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ニカラグア:児童労働根絶への終わりなき戦い

カテゴリー: ラテンアメリカ, ニカラグア, 人権, 労働, 市民メディア, 教育, 映画, 法律, 若者

ニカラグアでは、児童労働の阻止を試みることが容易ではない。次のビデオを見れば、新しい法律ができても働き続けている子供たちが多い理由が分かる。子供に教育を受けさせることが重要であると考え、啓蒙活動の影響を受けている家族もいる。しかし、どうにか暮らすための手段が児童労働であるという家族もいる。政府、雇用者、企業組合、各世帯のすべてには、児童労働を防ぐ義務があると法律は制定している。児童労働は子供に身体的、あるいは精神的な害を与え、彼らの学業や成長を妨げてしまう。ところが、ニカラグアでは経済状況が厳しいため、各世帯は子供を働きに出すか、彼らに家事労働を割り当て自宅で働かせるしかない。

Children in Ometepe, Some rights reserved by Zach Klein [1]

ニカラグアのOmetepeで果物を売り歩く子供たち CCby Zach Klein

これは、Journeyman が Hard Labour [2] という動画の中で放映しているものだ。 Hard Labour が映し出すのは、危険な仕事をしている子供たちである。しかし、当局は彼らの存在を否定するか、家族が収入を必要としているのを知りながら子供を追い払うことはできないとの所信を述べるかだ。

子供の集団が石を打ち砕き粉々にしている。石の破片が飛び散れば、彼らは失明する危険がある。ニカラグアでは表向き、児童労働は違法だ。ある採石場の協力的なリーダーも、そこで子供が働いていることを即座に否定する。「子供が石工として働くことは禁止されているし、危険すぎる。子供は学校に通うべきで、働くべきではない」しかし、10歳の労働者 Anibal が語る話は違う。彼はその採石場で働いている時に負傷した後、これまで1年間を病院で過ごしてきた。「上の方から大量の土が崩れてきて、僕の上に落ちてきた。それで足を怪我した」サンディニスタ政権の反対にもかかわらず、同国は中南米諸国で最も貧しい国の一つであるため、各世帯に選択の余地はほとんどない。セーブ・ザ・チルドレンの現地代表 Diana Espinoza は、非常に難しい状況であることを認めている。「児童労働は複数のレベルで市場全体に広がっている」

しかし、変化もいくらか起きてきた。顕著なのはコーヒー産業である。自分のコーヒーがフェアトレード製品になることを望む農場経営者は、農場にいる子供たちがコーヒーの摘み取りを行うのではなく、学校に通っていることを保証する必要がある。コーヒーの摘み取りを行っていたのは児童労働者であった。子供に稼がせるのではなく、子供を学校に通わせることが課題であることは認識されている。一方、子育てを成功させるために必要なのは犠牲を払うことである、と女性の一人も述べる。ただ、Fabiola と彼女の息子 Jose の話から分かるように、子供を学校に戻すことは簡単ではない。彼女はその話の中で、自分の子供を通りで働かせるのではなく、学校に入学させることを望んでいるにもかかわらず、これまでずっと障害に直面してきた。また、Jose は入学するとしても、おそらく児童労働者であったという汚名を背負っていかなければならないだろう。

次の2つのビデオでは、子供たちがニカラグアの児童労働について意見を出し合っている。Xchange Perspectives による動画教育を通じて、同国 Jinotega 県の子供たちが 同問題についてレポートしている [3]

 Abre Tus Ojos Nicaragua [4] [es]の十代の若者たちも、ニカラグア北方の Matagalpa における同問題についてレポートしている。児童労働者だけでなく、児童労働を防ぐべく尽力している組織の第一人者にもインタビューすると、こうした子供たちが働いている理由はほぼ共通していた。例えば、彼らの世帯は、その子供本人と母親のみであることがしばしばである。そのため、生活の収支を合わせるためにさらなる収入が必要になる。または、病気が原因で、家族を食べさせるために収入を得られる者がこのような子供たちだけとなり、彼らは突如大人になる必要があるのだ。親が子供を働かせている理由が、子供に何もしないで怠けることではなく、働くことについて学ばせるためという場合もある。彼らは一日中働いて、非常に疲れて帰宅する。しかし、このような子供や十代の若者は、家族を支えているということに誇りを持っており、それが「仕事」であるとか、自分たちの権利を否定するものであるとは見なしていない。午前中に教育を受けさせてから、子供が家族を手伝いに行くことを許可するとともに、子供や十代の若者が自分の権利に気付くよう彼らの認識を高めるという措置が取られている。

画像 Zach Klein [5] CC BY 2.0 [6]

校正 Ayumi Nakajima