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フォージア・クーフィ、アフガニスタン初の女性大統領となり得るか?

カテゴリー: アフガニスタン, 市民メディア, 政治, 選挙

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アフガニスタン次期大統領探しが始まった。昨秋、アフガニスタン独立選挙委員会(IEC)は、次回大統領選を2014年4月5日と決定 [1]した。有権者登録は先月末(訳注:2013年5月)に始まり [2]、投票日2週間前まで続けられる [3]。候補者はまだ出そろっていないが、出馬が予想されるうちの何人かは、すでに激しい論戦のまっただ中にいる。

今回の選挙は、10年続いたハミド・カルザイ(Hamid Karzai)現政権に、正式な終焉を告げる重大な選挙である。汚職とヘロイン密売への関わりが取りざたされ、タリバンとの交渉にも何ら進展のない10年であり、タリバンは今なお、市民や政府関係者への攻撃を止めていない [4][Gloval Voices Archive]。その上さらに、アフガニスタン次期大統領は、2001年以来国内に駐留している国際部隊の存在なしに、このような安全保障上の脅威に取り組まなければならない。

国内外の注目を集める候補者として、現職国会議員で女性の権利活動家でもあるフォージア・クーフィ(Fawzia Koofi) [5]、ハミド・カルザイ現大統領の兄であるカユーム・カルザイ(Qayyem Karzai) [6]、前外相で眼科医、2009年の大統領選でカルザイと争ったアブドラ・アブドラ(Abdullah Abdullah) [7]らの名前があがっている。選挙が近づけば、候補者の数はさらに増えるだろう。

フォージア・クーフィはすでに、自身の公式サイト [8]フェイスブック [5]ツイッター [9]などを使って選挙活動を開始している。西側メディアはこぞってクーフィの大統領選出馬を記事にし、最近出版 [10]されたばかりの書籍「The Favored Daughter:One Woman's Fight to Lead Afghanistan into the Future」(仮訳:「愛娘:ひとりの女性の戦いがアフガニスタンの未来を開く」)を賞賛している。

2013年2月には、ジョン・スチュワートがホストを務めるザ・デイリーショーに出演し、自身の人生における戦い、選挙への立候補について語り [10]、先の見えないアフガン国民の希望の星になりたいと述べている。

It is a choice, I could come to Europe or the US and stay a luxurious life like many other people in this world do or I could stay back in my country and try to contribute to a small change, if I can. And I have decided to go for the second option, although it is not easy.

これはひとつの選択です。世の中の多くの人がそうするように、ヨーロッパや米国に行って、贅沢な暮らしをすることもできる。あるいは、もし私にそれができるなら、祖国に残って、小さな変化に貢献しようと努力することもできる。私は後者を選ぶことにしました。たやすいことではありませんが。

クーフィのザ・デイリーショーへの出演は米国で広く放映され、おしゃべりな番組ホストのジョン・スチュワートがこれほど静かにしているのを見たことがない、とツイート [11]した人がいた。しかし、クーフィの支持者たちは、アフガニスタンがまだ、女性大統領を迎えるほどの態勢にはないのではないか、と危惧する。クーフィはすでに何度か、タリバンに命を狙われている。過去にも女性が大統領選に出馬したことはあったが、どの候補者も得票数で5位内にすら入れなかった。

さらに別の問題として、選挙の不正がある。2009年の大統領選でアブドラ・アブドラは、不正投票のまん延を理由に、カルザイとの決選投票に参加しなかった。多くのアフガン人にしてみれば、カルザイ氏族の一員が立候補するだろう [6]と聞くだけで不吉な予感がする。

Picture of Fawzia Koofi shared via girlsglobe.org.

フォージア・クーフィ、DangerDan22.wordpress.com [12]から許可を得て掲載

しかしそうは言っても、クーフィの希有な経歴、政治経験、主義主張のための戦いは、これまでの女性候補者と一線を画している。彼女が関心を寄せる女性の権利と汚職の一掃は、どちらもアフガン人にとって極めて重大なテーマであり、女性および低所得者層からの得票につながるだろう。Khorasan(@KhorasanCharity)は6月5日、以下のようにツイート [13]している。

She could be the 1st female president of Afghanistan if she manages to stay alive till April '14. She is Fawzia Koofi.

彼女は、2014年4月まで生き延びれば、アフガン初の女性大統領になり得る人。彼女はフォージア・クーフィ。

ツイッターでは、スキャンダル [14]になった「スリー・カップス・オブ・ティー(Three Cups of Tea)」の著者Greg Mortenson(@gregmortenson)も発言 [15]している。

Fawzia Koofi, Afghan female MP seeks presidency 2014 election: Will Afghanistan beat USA – 1st female leader?

