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ロンドン:バングラデシュ人にとってメダルにまさる栄誉は

この記事は 2012年ロンドン五輪特集 の一環です。

近代オリンピックの創設者ピエール・ド・クーベルタン男爵は言った。「人生においては勝つことでなく努力することが最も重要であるが、それと同じで、オリンピックは、勝つことではなく参加することにこそ意義がある」と。バングラデシュ人は、この言葉通りにしている。

南アジアの国バングラデシュは、1984年からオリンピックに参加している。しかし参加当初と同じで、バングラデシュ人は、オリンピックで同国の選手がメダルを獲得するとは思っていない。

同国は、世界で最も名誉あるこのスポーツイベントのどの競技にも、自力での参加資格を得ることはできなかった。バングラデシュ選手団が2012年夏のオリンピックに参加するためにロンドンにいられるのは、「ワイルドカード(推薦枠)[bn]」制度のおかげである。今回、バングラデシュは5つの競技(陸上、射撃、水泳、体操、アーチェリー)で推薦枠を得た。4年前の北京オリンピックでは、3つの競技だけにしか参加できなかった。

2012年ロンドンオリンピックの開会式。タワーブリッジを彩る照明と花火。Jaki Northによる写真。Copyright Demotix (2012/7/27)

2012年ロンドンオリンピックの開会式。タワーブリッジを彩る照明と花火。Jaki Northによる写真。
Copyright Demotix (2012/7/27)

バングラデシュ人は、同国の選手たちがおそらくメダルを獲得できないことは分かっている。しかし、各競技運営団体や選手たちは、オリンピックで最高のパフォーマンスを発揮したいと思っている。

バングラデシュ人がオリンピックで楽しみにしていることが、これだけだと思ったら大間違いだ。今年のオリンピックでは、もっと深いところでバングラデシュ人が関わるサプライズがいくつもある。競技場内だけでなく、競技場外でも! それはどんなサプライズかって?

Rezaul Karimは、「開会前に、ロンドンオリンピックはバングラデシュに最高の名誉をもたらしている」というタイトルのFacebookへの最近の投稿を、コミュニティブログSomewherein.netに再投稿した。彼は次のように書いている [bn]。

イギリスにいるたくさんのバングラデシュ移民が、今年のオリンピックの開催に関わっている。

オリンピック聖火を運んだRukshana

8千人の幸運を得た人々が、イギリスの隅々をめぐってオリンピック聖火をつないだ。聖火を運ぶのは限られた人々に違いない。イギリスにいる9人のバングラデシュ移民が、今年、聖火を運んで歴史を刻んだ。Rukshanaはそのうちの1人だった。7月21日に、彼女はオリンピック聖火を持って、グリニッジ地区を走った。そのバングラデシュ系イギリス人の若い女性は、イギリスのキックボクシングチャンピオンだ。

オリンピック記念硬貨をデザインしたSaiman Miah

2枚の印象的な5ポンド記念硬貨が、イギリスで硬貨の製造を担う英国王立造幣局によって発行された。この硬貨のために同造幣局が選んだのは、イギリス中のアートとデザインを学ぶ学生を対象にしたコンテストで受賞したデザインだ。バングラデシュ系イギリス人Saiman Miahの作品は、数千の応募作の中から選ばれた。Saimanはバーミンガム大学で建築を学ぶ学生だ。この2012年ロンドンオリンピック記念硬貨は、世界中の愛好家がすでに手に入れている。

開会式の児童パフォーマンスに出演したSougata Priyam

Sougata Priyamは9歳の陽気な少年だ。母親のMinkashi Dasから聞かされたオリンピックのすごさを、まだ理解できない。Sougataは「僕の学校から30人の生徒がオリンピック開会式に参加するんだ。今は友達が増えて、リハーサルに参加するのが楽しい。でも、好きなことを何かやっている方が面白いんだけどね」と自信たっぷりに言った。

