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 ウェールズ、デジタル化するアイステズボッド(芸術祭)を祝う

この記事は、Hacio'r Iaithと協同されたウェールズ語とデジタルメディアに関するグローバルボイス特集の一部です。

先週、ロンドンオリンピックでは熱い戦いが繰り広げられていたため、イギリスは世界中から注目を浴びていた。だが一方ほとんど知られていないことだが、ウェールズでも国としての重要性をはらんだもうひとつの大会が開催されていたのだ。多くのウェールズ国民が、オリンピックが開催中であることを忘れてしまうようなイベントが。

そのイベントはアイステズボッドといい、ウェールズで開催されている主な文化フェスティバルの一つである。もっと言えば、このイベントはヨーロッパではもっとも大きい文化フェスティバルだと言われている。開催場所が毎年変わるこのフェスティバルに、今年は13万人を超える人たちが来場した。今年の開催場所はウェールズの南部にあるLlandwである。このフェスティバルは主に詩、歌や文学のコンクールが中心だが、ポップミュージックや演技、ダンス、科学や芸術のコンクールも含まれている。

The National Eisteddfod of Wales. Image by: Iestyn Hughes (CC-BY-SA).

ウェールズのアイステズボッド 画像提供:Iestyn Hughes (CC-BY-SA)

ユニークなフェスティバル

 

このフェスティバルの面白いところは、ウェールズ語がどの活動の場面でも第一言語として話されている数少ないイベントの一つということだ。ウェールズで開かれている他の文化的なイベントでも、ウェールズ語を話す参加者はいるし、それらのイベントがウェールズ語を第一言語として開催されているのかもしれない。だがアイステズボッドには会場であるmaesの中での公式な活動をウェールズ語以外で行ってはいけないという独自のルールがある。

これは言葉を話す上ではとても不自由で、閉鎖的と思われるかもしれない。ウェールズ語以外禁止のルールがあるものの、実際には多くの言語が飛び交っているが、ウェールズ語を話す人にとっては、自分たちの言葉を自由に話す良い機会だ。一年のうち、この一週間だけ、ウェールズ語はすべての場面で話されている。

ここでは活動しているときに、ウェールズ語を話すことで不安がる人はいない。ウェールズ語が話せないかもしれない参加者に英語ではなくウェールズ語で最初に話しかけることにいつもの戸惑いを覚える人は誰もいない。この少数派の言語の話者であり、英語を話すことが日常生活の一部として避けられない人たちにとって、アイステズボッドはみんなの心がひとつになる、言うなればウェールズ語社会を動かす力を蓄える場のようなものである。

このYouTubeの動画では、 Clic Online(注釈:ウェールズの若者向けオンライン番組) で働く若い二人のリポーターによって、アイステズボッドでの一日が紹介されている。

                 

 

モダン化するウェールズ語文化

Participant at the Eisteddfod. Image by nwdls on Flickr ().

アイステズボッドの参加者 画像提供:nwdls on Flickr Eisteddfod

今年が初めてのことだが、ウェールズ文化を祝うこの催し物において、一般的に使用されているデジタルメディア(注釈:インターネットのニュースサイトやウェブページ)をmaes に取り入れて、ウェールズ語で使うことを促すという試みが行われた。Hacio'r Iaith, (注釈:自由に集まったウェブマニア、デジタルコンテンツプロデューサー、そしてハッカーやコンピューターマニア)が、ウェールズ語対応のインターネットをこのイベントに取り入れることを目的とする一週間のセッションを計画した。これらのセッションは、ソーシャルメディア・チュートリアル(注釈:コンピューターなどのハードやソフトの使い方)やウェールズ語版・ウィキペディアの使用方法から、プログラミングのワークショップと多肢にわたる。 このイベントを通して、ローカルなオンラインニュースサイトのBlogwyr Broにスレッドが投稿された。このサイトは、ブロガーが書き込みをしたり、動画や画像を貼り付けられる場を提供している。

 

ウェールズのメディアと政府が、アイステズボッドのデジタル化について話し合う

折しも、新しいテクノロジーを導入してアイステズボッドを近代化させるつもりなら、追加の資金提供を行う予定があるという、ウェールズ政府の教育文化大臣であるLeighton Andrewsの発表があり、アイステズボットのデジタル化の試みは、この発表と時を同じくしていたように見える。しかしHacio'r Iaith のテントに訪れた多くの人たちには、大臣の「近代化」発言の中には、来場者数を増加させるためにアイステズボッドでの英語の使用を促すという意味も含まれていたのか明らかではなかった。

Hacio'r Iaith's video workshop at the Eisteddfod. Image by nwdls on Flickr (CC BY-NC-SA 2.0)).

Hacio'r Iaithによる勉強会の様子 画像提供: nwdls on Flickr (CC BY-NC-SA 2.0)

BBC Cymru Walesの責任者であるRhodri Talfan Daviesは、スピーチの中で以下のことを指摘をした。それはアイステズボッドの関係者たちが、幅広いdigital platformsのあるこの時代にウェールズ語を使用してもらうという難題に取り組むということであり、2015年までに、ウェールズ語でのサイト利用者を5万人に到達させるという目標を立てたことについてだ。

BBC がオンラインスポーツ番組のような、ウェールズ語対応のサービスやスタッフの数を減らした頃だったので、彼らが掲げた目標に対しての疑いの声が一部のネット評論家たちから上がった。

ウェールズ語対応のニュース番組であるS4C は、アプリケーションや動画サイトのような新たなサービスやソフトの製作に資金提供を行うファンドの設立を発表したことで、このウェールズ語をデジタル化する考え方を後押しした。少なくとも今回の資金提供の本当の目的は、一時的ではあってもウェールズ語のオンラインでの使用を促すことだ。

伝統と新しい技術は完全に調和するのか?

ウェールズでもっとも親しまれているフェスティバルにデジタルメディアを取り入れるという試みは成功したのだろうか?全体的に言えば成功したのだろう。不便な接続環境や開催場所にもかかわらず多くの人たちがこのイベントに訪れて、自分たちが所属しているクラブや社会でツイッターをどのように利用するのか、ウィキペディアの文章を作成する手順、そしてウェールズ語版のあるソフトウェアについて学んだ。この試みは確実に、将来開催されるイベントでさらに発展するだろうし、ウェールズ語を話す人々が自分たちの言語をどのようにオンラインで使用するのかということに直接影響を与えるのだろう。

Hacio'r Iaithは確実に実行するための具体案をまとめた。その具体案とはデジタルメディアやウェブテクノロジーを通して、アイステズボッドでウェールズ文化を多くの人たちに共有してもらうというものである。全体としては、これらの案は会場のネット環境が良いかどうかに間違いなく左右されるものである。現段階ではこの条件は整っていないが、Hacio'r Iaithがオンラインでのコミュニケーションやデジタルメディアの持つ可能性を最大限活用していこうとするのであれば、会場のネット環境の整備は不可欠なことだ。

一般的に、デジタルメディアやウェブが語られる際のキャッチフレーズには美辞麗句ばかりが並びがちである。しかしたいていは、どのようにデジタルメディアを上手く利用するかという説明が欠けており、少数言語でそれらを上手く利用しようとする中で私たちが直面している問題への視点も失われている。

少数言語は生き残るために、デジタルメディアやウェブの利用に関するあらゆる手段を知らなければならないが、時間と労力にも限界がある。つまり、これらの中からどのツールを優先的に使用するかを決めることがおそらく最も重要なことであろう。

来年のアイステズボッド自体が、この優先順位の判断が言語やテクノロジー両方にとって正しかったかを判断する試金石になる。

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