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「安全文化」? 語れ原発危険性

この記事は、東日本大震災特集の一部です。

東北地方太平洋沖を襲った巨大な地震と津波により、福島原子力発電所はメルトダウンを起こした。震災から2年。原子力発電所の安全性強化に力を注ぐとする政府は、市民の問う原子力に伴う危険性については口を濁し続けている。

2013年2月28日、世界保健機関(WHO)は、福島原発周辺の最も汚染が激しい地域での発がん可能性について、乳幼児期に放射線にさらされた男性の白血病が7%、女性の乳がんが6パーセント増加するリスクがあると発表した。[en]

一方、同日28日の施政方針演説で安倍晋三首相は「原子力規制委員会の下で、新たな安全文化を創り上げ、安全が確認された原発は再稼働する」と明言した。福島原発事故後、現在日本では50基の商用原子炉のうち2基が稼働中である。

2012年12月15から17日、日本政府と国際原子力機関(IAEA)共催の「原子力安全に関する福島閣僚会議」が福島県郡山市で開催された。原子力安全の国際的な強化に貢献することを主な目的としたこの会議には117国13の国際機関が参加した。

外務省はホームページで福島閣僚会議の結果概要をこうまとめている

事故から1年9ヶ月しか経っていない中で今回の会議を福島で開催することにより,原子力安全の強化の重要性につき強いメッセージを発信することができたものと考える。また,IAEA原子力安全行動計画の策定から1年を経たタイミングで国際社会の取組についてハイレベルで議論が行われたことにより,国際的な原子力安全を更に強化していくことにつながると期待される。

Nuclear Free Now Global Demonstration Hibiya,Tokyo Photo taken and shared by Masahiko Murata

「脱原発世界大行進2」 日比谷 東京
撮影 Masahiko Murata(掲載許可済)

 

福島閣僚会議が開催されたその期間に合わせて、脱原発のための大規模な国際市民イベント「Nuclear Free Now」が東京と福島で同時開催された。東京日比谷では「脱原発世界会議2」が12月15、16日に開催され、首都圏反原発連合が呼びかけ人となったデモ、脱原発世界大行進2も15日日比谷公園を出発した。この2日間のイベントには5500人以上の市民が参加した。

また福島県では「フクシマ・アクション・プロジェクト」がNuclear Free Now実行委員会との連携で実行され、12月14日から16日の間に市民会議や市民からのIAEAへの申し入れなどが行われた。また全国36都道府県80名(2012年9月26日現在)の市町村長が参加している「脱原発をめざす首長会議」主催の勉強会も郡山市で開催された。

福島閣僚会議初日の15日、会議場の前に市民らおよそ200人が集まり「原発の安全ではなく、危険性を語って」と会議の内容を切り替える­よう訴えた。またフクシマ・アクション・プロジェクトの代表が、福島医大がIAEAとの協力で行っている健康調査の本人へのデータ開示と説明責任や、希望する家族には安全地帯への避難・疎開・保養を日本政府に早急に促すことなどを要求する要請書をIAEAの­報道官に直接手渡した。

"KOUIUKOTO" (This is what's really happening) by Misato Yugi (CC BY-NC-SA 2.1 JP)

「こういうこと。」 絵 柚木ミサト
(CC BY-NC-SA 2.1 JP)

IAEAに手渡された要請書の冒頭には、IAEAと福島県が研究拠点を設置するなどを取り決めたことついての不信感が示されている。

この度、貴機関IAEA(国際原子力機関)が福島県の「環境創造センター」創設の一環として県内 2 か所に研究拠点を設置することを知りました。私たちはこれまでのIAEAのあり方からIAEAは世界的な原子力の推進機関であり、その平和利用を強調し、危険性を矮小化してきた機関と捉えています。そのような強大な機関が福島県にやって来て、いったい何をしようとするのでしょうか。私たち原発被災者のためになるのかなど多くの疑問があり、その真意に懸念をもっています。福島原発事故に関しては私たち被災者をないがしろにさせないために、私たちはフクシマ・アクション・プロジェクトを立ち上げました。