聡明なAyesha Qureshi

2005年7月6日のことだった。オリンピック組織委員会(OCOGs)は、2012年のオリンピックを開催する都市を決めるため、シンガポールで国際オリンピック委員会総会を開いた。緊迫した決選投票は、ロンドンとパリの間で争われた。11名からなるイギリスのロンドンオリンピック招致委員の中に、Ayesha Qureshiという名のベンガル系イギリス人がいた。

針一本落ちても聞こえるような静けさを破って、33人の子供たちがステージに登場した。彼らが注目を浴びたのは、皆イギリス人でありながら、ひとり一人の祖先は世界の33の異なる国々にルーツを持つからだ。彼らが気付かせてくれたのは、ロンドンという多文化で様々な言語が話される都市の真の姿と多様性だった。このパフォーマンスで同総会に参加した委員に印象づけ、ロンドンは決戦投票でパリよりも4票多く票を集めて、開催地決定に歓喜の声をあげた。それぞれ異なる国をルーツに持つ33人の子供を紹介することは、Qureshiのアイディアだった。

Sobarブログでは、もう1人のベンガル人を紹介した [bn]。彼はダンスパフォーマンスでオリンピック開会式に魔法をかけることになる。

バングラデシュ系イギリス人であるAkram Khanは、オリンピック開会式の振付師だ。彼の両親はバングラデシュからの移民である。彼の振付で、1万2千人のダンサーがオリンピック開会式で踊りを披露した。

オリンピック期間中、バングラデシュ料理を味わうこともできる。オンライン新聞Sylherter Alapには次のような記事が掲載されている [bn]。

賞を獲得したシェフであり、レストランオーナーでもあるEnam Aliの「Le Raj」は、ロンドンオリンピックの公式レストランのひとつとして選ばれた。「Le Raj」はサリー州エプソムダウンズにある人気のレストランで、カレーを出す。カレーの他には、オリンピックを観戦するイスラム教徒のためにイフタール(イスラム教徒が、ラマダンという断食月の期間に日中の断食を破る食事)を作って提供する。

「Le Raj」では、選手だけでなく政府高官や各国首脳、大臣、国会議員、要人にも料理を提供する。バングラデシュ人に人気の料理に加えて、他のアジア諸国の料理のメニューもそろえている。

競技場の外だけでなく中にも、バングラデシュ人の気風は行き届くことになる。そして、たくさんの選手の汗とひとつになる。今回のオリンピックでは、選手用ユニフォームの主要生産国のひとつがバングラデシュであると、Bdnews [bn] は伝えた。

アディダスやプーマ、ナイキのような、人気のあるスポーツ用品メーカーが、ロンドンオリンピックにたくさんのユニフォームを提供する。これらの企業は、バングラデシュやインド、スリランカ、インドネシアなどの国で、彼らのユニフォームを生産している。しかしバングラデシュは、この業界で他国を上回っている。

今回のオリンピックで公式ユニフォームを提供する企業のひとつであるアディダスは、イギリスチームのユニフォームスポンサーでもある。一方、ナイキはアメリカ、中国、ドイツ、ロシアチームのスポンサーである。他の多くの国々のためにユニフォームを作るのに加えて、プーマはスター選手ウサイン・ボルトのスポンサーでもある。彼が身につける衣服の多くは、バングラデシュ人労働者によってダッカの工場で作られたものだ。

そういうわけで、メダル獲得数でバングラデシュを探す人がいたとしても、がっかりするかもしれない。しかし、オリンピックを成功させようとする人々を探したいのなら、バングラデシュという名はそこで光り輝くだろう。

この記事は 2012年ロンドン五輪特集 の一環です。

翻訳の校正はYuko Aoyagiが担当しました。

2 コメント

  • MariWakimoto

    素敵な切り口ですね。メダル数しか求めない大会じゃなくて、みんなで盛り上がるお祭り。そんなオリンピックなら日本で開催して欲しい!

  • gvjapanese

    この記事を選んだ理由は?

    『バングラディッシュを例に出して、競技でメダルを競う以外にもいろんな形で

     オリンピックに参加することに意味がある、ということを書いた記事です。』

    -- 翻訳者(2012/7/29)

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