インド:クダンクラム原発をめぐる対立続く

2012年9月、インド南端のタミル・ナードゥ州ティルネルヴェーリ県のクダンクラム地区における原子力発電プロジェクトが、抗議の嵐の中で操業を開始した (以前の記事参照)。 クダンクラム原発は電力の供給を始めたものの、抗議行動を行う者の逮捕がいまだ行われており、反原発活動家の拘束も続いているなど、状況は悪化の一途をたどっている。10月9日には、原発に反対する人々の苦しみをインド全土で分かち合い連帯を強めようとする、2週間にわたる抗議活動への呼びかけも表明された。

10月14日(日)、Revolutionary Democratic Front(革命民主戦線)が声明を発表し、タミル・ナードゥ州クダンクラム原子力発電所に対する全インド現地調査チームメンバーの逮捕および不当拘束を非難した。調査チームは10月12日、クダンクラムから20キロ離れたナングネリにて、「不法な集会」を開いたとして拘束された。終日の拘束の後、警察は彼らを Criminal Law Amendament Act(刑法修正法)の様々な条項に基づいて逮捕した。調査チームメンバーはパーライヤンコーッタイ刑務所に収容されている。

声明には以下のように述べられている。

現在、クダンクラムの人々は、家庭や暮らしを侵食している原子力発電所に反対して、数か月にわたり勇敢に戦い続けている。住民は、この原発が周辺地域の安全に対し甚大なリスクをもたらし、環境へも危険を及ぼすのではないかと、至極まっとうな疑念や心配を抱いている。だが政府はそのような声に応える代わりに、抗議する人々を無慈悲に抑圧するという対応を取り続けている。政府が今回の現地調査チームを制止し抑圧しようとしていることにも、クダンクラムの状況やそこで行われている様々な抗議運動について、意見を出されることはもちろん、知られることすら避けたいという思惑がはっきりと表れている。政府は、クダンクラム原発に反対して戦っている人々への連帯と支援を示すあらゆる声を威圧・抑圧しようとしているだけなのだ。

インド中の抗議活動家たちが、反原発キャンペーンへの連帯を示し、クダンクラムへ署名を送った。写真提供: Dipti Desai (C) Demotix (2012年3月15日)

同じ14日(日)には、ケララ州のSocialist Janata (Democratic) Party(社会主義ジャナタ党(民主派))も、タミル・ナードゥ州クダンクラムの原子力発電プロジェクト案への反対行動を呼びかける人々への支持を表明した。

抗議活動をしていた女性たちは今もなお刑務所に収容されている。「獄中より、クダンクラムの女たち―私たちはここにいると伝えてください!」と銘打たれた投稿の中で、Anitha S.は以下のように書いている。

Xavierammaは次のように言っている。「私たちがここにいるのは、危険で非経済的な原子力発電所が世界にこれ以上現れないようにするためなのです。非常に多くの人たちが、インドのあちこちで、原発に抗議の声をあげていることを私は知りました。単に自分たちの陸地や海を失うということではないのです。命そのものが危険にさらされる場所を作り出してしまうということなのです。そんな場所に誰が暮らしたいと思うのでしょう?」

別の女性Selviは語る。「反原発闘争の一員となるまでは気づかなかったことですが、自分が願うように生きる権利を確立しようとすること、伝統的な暮らしを追求すること、更には住民との協議を経ることもなく遂行されている活動に対し疑問を呈することは、犯罪や反政府的扇動を行っているのに等しかったのですね。」

Sundariが言うように、「私たちは同じきっかけでここにいるのです―私たちは世界のためにここにいるのです。」

塀の中の女性たちは、身体こそコンクリートと鉄の柵の中に閉じ込められているものの、塀の中に、ここに、自分がいるのだということを世界に知ってもらいたいと思っている。

「私たちはここにいると伝えてください。」

彼女たちはいまだティルッチラーッパッリ女子刑務所の中にいる。「人類の発明史上最悪の有毒物質がない」世界を、という自分たちの未来図を持ち続けて。

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