また、政府が現状を語らず「安全キャンペーン」を推し進める限り、地元住民は不安定な気持で生活を続けていかなければならないことを訴えている。

事故当時、国や福島県は国民に知らせるべき情報の隠ぺいや浪江町民、飯舘村民への避難指示の遅れなどで国民に無用な放射能をあびせてしまいました。ヨウ素剤配布もほとんど行われませんでした。行ったのは「ただちに健康に影響ない。」「年間100m㏜以下は大丈夫」という「安全キャンペーン」でした。目にも見えず、においもない放射能への恐怖と体制側からの「安全キャンペーン」のはざまで、私たち県民は揺れ動き、悩み、家族や仲間との間でさまざまなあつれきやいさかいも生まれました。境界線の一本の線引きで町内分断や差別がおきました。

2013年1月17日、この要請書にたいするIAEAからの返答が、フクシマ・アクション・プロジェクト代表宛に届けられた。IAEAが強調するのは、自分たちは意思決定者ではない、ということであった。

IAEAとして、加盟国に対して原発を導入すべきである、原発の運転を継続すべきである、あるいは原発を停止させるべきであると言う立場にはありません。しかし、加盟国が原子力発電を導入する、あるいは継続するという決定をした場合には、それらの原発が国際的な安全基準を十分満たし、周辺国の懸念にも十分対応する形で安全かつ持続的に運転されるよう支援するということがIAEAの役割です。

"KOUIUKOTO" by Misato Yugi (CC BY-NC-SA 2.1 JP)

「こういうこと。」
柚木ミサト (CC BY-NC-SA 2.1 JP)

 

本記事に掲載したイラストは「あかいつぶつぶの絵」として広く知られる作品である。福島県の子どもを守りたい大人のためにと、画家柚木ミサトがシリーズで描きはじめたもの。「すべてのおとなが、すべてをのりこえて、子どもたちをまもることができるように」とのメッセージが込められている。

しかし、つぶつぶが目に見えない現実の中で、原発周辺の住民がどれほどの危険にさらされているのかについて、政府や原子力機関からの十分な説明はいまだなされないままである。

非営利のインディペンデント・オルタナティブメディアとして、独自に制作したドキュメンタリー番組やインタビュー番組を配信しているOurPlanet-TVは、12月15日のフクシマ・アクション・プロジェクトの様子を伝えていた。カメラは、市民グループ「原発いらない福島の女たち」のメンバーが、IAEA担当者ジル・チューダー報道官に、原子力の真実を語ってと直接訴える姿もとらえている。ビデオ映像はこちらから視聴できる。

覚えておいて欲しいこと、それは、福島県はもう脱原発を決めた、ということです。それからもうひとつ、IAEAはぜひチェルノブイリの真実を語ってください。チェルノブイリの健康被害の真実を語ってください。[…] 最後にお願いです。今日から3日間行われている会議で、原発の安全性ではなくって、原発の危険性について語ってください。そして世界中の原発をなくすという、そういう会議に切り替えてください。

また、別のメンバーがチューダー報道官と向き合い、こう声音を強める場面もある。

私たちのことを抜きに、福島のことを決めないでください!

原発事故後、福島から京都に母子で避難し、ブログで体験を伝え歩くキャニアは、12月14日に市民代表が福島県に提出した、福島県とIAEA が協定を結び除染や健康の事を管理しようとする動きに抗議しIAEAの進出を止めるよう訴える要請文を、ブログに掲載した。そして、震災後、いったい日本で何か起こっているのかを知ることが、自分たちを守るためにどれだけ大切であるかということを語っている

国民の一人、一人が、自分と家族を守るのは自分自身である事を自覚し、情報を取り続けて下さい。そして、あなたの思いが溢れた時には、私達と一緒に、ご自分が出来る事を、どんなに小さい事でも良いので続けて頂きたいです。

2013年3月10日、市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」は、日本初となる「原発」国民投票の実施を求める街頭デモを東京都内で行った。原発の将来をどうするのかについて、国民一人ひとりが主権者としての自覚を取り戻し、積極的に意思決定に関与し国民投票を実現させ、国に対して民意を反映する具体的な施策を明示することを目指すものである。3月10日に行われたデモには217名、杉並公会堂で開催された集会には300名の市民が参加した。6月上旬には国会周辺でのイベントを予定している。

この記事は、東日本大震災特集の一部です。

サムネイル画像 撮影 Masahiko Murata(掲載許可済)