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トリニダード・トバゴ:主要幹線道路はいらない

大学教授で環境保護論者のWayne Kublalsingh博士は、11月15日に首相官邸前でハンガーストライキ(断食による抗議活動)を始め、トリニダードの南地域に予定されている高速道路の建設に反対した。この工事は、10億ドルの予算による高速道路建設計画の一環である。Kublalsingh博士は道路に関する以外にも様々な意見をブログで述べている。彼の反対姿勢は公的資金の透明性を訴え、官公庁の人間が有権者たちを支配しているのだという傲慢に対して、異議を申し立てるものだと一般的にはみなされている。

ブログ”Guanaguanare” は、一連の事件の現状をこのように嘆いている。

Kublalsingh博士に、私たちを置き去りにしてほしくない。自分のことなのに何一つ努力しない市民やネット上の声から判断するに、去年のクリスマスに博士が払った犠牲をあえて忘れようとしているこれら大勢の人たちのために、博士が死ぬようなことは断固として起こってほしくない。博士には、この国のために生きて戦い続けて欲しい。
我々の世界には、無知と悪と卑怯がはびこっている。彼一人が亡くなったところで、精神的に擦り切れ死んだようなこの世界に影響があるかは疑問で、残念だがこう結論づけざるを得ない。命が軽んじられるこの死の谷では、人の死ですら必要とされている流れをつくるきっかけにはなり得ないのだ。

Wayne KublalsinghとGillian Lucky弁護士の対面

Guanaguanareの言葉は正しいのだろう。 多くの人々がこの言葉をきっかけとして、同じ思想のもとで結束するべきだった。しかし少なくともネット上では、嘲笑の的になりつつある。政府はKublalsingh博士の努力を辱めて信用を損なわせることに熱心だ。ある地域のラジオ局は博士がファーストフード店内で食事をとっている写真を投稿したほどだが、明らかにフォトショップで加工されたもの だった。こうした悪質な悪ふざけに対しても、”Guanaguanare”は以下の言葉を加える。

国よりも、大義名分よりも[…]ときに美しくときに醜い同胞たちよりも、政府よりも、Kublalsingh博士の命を重んずる人々がいる。私もそのうちの一人として、彼が運命を託すべきだと激しく主張した。しかしKublalsingh博士は、自身の敵対者はもちろん自身の崇拝者よりも楽観的、前向き、寛大になっていったのだろう。我々の思いを別として、自身の目的を忍耐強く遂行した。

Kublalsingh博士が私に気づかせてくれたのは(もっとも、私たちはこれを当然のこととして受け入れるようになってきているが)どんな人であっても、「自分は国や大義(…)国の人々や政府と関係がない」と考えることは、不幸とまではいわないが不自然だということだ。博士の奇妙な行動は「食が豊富な」この世界に於いては想像もつかないものだった。 混乱の渦中に投げ出された人々が、いつもの皮肉や軽蔑、批判に低レベルなジョーク、無神経な態度で真実から逃げ出そうとしたのも、不思議なことではない。

断食中の博士にとっては、そこらへんのペラウ(キマメ、鶏肉、米をハーブとココナッツミルクで炒めたトリニダード料理)でさえ、まるでアヘンのように魅力的なものだ。それでも博士は皿の魅力に屈することなく、ぬくもりと満腹で満ちた牢獄から我々を引きずり出そうとしている。牢獄の中で過ごすうちに枯渇していった、ある「栄養素」についてよく考えさせるために。

ありがとう、Kublalsingh博士。あなたのおかげで、この国では多くの人々にとって真実など何も意味しないということを今一度、目の当たりにすることができた。真実を見過ごすことで自分とその仲間たちが助かるならば、その他大勢の命さえ危険にさらすだろう。たとえ世界中に注目されても、奴らは自分のことだけを考えて真実から目を背けるに違いない。

別のブログ“kid5rivers” には、異なる意見が書かれた。

そのときKublalsingh博士が言ったことは(内容はともかく)、博士とReroute Groupが提起した問題に関しては、これこそ自分たちが通るべき国民のための本当の道のり―「計画は絶対に中止するべき!」―であるということだ。言い換えれば、Kublalsingh博士たちは首相や政治家たちと話し合いに入る準備し、この件に関しては徹底的に、政府に屈することなく容赦なしに攻撃するつもりだということになる。要するに、現在行われている議論や話し合いの全ては、見かけ倒しにすぎなかったのかもしれないのだ。

一方で、Kublalsingh博士率いる圧力団体がフェイスブックに開設した”Highway Re-Route Movement”のページでは、 2012年11月27日深夜の投稿 で運動の目的が明示された。

Highway Re-Route Movement (以下HRM)は、サンフェルナンドからポイント・フォーティンへの道路建設を以前から支持している。

しかしHRMは、DebeからMon Desirを繋ぐ道路建設には賛成しかねている。その道路はオロプーシェ湖を通過するのだが、特にその箇所に対してHRMは社会的影響、水質、費用対効果を含む実質的な調査を行うよう勧めた。独立機関による調査が以前から求められていたこともあり、大統領から調査の許可を得ることができた。

2012年5月16日、Kublalsingh 率いるHRMは大統領と面会を行った。そこで、全ての建設と技術審査を中断を要請し、対処すべき技術的事案が見つかったことを告知した。11月27日の今日、Kublalsingh博士がハンガーストライキを始めてから13日目が経過しており、政府が中立的な意見を出せなかったことに対する批判を続けている。

