにはできているだろうか? もし台湾が原子力発電所をすべて停止したら、私たちはエネルギー資源競争において、日本や中国と張り合うことができるだろうか?
Anti-nuclear energy protest in Taipei, April 30, 2011. Photo contributed to this post by James Yang under CC: BY-NC-SA

2011年4月30日の台北での反原発デモの様子
James Yang under が投稿CC: BY-NC-SA

上記の心配事にも関わらず、何千人もの台湾人が原子力発電所反対運動 [8]を行った。 その日は,日本で地震が起きた日からちょうど1年経った2012年3月11日だった。フリー環境リポーターの朱淑娟は、台湾は原子力発電所を廃止すべきであり、また廃止できると彼女は考えており、その理由について説明している [9] [zh]。

福島核災打破核能安全神話,只要一次災害就足以毀掉所有。…我們還有選擇時,沒有理由不去思考任何不必使用核能發電的可能性。

福島原子力発電所の事故は原発の安全性に対する通念を破った。私たちはあの事故によってすべてを失ったということが分かる…まだ選択肢があるうちに、原子力発電所の廃止の可能性を考慮に入れないなんて考えられない。

以台灣目前核電佔總發電量不到兩成,但備載容量卻超過25%的情況下,廢不廢核並不是「能不能」的問題,而是「決心」。

 台湾では、原子力発電による電力供給率は20%にも及ばない。しかし、私たちの予備容量は25%以上である。こうした状況の中、原子力発電所の廃止が「できるできない」かが問題ではなく、すでに決断された問題であると言える。

台灣政府還預估未來用電要再成長38%,只要不歸零思考、不檢討自己的浪費行為、不思索更聰明的用電方式,發再多電都不夠用。

台湾政府は、将来、私たちはさらに38%の電力が必要となるであろうと推測している。もしも、こうした根本的問題に立ち返り、エネルギー消費を見直して、節約して電力を使わなければ、たとえより多くのエネルギーを生み出せたとしても、決して私たちにとって十分であると言えないだろう。

過去一年台灣政府已有改變,馬總統宣布核一、二、三使用年限到期不再延役,這是一個進展。然而對於核四依然繼續投入經費不願放手,核廢料無能力處理,卻一再強調核安的可以控制。然而,福島核災近在眼前,繼續說「核能安全」也已經沒有意義、且完全沒有說服力,終歸而言,台灣政府對核災還是沒有覺悟。

この一年を経て、台湾政府は変わった。中華民国総統の馬英九は原子力発電所第一、第二、第三号機の運転期間が過ぎた後に、稼働期間を延長しないことを主張している。私たちはある種の進歩を遂げたのだ。しかし、政府は第四号機の停止はしないつもりである。しかも、政府は四号機の運営により多くの資金をかけている。政府は核廃棄物の扱い方を知らないのに、彼らは原子力発電所の安全性を保証すると言い張っている。しかし一方で、福島の原発事故について考えてみると、このことがどれほど無意味で「原発の安全性」を諭す上でいかに説得力がないか分かるだろう。最後に、台湾政府は核による災害が起こりうることに気付いていないようである。

而這個歸零思考,理應是站在「廢除核電」的基礎上,重新去思考其他的能源方式,而如果其他的能源暫時無法完全取代,我們應該如何節能,以因應發電不足的情況。也就是說,思考自己的侷限,然後做出改變。

私たちは「原発なき台湾」という根本的見地を支持すべきであり、代替エネルギーの使用を探求するべきだ。もし、今と将来において使っている原子力由来の電力に替わる代替エネルギーを十分に得られないのならば、私たちは電力不足を防ぐために、電力 の使用量を減らさなければならない。言い換えれば、私たちは私たち自身の限界について考え、変化を起こさなくてはならない。
https://pt.globalvoicesonline.org/?p=25165

校正 Takashi Ota [10]