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ハンガリー:政治家のDV、責任は盲目の犬に?

カテゴリー: 東・中央ヨーロッパ, ハンガリー, デジタル・アクティビズム, 女性/ジェンダー, 市民メディア, 抗議, 政治, 法律

ハンガリーのネットユーザーは、与党フィデスに所属する政治家、ヨージェフ・バログ氏がDV(家庭内暴力)事件に関与した疑いがあることについて、ひどく怒っている。バログ氏は妻を激しく殴ったと報じられており、そのため妻は病院で治療を受けなければならなかったほどだという。バログ氏は、妻は酔っていて飼っている盲目の犬につまづいたために、けがを負ったと述べている。しかしハンガリーのニュースサイトOrigo [1][hu]によると、妻はバログ氏に殴られたと語っている。

ハンガリーのニュースサイトFN24は、事件が明るみに出た後、バログ氏にインタビュー [2][hu]した。これは、バログ氏が事件について語ったことだ。

Is Terike, who is being treated at a hospital in Kecskemét [city] with a skull fracture, your partner?

Yes, she is. So it was, like, we arrived home on Sunday at five in the morning from the feast, Terike grabbed a bowl of meat, which we brought home to taste, from the trunk, and started carrying it into the house. But we have a Komondor dog weighing 80 kilograms, he is blind and was scared of something, so he ran ahead, and pushed Terike, who fell and hit her head.

頭蓋骨骨折のためケチケメート(市)にある病院で治療を受けているTerikeさんは、あなたの妻ですか。

はい、そうです。それでまあ、日曜日の朝5時、私たちは宴会から家に帰りました。妻は、家で食べようと持ち帰ったボウル一杯の肉を車のトランクから取り出して、家に持って入ろうとしていました。私たちは、体重80キロの盲目のコモンドール犬を飼っているのですが、そのとき犬が何かに驚いて走り出し、妻を押しました。それで妻は転び、頭を打ったのです。

コモンドール [3]はハンガリー原産の牧羊犬で、とても長く、ひも状になった白い毛で有名だ。この犬の疑わしい話は、盲目のコモンドールや不自然に転ぶ女性のミーム(ネット上の流行)を次々に生み出した。FN.24はこれらのミームを集めて [4][hu]掲示した。一方、パロディーのブログHírcsárdaは、この盲目の犬のためにフェイスブック運動 [5][hu]を始めた。

blind komondor [6]

「100万人が好み、私もまた見るだろう」という説明文と共に、ブログHírcsárdaがフェイスブック上で共有した写真。

m00kid.tumblr.com.からのミーム。

5月1日、市民のグループはDVに反対して、「犬と共に歩く―コモンドールは無罪」 [7][hu]と称した集会を計画した。

最近ハンガリーであったDVに関する議論 [8][en]の後、この事件は再びセンシティブな問題を持ち出した。バログ氏の前妻による話 [9][hu]では、彼女は結婚していた25年間、バログ氏からDVを受けていた。

Rosa_parksはブログKettős Mérce上で [10][hu]、政府に処置をとるように求めた。この東欧の国はDV問題に取り組まなければならない、と。

We are still living in a subservient, submissive, sneaking country where [one has to be brave enough] to report a family member for domestic violence. The uncertain legal background is only partially the reason for the low number of police investigations – fear is much more common. The absolutely legitimate and intelligible fear. Every sensitive person's heart goes out [to the victims of those cases], because domestic violence is present in almost every family.

私たちは、卑屈で、服従的で、臆病な国にまだ住んでいるので、家族の一員をDVで訴える(にはよっぽど勇敢でなければならない)。警察の調査が少ないのは法的な裏付けがあいまいだからだというが、それはほんの部分的な理由にすぎない――それよりはるかに大きいのは、恐怖である。それはまったく正当で理解できる恐怖だ。DVはほぼ全ての家庭に存在するので、敏感な心を持つ全ての人は、(その事件の被害者に)同情する。

校正:Takuya Oshige [11]