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東ティモールのマラソンランナー、ロンドンっ子を魅了

カテゴリー: 東アジア, 東ティモール, スポーツ, 市民メディア, オリンピック

この記事は 2012年ロンドン五輪特集 [1] の一環です。

25歳の若きマラソンランナー、アウグスト・ソアレス [2]は底抜けの明るさと忍耐力で、オリンピック男子マラソンを応援する沿道の観客のハートをわしづかみにした。4年前の北京オリンピックにも参加していたが途中棄権に終わってしまったため、今回の目標は完走することであった。

レースの間、もっぱら最後尾を走っていたが、楽しそうに走る彼の姿はなぜか2012年ロンドンオリンピックの終わりにふさわしいもののように見えた。(彼は2時間45分09秒のタイムで、最後から2番目にゴールしている [3]。)

Augusto Soares of East Timor waves to the enthusiastic crowds who lined the streets of London Wall and Barbican. Photo by Richard Soans copyright Demotix (12/08/2012) [4]

ロンドン・ウォールやバービカンの沿道で声援を送る人々に手を振る東ティモールのアウグスト・ソアレス
リチャード・ソーンズ撮影 © Demotix(2012/08/12)

アニー・マーチンはTwitterでこう述べている [5]

オリンピックのマラソン最高。モニュメント(訳注:ロンドンの地名の1つ)のあたりで旗を振ってるんだけど、集団から取り残された東ティモールの選手が、すっごい満面の笑みで走ってるのがいい!

クリス・スピレインはTwitterでこう述べている [6]

僕のお気に入りのオリンピック選手、東ティモールのソアレスが男子マラソンで最後にゴール(訳注:実際は最後から2番目)したよ。これこそ本物のオリンピック精神だね。http://yfrog.com/obrxpmjj [7]

Marwat86は最終ラップにさしかかったソアレスの応援シーンを撮影し、Youtubeにアップ [8] している。

国連の職員が、オリンピックが始まるたった2か月前にトレーニングを始めたばかりのソアレスとチームメイトのフベンティナ・ナポレアオをインタビューしている。

ソアレスはブロガーのセルソ・オリベイラのインタビュー [9]を受け、最大のモチベーションは何かという問いにこう述べている。

liu husi partisipasaun Timor nian bele mos fo’o hanoin hikas fali ba maluk Timor oan sira nebe namkari lemo lemo iha ema rain katak Timor liberdade ona no moris iha dame nia laran.

ティモールが参加することによって、この国はすでに自由で、人々は平和的に暮らしていることを世界中に散らばるティモール人に知らせることができることだね。

ティモールの若者たちの見本となり、歴史の新しいこの国でスポーツを発展させていきたいと、ソアレスは述べている。

Maibe, hau labele halo buat ida se wainhira hau mesak, tamba bat hotu fila fali ba ema bo’ot sira. Hau bele dehan hau hari'i klubu ida atleta barak, maibe eventu la iha sa ida mak akontese, atleta sira treino ka sira ba fali sira nia fatin. Ne’e ita atu dezenvolve desporto?

だけど、1人では何もできない。なぜって、結局どんなことをするのも国の指導部の方針次第だからね。たくさんのアスリートを抱えるクラブを創設することができるかもしれないけど、もし何のスポーツイベントもなかったらどうなる?アスリートたちはただトレーニングをして家に帰るだけだ。これでスポーツを発展させられるかい?

ソアレスは首都の南にある山村、バリバール村の学校に通う少年であった。その時、自分がどのようにしてオリンピックのティモール人アスリート、アギダ・アマラル [10]にスカウトされたのかを語っている。

Diak. Hau konhese desportu halai ne'e primeiro liu husi mana ida naran Aguida Fatima Amaral. Iha momentu ne’e, hau sei eskola iha foho i sei hela ho pai i mae. Depois loron ida mana ne’e to’o ba iha ami nia eskola atu registu ema atu tama iha mana nia klubu naran SLB. […] Hafoin ami treino iha neba mana ne’e hare ami nebe mak halai diak oitoan entaun foti ami tun mai hela no treino iha dili.

アギダ・ファティマ・アマラル [10]という女性からランニングを教わったんだ。当時、まだ僕は山の中の学校に通う学生で、母や父と一緒に暮らしてたんだよ。ある日、アギダ自身が僕たちの学校にやってきたんだ。SLBという彼女のクラブに所属できるような人材を探しに来ていたのさ。[…] 山の中で鍛えられたこともあってか、アギダは僕たちに見込みがあると思って、電車でディリ(訳注:東ティモールの首都)まで連れて来てくれたんだよ。

この記事は 2012年ロンドン五輪特集 [1] の一環です。

翻訳の校正はYuko Aoyagi [11]が担当しました。