その後、HRMは2つの会談に呼ばれた。最初の会談ではHRM側の技術班と政府側の技術班を引き合わせようとしたが阻止されたため、途中で席を立ってしまった。二回目の会談では、簡単な説明文を添えた写真付きの書類が、5枚だけ渡された。水質、環境、社会的影響、費用対効果に関する技術的な報告は、一度もなかった。工事は遅れこそ出たものの中止とまではいかず、今に至る。

政府側は、技術的な再調査によって示された基準は既に満たしていると断言している。一方でHRM側は、政府の方法は茶番で虚偽の宣伝としている。

kid5riversは続ける。

頑固、偏屈、独りよがりな手段は、政府と社会が対話する民主主義の現代にそぐわない。時代にふさわしくない手段は、癒えることのない傷をさらにえぐるだけである。Kublalsingh博士が前時代的な態度でポイント・フォーティンの道路建設に反対する様子を見ていると、彼の断食を応援することなどできない。

ハンガーストライキ中のKublalsingh博士、身体を起こすのもやっと。

Highway Re-Route Movementの反応は?

Kublalsingh博士は手紙を書き、プラカードを掲げ、キャンペーンを行い、現地でキャンプを張ったり、逮捕されることもあった。その数年間で、首相が約束を破り続ける様子も目の当たりにしてきた。そして今回、博士はハンガーストライキを始めて飲まず食わずの状態だ。11月27日の時点で、Kublalsingh博士は13日間も何一つ口に入れていないことになる。Kublalsinghは、自身の健康はもちろん、命までも賭けて活動を行っている。

1981年の予算審議会でEric Williams博士が発表して以来、サンフェルナンド〜ポイント・フォーティンの道路計画の支持者である人物が、現政権の支持者として知られる ”United Voice blog”を通じてある質問を発信した。「Kublalsingh博士が今回のハンガーストライキで初めて注目を浴びている?本当にそう言えるだろうか」

Kublalsingh博士は製錬工場の建設やその他のプロジェクトに対する反対運動で成功し、人気を得てきた。今や彼は思い上がって、ギリシャ悲劇的な結果をもたらす行動に駆り立てられてはいないだろうか?

これは注目に値するが、Kublalsingh博士がその地域に住んでいるわけでもないのに、住人たちは誰もハンガーストライキに参加する気がない。 Kublalsingh博士が断食という拷問の末、命を落とすようなことがあれば、問題はある意味「解決」し、道路建設が始まるのではないか?

“United Voice blog”は一方で、首相に宛てた公開書簡内では 逆の見解 を示している。

 首相というものは、何よりもまず第一に、リーダーであるべきです。そして、理解力と寛大さこそ、実力あるリーダーにとって不可欠なものです。

この理解力とは、首相自身が市民の視点に立ち、我々がどこから何のためにやって来ているのかを、知るということです。

また首相は、間違いなく寛容な心をもち、間違いを犯す人間にも配慮と理解力を示すべきです。これこそ、リーダーにふさわしい能力です。影響力のある一市民が断食をすれば、彼に追随する市民も現れるだろう、という議論は意味がありません。

あなたはよき責任者であるべきですし、今回の難題には満足のいく対処していただきたい。笑い飛ばしたり、古い意見に従わせるのではなく、きちんと答えを出してほしいのです。

もしKublalsingh博士が亡くなるようなことになれば、現政府は間違いなく転覆するでしょう、そんな政治には誰もついて行かないでしょうから!政権をどうしても維持したいというなら、彼を生かしておく必要があるのです。

首相、そういうことですから、どうか考え直して(…)そして、Kublalsingh博士を絶対に死なせないで… Kublalsingh博士たちとの約束を守ってくだされば、その協力は高く評価されます。力あるリーダーの言葉なくして、信頼を得ることは困難です。国民が必要としているのは、自分たちの首相が信頼できる人物だと確信できることなのです。

首相官邸前でプラカードを掲げる、Kublalsingh博士の支持者

政治的な話題を扱うブログ”The Eternal Pantomime”は、 初期の段階からKublalsingh博士を支持している。 この記事では反対運動の代表が主張すべきことについて再投稿し、こちらの記事には、「(幹線道路が完成した場合)Debe〜Mon Desirを通る幹線道路が突っ切る地域のネイティヴ」ブロガーによる番外編が掲載されている。

幹線道路に関して私が考えていることを、みんなに聞いてほしい。私は道路の建設を望んでいるが、多くの反対意見があることも理解している。南幹線道路を使わずにポートオブスペイン(トリニダード・トバゴの首都)まで行くことができても、渋滞に困っている私たち住人にしか利点はないと思うから。

しかし、Debe – Mon Desir間の幹線道路建設を望んではいるが、隠し事やコネや汚職の蔓延には断固として反対する。根拠の分からない数値がフェイスブックで発表されているが、1マイル毎の建設コストが、世界中のどの国の道路建設費用よりも莫大な額になっているのではないか。道路建設が完了して建設コストの問題は話題にならなくなれば、この国の政治には当たり前となった汚職と戦い続ける絶好の機会を逃してしまう。そうなれば、汚職はわが国の政治へ完全にはびこってしまい、世界全体の汚職撲滅をリードする可能性を遠ざけてしまう。

今回の道路建設を一つのきっかけとして、国全体で問題を見つめ直し、国の代表者たちに高い意識を抱き続けてもらうことも可能ではないか??

Kublalsingh博士も、まさに同様のことを聞きたがっているだろう。

本記事に掲載されている写真は、Rhoda Bharathの許可を得て使用している。