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マレーシア:ミャンマー人移民への襲撃に怒り

カテゴリー: 東アジア, マレーシア, ミャンマー (ビルマ), 人権, 国際関係, 宗教, 市民メディア, 政治, 移住と移民

ミャンマーにおける異民族間の暴力が周辺にまで広がっているようだ。

この数週間、マレーシアでは数人の仏教徒ミャンマー人移民が襲撃 [1]に遭っている。多くの人々はこれをミャンマーで続いている民族的、宗教的な 緊張状態 [2]と関係があるものと捉えている。イレブン・メディア [3]によれば、5月30日から6月8日にかけて起こったミャンマー人国民に対する激しい攻撃で、6人が死亡、12人が怪我のため病院に搬送された。

マレーシアのミャンマー大使館は当初このニュースを無視したが、これが多くのミャンマー人ネチズンの怒りに火をつけることとなった。ミャンマー情報省の副大臣であるイ・トゥトは以下のようにはっきりと報告 [4]した。

(我々は)カンポンとセラヤンのミャンマー修道院の付近で衝突が起き、何人かのミャンマー人国民が死亡したというニュースをインターネットで読んだ。(我々は)直ちに、午後5時の時点でマレーシアのミャンマー大使館にこの事件に関して問い合わせをし、午後8時には外務省を通して再度問い合わせた。大使は、そのニュースはでたらめだと言ったのだ。[…]

A Myanmar national put 11 red roses at Malaysia Embassy Yangon for Myanmar nationals killed at Malaysia. [5]

あるミャンマー国民が、マレーシアで殺されたミャンマー移民たちに敬意を表して、ヤンゴンのマレーシア大使館の前に11輪のバラを置いた。写真はイ・モーのフェイスブックより転載

ウェイ・リン・ウーは大使館の反応に対する不満をあらわにした。 [6][my]

襲撃は実際に起きているんだ!大使館の言う事に賛成するなら、死体を持ち帰るためのミャンマー行きの飛行機でも準備したらどうだ。

ファン・ランは同様の意見を主張した。 [7][my]

人々が苦しんでいる。それなのにやつらは大使館の外に出ないただの嘘つきだ。そして我々に高い税を課す。やつらがどんなふうに(大使館に逃げ込も追うとする市民を)非難するか、言葉では言い表せない。[…]いつになったら我々はミャンマー政府に頼れるのか?本当にがっかりだ。ミャンマー国民への人権の尊重はどこにあるんだ?[…]

ミョー・セットは、他国の政府が同様の状況に直面したとき、どのような対応を取っているのか比較した。 [8]

2007年にミャンマーで日本人が一人殺されたときはすぐさま日本の大臣がやってきたし、ミャンマー人労働者と韓国人工場主がもめたときに韓国大使館はすぐに事件に介入してきた。北朝鮮はミャンマー中の書店から金正日に関する本を排除したものだ。ひどい話だ!アメリカさえ、イェットーの事件(注釈:アメリカ人男性がアウン・サン・スー・チーさんの自宅に侵入した事件)があるとすぐにミャンマーに来た。我々はどうだろう?マレーシアでは、大使の口はしびれて動かなくなったかのようだ。情報省は機能していないし、ミャンマー政府はまひしている。

世界のミャンマー市民によるコミュニティページ「我らはビルマ人」は、マレーシアの仏教徒が受けている虐待に関してのNGOやメディアの沈黙に異議 [9]を申し立てた。

ミャンマーのメクティラー町区で暴動が起きたとき、(世界の)メディアや国連、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(などの)国際機関はそれについて(報道し)、そのうちのいくつかは民族浄化だとか、ジェノサイドだとか、ミャンマーのイスラム教徒が残忍に虐殺されているとか、そういったレッテルを貼って(状況を)誇張しさえした。だが、マレーシアにおけるミャンマー人仏教徒を狙った現在の虐殺については、なぜいつも以上に黙っているんだ?あと何人のビルマ人仏教徒が犠牲になれば(その状況を)伝えてくれるんだ?あなたたちが世界中の記事や映像で、あらゆる機会に乗じてビルマ人仏教徒を侮辱するたびに繰り返し使うところの『権利』を今見せてもらいたい。

6月4日、抗議の声が大きくなり襲撃が深刻さを増したことを受けて、ミャンマー政府はミャンマーのマレーシア大使に覚書を交付 [10]した。この覚書はマレーシア政府にこの問題について直ちに調査を行い、責任を負うべき人間に対し法的措置を取るよう迫る [11]ものである。6月6日、マレーシアは900人のミャンマー人国民が保安捜査中に拘留されたと伝えた。 [12]ミャンマー政府はマレーシアに特別代表チームを派遣するための準備をしている。 [13]

負傷したミャンマー移民のうち数人は病院の治療代を支払うことができないため、マレーシア・カンポン無料葬儀サービス社会団(カンポンFFSS)が被害者に寄付を行った。カンボーザ銀行の頭取でありミャンマー国際航空(MAI)の経営者でもあるウー・アウン・コ・ウィンは5万USドルを寄付 [14]し、[my] またミャンマーへの帰還を望む移民のため、マレーシア発ミャンマー着のフライト代を50%割引した。また別の有名で裕福な人物、ミャンマーサッカー連盟の会長であるウー・ゾウ・ゾウはミャンマーに戻りたい人のため1000枚の航空券を、さらにカンポンFFSSに追加で2万ドルを寄付すると発表 [15]した。[my]

フェイスブック上の多くのネチズンは、マレーシアにおけるミャンマー市民の死を悼むため、プロフィール写真を一面黒に変えた。 [16]