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パレスチナより愛のつぶやき集

カテゴリー: 中東・北アフリカ, イスラエル, パレスチナ, ユーモア, 市民メディア, 戦争・紛争, 抗議, 芸術・文化

(記事中のリンク先はすべて英語のページです)
ユーモア、特にブラック・ユーモアは文化的に成熟した嗜好によるものである。まして紛争地域においてはなおさらだ。近頃ツイッターでハッシュタグ#PalestinianPickUpLines [1](パレスチナの口説き文句)が盛り上がっており、ここ数日の間にも数十件が投稿された。

こうしたツイートには、ほっこり笑えるものあり、怒りを表したものや政治的なものあり、パレスチナでの生活の実態を映し出したものや、パレスチナ人の離散について触れたものもある。

「心はパレスチナ人」と自認する、イギリス出身のFiras Nabilは、次のようなロマンチックなフレーズを投稿している。

君が一緒にいないと、ぼくの心はヨルダン川西岸地区とガザ地区みたいに引き裂かれてしまうよ。

ぼくの君に対する権利なんて、エルサレムに対するイスラエルの権利みたいなもんさ、非合法で正式には認められていないんだ。

ヨルダン人のSara Amroはこうツイートした。

私の心への検問所を通らなくていいのは、あなただけ。

パレスチナのナブルスに住むMufeed Okalは、切々と訴えた。

きみを抱きしめてもいい? この胸に抱いている理想のように。いつも想っているよ。

そしてイスラエルのジャーナリストで、親パレスチナ活動家のMairav Zonszeinも

「あなたの美しさは、イスラエルの国境よりも言葉で説明するのが難しい」

このユーモラスな流行のおかげで、困難な日常から一時解放される気分が味わえる、とWoman Unveiledブログに書いている [9]

“I am the type of person who believes that the way to move forward on the Palestinian-Israeli conflict is to focus on the current issues without letting past events hold back progress… As Palestinians continue to face hardships and an infringement on their most basic human rights, one trend on Twitter sheds light on how humor can help ease some of this pain… The pick-up lines definitely garner laughs in a way that also brings to light the different ways Israel’s actions, often illegal under international law, disrupt the daily lives of Palestinians.”

私はこう考えるタイプの人間だ。パレスチナ・イスラエル紛争を進展させるには、現在起きている問題に焦点を合わせるべきで、過去の出来事によって前途がさえぎられるようなことがあってはならない。[…]パレスチナ人が苦難に直面し、もっとも基本的な人権の侵害を受け続けている中で、ツイッターのある流行が光を投げかけ、ユーモアでこの苦痛が幾分か和らぐことを教えてくれた。[…]イスラエルは、ときに国際法上違法な行為でパレスチナ人の日常生活を混乱させるが、この口説き文句集はそうした行為とは違う手段を見つけ出し、確実に笑いを得ている。

ツイッターの話題の弱点は、今まさに盛り上がっていても、その出所を探したり進展を追ったりするのが難しいことだ。さらに、今回の流行は入手できるツイートが少ないため、前回3月に発生した同じハッシュタグのものや、それより以前、2011年7月の#SiegePickUpLines [10](包囲の口説き文句)も取り上げられている。

エジプト人ブロガーMosa'ab Elshamyは、友人であるツイッターID WelshInGaza(すでに利用停止)と共に、#SiegePickUpLinesを始めたのは自分たちだと名乗り出た [11]。ガザでの生活に屈することなくユーモアを持つことについて、ふたりで話し合い、アイデアを練ったという。

“Arabs usually face their misery with humor. It was a question which arose from pure curiosity and was fascinating when others (many Palestinians included) joined in the collective ridiculing of the illegal Gaza siege and the daily hardship people face in the, ahem, strip. As tweets flew, more people seemed not to limit the jokes on the siege, power cuts, tunnels and, ahem, rockets but other situations like the flotilla, UN resolutions, two-state solution and US politicians.

アラブ人は困難な状況にあっても、ユーモアを持って立ち向かうものなのさ。純粋に好奇心からくる疑問のこともあるし、みんな(たくさんのパレスチナ人含む)が集まって、一緒に笑い飛ばすのは面白いじゃないか。違法なガザ包囲や、みんなが直面している、ゴホン、地区の辛い日常をね。そしてツイートが飛び交うようになると、ジョークのネタをガザ包囲や停電、トンネル、それから、オホン、ロケットとかに限らず、支援船団や国連決議、二国家解決案、アメリカの政治家なんかにも広げていこうと考える人たちが増えたんだ。

Elshamyはお気に入りのツイートを挙げた。

“Baby, you must be from PalestFINE.”
“I’d never leave you (even if I could).”
“We may not have human rights, but baby, we have human needs…”
“Dating me is like being Israel, you’ll never have to apologize for anything, girl.”
“Baby are you a drone? ‘Cause you’ve been buzzing in my head alllll day.”
“They say opposites attract. Will you be the Hamas to my Fateh”
“Baby, let’s get together and make a one state solution.”

「ヘイ彼女、きみはパレすてきーナ出身に違いない」
「僕は絶対に君を離さない(たとえ離すことができたとしても)」
「僕らに人としての権利はないのかもしれない、でもね、人としての欲求はあるのさ……」
「僕とつきあったらイスラエルにいるみたいな気分になるよ。きみは何があっても謝らなくていいんだ」
「きみは無人航空機なのか? 僕の頭の中でずーーーーーっときみの声がブンブンいってるんだけど」
「反対の者同士は引かれ合うという。僕がファタハだとしたら、きみはハマスか」
「一緒になろう、そして一国家解決案を実現させよう」

ブログ「Gaza, Out of the Blue」のYasmeen El Khoudary(グローバル・ボイスの執筆者 [12]でもある)は、次のように記した [13]

“As a Palestinian from Gaza who believes in the power of sarcastic humor, I loved this. Its the -humane- short jokes and statements that really shed light on the truth, more than any misleading and -often biased- news story.”

風刺の力を信じるガザ出身のパレスチナ人だからね、私もこういうのは大好き。人を惑わせる、偏向的になりがちなニュース記事よりも、人情味あふれる短いジョークやつぶやきこそが、真実に光をあててくれる。

この2つのハッシュタグの経緯にもっと詳しいという方、似たようなのを知ってるという方は、ぜひコメントとシェアを。

さしあたって、困難な状況にあるとき、人は同情や理解をユーモアで示して互いにつながり合おうとするようだ。#PalestinianPickUpLinesや#SiegePickUpLines、#HumorHeals [14]、最近の米国政府閉鎖を皮肉った#ShutdownPickUpLines [15]などを読んで面白いと思ったら、今度はあなたが声を上げてみてはいかが? 何か笑えるものや、現状にもっと感謝したくなるようなことがあったのでは? みなさんの声をお待ちしています。

サムネイル画像の著作権:
Rusty Stewart [16]のFlickrより(CCライセンス)

参考元:
– Jennine Abdulのブログ「The Lowercase Arab [17]

校正:Masato Kaneko [18]