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実は「必要」?ロシアの違法移民キャンプ

カテゴリー: 東・中央ヨーロッパ, ロシア, 人権, 労働, 市民メディア, 政治, 民族/人種, 移住と移民, 行政, RuNet Echo

(記事中のリンク先はすべてロシア語のページです)
7月の終わり、モスクワ州の知事代理は、エゴリエフスク市近くのかつての軍事基地における違法移民のための短期収容所の設立を提案した [1]。建物を再利用するために掛かる改修費用は、2億ルーブル(600万ドル以上)と見積もられている。もちろん、現地住民はその案に対して快く思っていないので、区長であるミハイル・ラヴロフを促して9月22日に行われる住民投票でエゴリエフスク地区に収容所を設置するか否か決めるべきだと提案させた。

ラヴロフ区長は、個人的には提案された短期収容所に反対である [2]と語る一方、この問題における有権者の考えを判断するためにオンラインでの投票を支持している。地区政府のホームページはすぐに是非調査 [3]を開始し、住民にたずねた。「エゴリエフスク地区に違法移民のための特別な収容所を設置することに賛成ですか?」と。

A scene from inside one of Moscow's recent makeshift illegal immigrant detention centers, 2 August 2013, screen capture from YouTube. [4]

2013年8月2日当時のモスクワの一時的な違法移民収容所の一つの内部の写真(YouTubeより)

以前行われたホームページ上の投票 [5]は平均100人以下の反応しかなかったのに対し、この収容所の件に関しては、およそ1万人が最初の24時間の投票で反応した。この時点で、99パーセント以上の投票者(9001人中の9000人)が収容所の設置に反対だった。

さらに、その地方のパブリック・チェンバーは、モスクワ州の知事代理に手紙を書いた。この自治体にはすでに、刑務所が一つ、精神病院が一つ、精神疾患者用の寄宿学校が二つ、そして孤児院が一つあることを強調した。

そして、「モスクワのこだま」というラジオ局のインタビューで、ラヴロフ区長は状況を整理しようと、収容所建設に対する住民の反発は計画の詳細がはっきりしていないせいだと説明した [6]

「モスクワのこだま」のホームページのコメント欄に一人の読者が冗談を書いた。

Жители Егорьевского района против лагеря мигрантов, потому что все жители высказали свое желание о предоставлении своего жилья все приезжим мигрантам! Добро пожаловать в Россию!

エゴリエフスク地区の住民は移民キャンプに反対している。なぜならすべての住民は自らの家をすべての移民に提供したいと思っているからだ! ようこそロシアへ!

それに対し、地方選挙委員会の会長は住民投票は不要だという [7]。それを受けて、ラヴロフ区長はただちに前言を撤回し [8]、オンライン投票を終了させ、住民投票の計画を中止した。委員会は簡潔にこう述べた。

Если все будут отказываться — где размещать лагеря для мигрантов? А это надо делать….

もし全員が拒否するのなら、移民キャンプをどこにおくのか? 設置しなければならないものなのに……

8月28日、モスクワ州が2016年までにそのような収容所を4つ作るという計画を発表 [9]した。そして少なくとも1つはエゴリエフスクのかつての軍事基地に置くこととした。

ロシア連邦移民局モスクワ支局のオレグ・モロディエフスキー支局長はこう付け加える。

В течение месяца мы проинформируем жителей района, что за учреждение, в каком виде оно будет, какое количество мигрантов там будет находиться, и как они будут доставляться, после этого жители выскажут свое мнение, нужен этот центр или не нужен.

1か月以内に、現地住民にはキャンプの設置について知らせ、詳細を説明し、何人の移民がそこに来るのか、どのように彼らが移動するのかを明確に述べるつもりだ。そのあとで、住民にはその収容所が必要かどうか、彼らの意見を言ってもらう予定である。

モロディエフスキー支局長は、さらに多くの犯罪者が近くに監禁されるという周辺住民の恐怖を落ち着けようとも努力していて、こう述べている。

Это те же граждане, которые ходят между нас, они перемещаются на территории области и Москвы, это не преступники ни в коем случае. Нам лучше надо разъяснять населению, что это за центры.

彼らは我々と共に歩む同じ民族であり、彼らはこの街に移り住むわけだが、決して言葉通りの犯罪者というわけではないのだ。この収容所が何であるか公共にうまく説明する必要がある。

しかし、移民収容所の周知活動は困難な戦いになりそうだ。モロディエフスキー支局長の言葉に対するコメントとして、一人の住民が皮肉をこめてつづった。

Замечательно, за наш счет (налогоплательщиков) еще будем строить, отапливать, содержать и кормить. Может деньги пустить на пенсии или в школах/детсадах на завтраки детям? Или на укрепление наших границ, что бы нелегальных мигрантов становилось меньше, а ехали к нам высокообразованные иностранцы, готовые работать за 15 тыс рублей?

すばらしい、私たちの税金で収容所を建て、暖め、維持し、移民にご飯を与える。そのお金は年金や、学校・保育園の子どもの朝食に使うことはできないのか? それか国境警備を強化すれば、不法移民が減って、代わりに1万5000ルーブルで喜んで働くよく教育された外国人が来るようになるんじゃないか?

校正:Rie Tamaki [10]