2012年4月、高収入を得る人気コメディアンの母親が生活保護を受給していたと、一部の週刊誌が報じた。
生活保護の受給はコメディアンの収入が不安定だったころに始まったが、収入が増えるにつれ受給額は減額され、現在では打ち切られている。受給の経緯に特に問題はないが、「河本氏は高収入を得ながら母親を扶養せず、生活保護を不正受給させていた」との誤ったイメージが先行したため、メディアやネットからバッシングを受けた。
この報道を取り上げて自民党員片山さつき氏は、自身のブログ[jp]で河本氏の実名を公表し、生活保護受給基準の厳格化に向けて取り組む姿勢を強調した。またTwitterやメディアのインタビューでこの問題を追及する発言を繰り返し、ネット上で論争を巻き起こした。
以下に片山氏に賛同するTwitterの発言を引用する。
@kikko_no_blog
お腹を痛めた子どもが2人もいて、そのうちの1人は吉本興業の人気芸人で、毎晩のように後輩たちを引き連れて飲み歩いてたって言うのに、お腹を痛めたお母さんは生活保護を受けて暮らしてたなんて、これほど酷い話はない。世界でたった1人のお母さんにこんな思いをさせるなんて最低のクズ野郎だよ。
@wranglerrefugee
@SekoHiroshige ブログ拝見しました。年老いた母と病弱の姉まで扶養している私からすれば、次長課長河本氏の問題は看過できません。正直者が馬鹿を見ることは許してはならないと考えております。
@masaki_26
@katayama_s 生活保護を受けられなくてお亡くなりになられた方も多数います、今も受けられなくて生きるのにギリギリの方がいます。そう言う人が助けられる日本であって欲しいです。金持ちが自分の出費を減らす為の生活保護では無いのです。見て見ぬ振りをする今までから変わりましょう。
@tsukurin51
@katayama_s 私も片山議員を支持します!そう、生活保護は生きるか死ぬかの選択なんです。国や行政はこの境界線を明確にするべき。それが難しいなら生活保護を受けている人にはボランティア活動や何らかの義務を科すべき。
ただで月20万円近くもらうなんてあり得ない!
片山氏は個人や会社の責任追及が目的ではないと書いている が、本記事に引用した発言が代表しているように、片山氏に賛同する意見には河本氏個人を吊るし上げるものが少なくない。
また一方では、片山氏の行動や政治のあり方に疑問を呈する声もある。
@chervbim
生活保護叩き。叩きやすいところを見繕って激しく叩き、見せしめにする。今後失業者が激増するのに憲法で保障されたセーフティーネットである生活保護の受給が白眼視され、罪責感を強要される社会になる。一度落ちたら死ぬしかない社会だ。大人しく我慢してたら死ぬまで小突き回されるぞ。
@oginonatsuko
生活保護費の漏給は餓死や孤独死だけではなく年間3万件を超える自殺、その十倍以上といわれる自殺未遂の大きな要因でもあると思う。この状況を打開するために政治家がやるべきは個人情報をリークして生保受給経験者の家族を叩かせることではないはず。やるべきことをやっていないのは政治のほうだ。
@qianbianwanhua
保護受給をしている「一部のひと」の苦しみや痛みは、無視されてもいいものなのか。誰がそれを決めるのか。生活保護を切り下げて、一体誰が得をするというのか。生活保護然り、「一部のひと」を切り捨てて「多数のひと」を幸福にする、などという発想は、いったいいつ、止まるのだろう。幻想なのに。
この加熱した論争と時期を同じくして複数のCMや番組降板が決定し、河本氏は2012年5月25日、謝罪会見を開いた。自身の母の生活保護受給について法的な違反はなく不正ではないと強調しつつも認識の甘さについて謝罪し、生活できる収入を得られるようになった時期以降に母親が受け取った受給額について返還したいと述べた。
http://www.youtube.com/watch?v=ekcaWSGbVb8
そして実際にこの会見から1ヶ月たった6月26日、行政側が提示した額を返納している。
その一方、ネチズンの間では一連の騒動が実生活に与える影響を不安視する声が大きくなりつつある。
第一野党自民党の生活保護に関するプロジェクトチームの座長、世耕議員が報道陣の前で語った扶養義務強化を目指す生活保護改正案へのコメントを受けて、Twitterユーザー @yukipaonはつぶやいた。
つまり、弱者は死ね、と。 → 親族の扶養義務徹底…自民、生活保護法改正案を提出へ…
blogosユーザー高橋 みかたはユーモア交じりにぼやく。
無理だよ。賛成・反対の前に、3親等に扶養義務を持たせる法律なんて作れっこない…(中略)…それよりも「困っている叔父さんは助けなさい」と国家に言われる事に違和感あるね。そのうち法律で「婚姻を結んだ男女は、週2回以上セックスをしなさい」と定められそうだ。