2012年1月22日、あるウクライナ人の警官の様子が撮影された[en]。それはウクライナ南部のオデッサ[ja]市内で、止めた車のドライバーに横柄な態度で話しかけ、その公用語に対して侮辱的なコメントをしている姿だ。特にこの動画では、ドライバーがウクライナ語で警官に話し、警官は「[こんな]ウシ語は分からないね」と、ロシア語で答えているものだ。
動画では、この警官による侮辱行為の様子が他に多々記録されているが [ru]、公衆の関心を特に惹きつけたのは今回のコメントである。2001年の国勢調査によると、ウクライナでは公用語はウクライナ語[ja]で、人口の67.5%が母国語としている。2番目に多く使われているのはロシア語で、人口の29.6%が母国語と考えている。オデッサで主に使われている言語はロシア語であるが、ウクライナ憲法によると、公の場、特に官僚らが緊急任務を遂行する場合にはウクライナ語を使用しなければならない[uk]。
この動画がYouTubeに公開されたのち、ウクライナ内務省はこの件について内部調査を行うよう交通警察部に指示を出した[uk]。そして、当該警官(シュベツ巡査部長)が任務中に憲法を含む少なくとも3つの法律に違反したことが分かった。 この問題となっている警官は、これらの証拠により、まもなく職を失うこととなった。
今回の件は広く公開されているが、交通警官による違法行為がインターネットを通じて暴露されたのは、これが初めてのケースではない。例えば2010年8月、ハーイスィンという町のある交通警官がドライバーを侮辱している動画がYouTubeにアップロードされ、その後この警官は解雇された[ru]。クリミアの都市ジャンコイ出身の別の警官は、ドライバーを困らせている動画がオンライン公開された後に、調査を受け、その後解雇された[ru]。
こうした事件が続く中、ウクライナの人々は「ロード コントロール」と呼ばれる市民イニシアチブのことについて学習してきた。このプロジェクトのウェブサイト[ru]によれば、ドライバーへのアドバイスの中心は、自分たちの権利を知り、警官との遭遇現場を公然と撮影することである。例えば、先に述べたシュベツ巡査部長を撮影したのは、我々の活動家の1人であったと「ロード コントロール」は述べている[ru]。
これら最近の事件ののちに、ウクライナ内務省は交通警官を対象とした追加の法令研修を命じている[uk]一方で警官による市民に対するいかなる侮辱的な発言、あるいは差別的な徴候も容認できないことを強調している。さらには、2010年12月のテレビ番組「1+1」のインタビューで、キエフの交通警察部のある広報担当は、カメラの使用はドライバーと警官双方にとって「あいまいな状況を避ける[uk]」のに、一役買っていると認めた。
性根の腐った交通警官らがオンラインに公開される件数が増え続ける一方で、ますます多くのウクライナ人ドライバーが自分たちの車にカメラを取り付けている [uk]。