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UN Women(UNウィメン)が10月下旬に発表した一連の広告は、Googleのオートコンプリート機能を利用したもので、世にはびこる女性への否定的な考え方を暴いてみせた。グローバル・ボイスではUNウィメンのキャンペーンの反応に続き、様々な言語で独自の実験を行った。UNウィメンのキャンペーンとグローバル・ボイス双方の検索結果により、女性の社会・職業的役割だけでなく、女性らしさ、外見、男性との関係などについての、一般的な考え方が明らかになった。
UNウィメンの広告の制作者が使ったのは、「女は~できない」「女は~すべきでない」「女は~すべき」「女は~を必要とする」といった検索文が、実際のGoogle検索語句で補われて完成した文になったものだ。それらの文により、社会が世界的に女性に対し、圧倒的にネガティブな固定観念、女性蔑視で非常に差別的な考え方を持っていることが明白になった。この広告はあっという間に世界中に広まり、ネット上では白熱した議論が始まった。ネット上の反響の大きさに対応し、このキャンペーンを拡大する予定だと、制作者は先週発表している。
Googleによると、検索のオートコンプリート機能は、インデックスに登録されたページ内容の他、ウェブ上のすべてのユーザーの検索行動にも基づいて、ユーザーの質問を予測している。Googleのアカウントにログインしていれば、そのユーザーが過去に行なった検索も予測に影響することになる。
グローバル・ボイスでは世界中のメンバーのもと、UNウィメンで使われたのと同様の文章を、その国の言語でGoogle検索にかけてみた。2013年10月19日から25日にかけて行われたこの検索実験で、女性が社会でどのような役割であるべきと見られているかが浮き彫りになった。全般に、世界で同様の偏見が実証されたが、時には国により食い違う結果も見られた。様々な国や大陸の12の言語で検索した結果は次の通り。
スペイン語
チリ
女は~すべきでない
女は説教すべきでない
女は働くべきでない
女は集会で発言すべきでない
女は運転すべきでない
ペルー
女は~できない
女は説教できない
女は牧師になれない
女は献血できない
女は男なしでは生きられない
プエルトリコ
女は~すべき
女は従順であるべき
女はベールをかぶるべき
女は説教するべき
女は働くべき
フランス語
フランス
女は~すべき
女は家にいるべき
女は働くべき
女は説教すべきか
女はスカートをはくべき
女は従順であるべき
女は知るべき
女は投票すべき
女は家にいるべき
女は働くべきか
女は料理するべき
女には~わからない
女には運転の仕方がわからない
女には自分の求めているものがわからない
女には恋の仕方がわからない
女にはトランプ占いのやり方がわからない
アラビア語
エジプト(ヨルダンでも同じ結果)
女は~できない
女は結婚しないと生活できない
女は男なしには生きられない
女は秘密を守れない
女には男の沈黙が理解できない
中国語
女は~できない
女は賢いに越したことはない
女は運転できない
女は出産できない
女が夫に相談できない10のことがら
ルーマニア語
女は~すべきでない
女は愛すべきものであって理解すべきものではない
女は理解すべきものではない
女はパンツをはいてはならない
女がベッドですべきでないこと
イタリア語
イタリア
女は~すべき
女は家にいるべき
気のないふりをすべき
キッチンにいるべき
控えめにすべき
女は~すべきでない
女は理解すべきものではない
働くべきでない
愛すべきものであって理解すべきものではない
読んではならない
ドイツ語
ドイツ
女は~すべきでない
女は教えてはならない
私の妻は働くべきではない
女は~できる
女は来られない
女は妊娠できない
女は料理できない
女は子どもができない
ヘブライ語
女は~でない
女は働かない
女は慎みがない
女は運転しかたを知らない
女は子供を持ちたがらない
ハンガリー語
女は~であるべき
女はキッチンのシェフであるべき
女はかわいくて無慈悲であるべき
デンマーク語
女は~できない
女は運転できない
女は膣をコントロールできない
女は色盲にならない
女にはバーベキューができない
デンマーク語では、「女は~できない」も「女は~できる」も検索は同じ結果になった。
ロシア語
ロシア
女は~すべきでない
女を信じるべきではない
女は重いものを持つべきではない
女は飲酒すべきではない
女を信用すべきではない
英語
イギリス
女は~すべき
女には目を向けても耳を傾けるべきではない
女は家にいるべき
女は身の程を知るべき
グローバル・ボイスのコミュニティーメンバーたちが行なった検索すべてが、ネガティブな語句に結びついたわけではない。しかし、実験結果がほぼ裏付けているのは、UNウィメンの憂慮すべき結論、すなわち、世界中で女性の権利を推進し強力にするためには、なすべき仕事がまだまだたくさん残っている、ということである。