フォージア・クーフィ、アフガニスタン女性議員が2014年大統領選を目指す。アフガニスタンは初の女性大統領輩出で米国に先んじるか。

しかしShuja Rabbani(@shujaRabbani)は、しかしShuja Rabbani(@shujaRabbani)は、クーフィーが大統領選出馬をまともに受け入れて欲しければ、彼女自身、他の政策にも力を入れる必要がある、とコメントする [16]

#Afghan [17] female politicians will need to find new ways of winning support: http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/17/fawzia-koofi-targets-afghan-presidency … [18]#WomenRights [19] can only sell for so long.

#Afghan [17] アフガニスタンの女性政治家は、新たな支持獲得の方法を見い出す必要があるだろう。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/17/fawzia-koofi-targets-afghan-presidency … [18]#WomenRights [19] 女性の権利は、ずっと以前からある問題だ。

Photo of Fawzia Koofi, which reads, "we will build this nation together, if you stay with me. Taken from her Facebook page.

フォージア・クーフィ: この国を一緒につくりましょう。私に支援を。
(クーフィ氏フェイスブックから)

上の写真は、オンライン活動の一環として、クーフィーがフェイスブックに載せているもの。多数の人が写真にコメントし、クーフィー出馬への支持を明らかにしている。

Abdul Haq AD のコメント。 [20] [fa]

خوب خواهد بود که از طرح های که به خاطر آبادی وطن خوددارید یک کمی ابراز میدا شتید، همچنان راه های برون رفت از مشکلات کنونی. موفق باشید

幸運を祈ります。国の再建、アフガニスタンが抱えている問題を解決するのに、どのような戦略をお持ちでしょうか。

ただし、彼女に好意的なコメントばかりではない。Adbulrhahim Mukhlisのコメント [21]。[fa]
آبادي اين سرزمين كه زن ها بماند، مردها بايدازاين سرزمين خارج شوند

女がこの国の再建するなら、男はこの国にとどまるべきではない。

同じ発言者はさらに続ける [21]
من به اين نظرم كه تا زماني دريك جامعه مردها رشدنكنند زن ها نمي توانند كاري را انجام دهند

男が社会を発展させ改善しない限り、女には何もできない。

彼は最後に、発言のよりどころとして、以下の言葉を引用 [21]している。[fa]
پيامبراسلام مي فرمايند: سرنوشت ملتي كه بدست زن ها افتيد آن ملت بايد انتظارقيامت ره بكشند

預言者は語った。「国の運命が女たちの手に委ねられたら、その先に待つのは破滅と災いだ。」

2009年の大統領選でハミド・カルザイに破れたアブドラ・アブドラは、いまだ正式に立候補を表明していない。一部報道によると、再びリスクをとる [7]べきかどうか決めかねているらしい。

アブドラは4月に、「憲法の規定によりハミド・カルザイ氏は再出馬できないが、カルザイ家が戦わずしてその権力を手放すことはないだろう」と、発言 [7]している。アブドラの読みはおおよそ正しい。カルザイ自身が出馬することはないものの、カルザイの弟マームド・カルザイ(Mahmoud Karzai)は、昨年Pajhwak Afghan Newsの独占インタビューにおいて、候補者の可能性として、カルザイ家の長兄カユーム・カルザイ(Qayyum Karzai)の名前をあげている [6]

People vote for the families and individuals whose hands are clean and had no role in war crimes. People have faith in Qayyum Jan and I have good relations with people. They are looking to us and want one of us to stand for the election.

国民は、不正がなく戦争犯罪にも縁がない家柄や個人に投票する。国民はカユームを信頼し、私は国民と良好な関係にある。国民は我々に期待し、カルザイ家の誰かが出馬することを望んでいる。

しかし、アフガニスタンの人々は、カユーム・カイザルの指名は氏族政治であるとし、その反応は冷たい。5月13日、Mohammad Jawad(@MohammadJawad4)は皮肉を込めてツイート [22]する。

We had very good run with his brother, so now we will vote for him. Karzai's brother to run for president.

彼の弟は大成功だった。だから次は、彼に、大統領選に出馬するカルザイの兄に投票しよう。

このコメントに、Sajid Arghandaiwal(@SajidArghandaiw)は次のように応答 [23]している。

If he become a president he will spoil the whole country!

彼が大統領になったら、国全体がだめになる。

しかし、Mohammad Jawadは、きっとそうなるような気がしている。 [24]

The general public still will unfortunately go for tribe rather than talent

残念ながら、一般庶民はまたもや、能力ではなく氏族を見て票を投じるだろう。

この記事は、中央アジア・アメリカン大学(キルギス、ビシュケク市)におけるGV中央アジア・インターンズ・プロジェクトの一部です。

校正:Takuya Oshige [25]