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レバノン:わたしたちの民事婚を認めて!

カテゴリー: 中東・北アフリカ, レバノン, 人権, 宗教, 市民メディア, 意見

特に断りのないリンク先は英語のページ。
長く待ち望んだ打開の兆しかもしれない。2013年1月17日に行われたKholoud SuccariehとNidal Darwichの婚姻はレバノンで最も祝福された結婚といえよう。

この国では非宗教的な結婚が選択肢になく、2人の結婚は当局から承認されていればレバノンの地で初の民事婚となるはずだった。これがきっかけとなって、民事婚に関する議論が再燃した。何十年もの間、多くの人々がその権利を求めてきたのだ。

レバノンでは、民法上の身分は宗教指導者たちによって管理されている。離婚した場合の子どもの親権、相続、結婚などがこれに含まれ、宗教の異なる者同士の結婚を難しくしている。長年の間、市民団体のメンバーは民事婚を選択できるように要求を続けてきたが認められることはなく、ついにSuccariehとDarwichが現行法の枠組みで民事婚は可能であると主張して現状に挑んだのだった。

新郎新婦の要求は1936年に制定された法律の第60条の規定に基づいている。そこでは、「いかなる特定の宗派にも属さないレバノン人は、国が司る民法の家族法の下にある」と定められている。SuccariehとDarwichは2人の個人記録から宗派を削除する行政手続きを経たのち、結婚意思の表明などあらゆる必要書類を作成し、公証人立ち会いの上ですべての関係書類に署名を済ませ、内務省へ結婚を届け出たが公式な通知は保留にされた。

2人の結婚は大ニュースとなり、これに続いて民事婚への小さいながらも新たな一歩が踏み出された。ミシェル・スレイマン大統領が自身は民事婚に賛成であると何度も表明したのだ。大統領は以下のようにツイートしている [1]

@SleimanMichel [2]: Some Politicians oppose #civilmarriageleb but that will not change my beliefs nor will it deter me from getting the train on the right track

@SleimanMichel [2]: レバノンの民事婚(#civilmarriageleb)に反対している政治家もいるが、そんなことで私の考えは変わらないし、正しい方向へ軌道修正するのを止めることもできない

大統領の言葉は、長年これを待ち望んでいた国内外の人々にたいへん肯定的に受け止められた。 @Ramez Kozma [3]はこうツイート [4]している。

@RamezKozma [3]: @SleimanMichel Dear president Sleiman: millions & millions of Lebanese immigrants living abroad are proud to have you as their president…

@RamezKozma [3]: @SleimanMichel 敬愛するスレイマン大統領。国外に移住している何百万人ものレバノン人はあなたが自分たちの大統領であることを誇りに思っています…

そして、@MyriamSfn [5]こう考えた [6]

@MyriamSfn: @SleimanMichel Civil marriage isn't an obligation. Those who don't like it can leave the chance for those who do! Its time to have it in Leb

@MyriamSfn: @SleimanMichel 民事婚は義務ではない。民事婚をしたくない人々は、民事婚を望む人々に機会を与えよ! レバノンも民事婚を認めるべき時がきたのだ。

@JadBaroudi [7]ツイート [8]した。

@JadBaroudi:You might not wish to practice #CivilMarriageLEB [9], but it is your duty as a #Lebanese [10] #Citizen [11] to support the right of others to practice it!

@JadBaroudi:レバノンで民事婚(#CivilMarriageLEB [9])を行うことに反対の人もいるだろうが、 民事婚をする他者の権利を守るのはレバノン市民( #Lebanese [10] #Citizen [11]))としての義務である!

ブロガーのGinoは、レバノンの民事婚に対して賛成か反対かネット投票 [12]を行った。彼のブログの読者の92.51パーセントは賛成だった。 @MannounM [13]は時機の到来を待っている [14]

@MannounM [13]: Civil marriage is a fundamental and undeniable right which should be given to the Lebanese. Time for #civilmarriageleb has come!

@MannounM [13]: 民事婚はレバノン人に与えられるべき基本的かつ否定されてはならない権利だ。 レバノンで民事婚(#civilmarriageleb)が認められるときが来たのだ!

しかし、この戦いは勝利にはほど遠い。内務省はKholoud SuccariehとNidal Darwichの結婚の届け出を法務省へ回し、法務省はこれを却下した。さらに、ナジーブ・ミーカーティー首相は、現時点で民事婚に関する「無駄な議論」を始める必要はないと述べた。多くの人々と同様にブロガーのLebanese Voicesは、未だ民事婚が政治課題に上らないことを嘆いた [15]

(…) a law that allows people to love, mix and decrease sectarianism would confuse the hell of our electoral laws for the government and therefore to protect their majesties parliamentary seats, civil marriage has been scratched of the last meeting and shelved yet again! Because “Mikati [sees] debate on civil marriage useless in face of political paralysis”and to that i say: Dear @Najib_Mikati, it’s my right to get married in the country that i pay taxes to, not its religious institutes. I'm Lebanese not a Sect.

[…]人々に愛すること、交わること、宗教心を減少させることを許可する法律は、政府のためのご大層な選挙法を乱すかもしれない。だから権威ある議席を守るために民事婚は前回の会議でかき消され、またしても棚上げされてしまった! これは「ミーカーティー首相(が)、政治的麻痺状態において民事婚に関する議論は無益だ(と見なしている)」ためである。私はこう言いたい。「親愛なるナジーブ・ミーカーティー首相(@Najib_Mikati)、税金を納めている国で結婚をする権利が私にはあります。宗教団体で、ではありません。私はセクトではなくレバノン人なのですから。

民事婚の考えは他の多くの主要な指導者たちにも否定され、レバノンの大ムフティ・カッバーニー師は民事婚に反対するファトワ(宗教令)を出した。インターネット上では、それに対して肯定的とはいえない反応が見られた。

@jeanassy: [16] Not sure if 2013 or 1013! Thanks to Mufti Qabbani! #CivilmarriageLeb Lebanon

@jeanassy: [16]今が2013年か1013年かわからなくなってきたぞ! ムフティー・カッバーニー師のおかげでね!#CivilmarriageLeb レバノン

@pamoula [17]は望みを高く持てず [18]

@pamoula: [17] #civilmarriageleb will not happen, religious figures will not allow it, and politicians will never say no to them they need them

@pamoula: [17]レバノンで民事婚(#civilmarriageleb)は起こり得ないし、宗教家はこれを許さないだろう。そして宗教家に頼りきっている政治家たちは、彼らに対して決してNoとは言うはずがない。

2009年から、レバノン人は身分証明書から宗教を削除してもいいことになった。とはいえ形だけの権利にとどまっているのが現状である。しかし、仮に政府が民事婚を選択する自由を認めたとしたら、すぐに何千人もの人々が我も我もと押し寄せるだろう。近年多くの人がしているように民事婚のために外国(行き先には近いキプロスがよく選ばれる)へ行かずとも、ついにレバノンで結婚ができるようになるのだ。より広く政治的、国家的レベルで見れば、民事婚を認めることは、宗教が定めている体制から外れる国民がいることを、国が最終的に認めるという意味にもなる。これがどんなに重要な功績となるか、どれだけ言葉を尽くしても説明し足りない。 あるいは、民事婚賛成のデモに参加した人々が掲げていたプラカードの言葉、あの一言で十分かもしれない。「内戦はいらない、民事婚をしよう。 [19]

レバノンでの民事婚を求める動きに賛同する人は、オンライン請願書 [20] [ar] に署名することができる。

校正:Hirohito Kanazawa [21]