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ブラジルでほぼ同時期に2人の若い女性が自らの命を絶った。彼女たちの性的な動画や写真が、男性によりソーシャルネットワーク上に公開された後のことだ。この事件により、リベンジポルノ(※訳注)やセックス動画の流出という問題がまた注目を集めることとなった。
(※リベンジポルノ…元配偶者や元恋人の裸の写真などをネット上に流出させる嫌がらせ行為。復讐ポルノともいう。)
事件のひとつは2013年11月10日ピアウイ州のパルナイバの町で起きた。ユリア・レベッカさん(17)はある少年と別の少女とのセックスシーンの動画を撮影され、その動画が携帯電話のメッセンジャーアプリであるワッツアップを通じて公開された。ブラジルでは、このツールを利用して性的な動画を拡散する人が急激に増えている。そのうちこの動画が、インターネット上で共有されるようになった。レベッカさんはツイッターで自殺予告をし、最後はヘアアイロンのコードで首を吊った。寝室で発見された時、少女はすでに死亡していた。
動画に映っていたもうひとりの少女も服毒自殺を図ったが、救出が間に合い一命を取り留めた。
同様の事件がこの4日後に起こる。今度はリオグランデ・ド・スル州、ヴェラノポリス市のジアナ・ラウラ・ファビさんだった。若い女性が自宅で首吊り自殺を図り、その後家族に発見された。ファビさんはスカイプである少年との会話中に胸を見せた。その少年は警察に対し、スクリーンショットを撮って画像を友人に公開したことを認めた。ファビさんの友人がその画像を受信し、何が起こっているかをファビさんに伝えた。その友人は警察に対して、ファビさんはそのことで苦しんでいたと供述している。
ブラジルでは先月(訳注:2013年10月のこと)メディアのトップニュースで、性的な画像/動画のインターネットへの流出問題が#ForçaFran case【en】(#がんばれフラン)というハッシュタグつきで取り上げられた。このハッシュタグでは若い女性の性的な動画が本人の同意なくワッツアップで共有されたことに関する、性差別や女性の肉体に対する社会的支配の問題が論争を巻き起こしていた。
しかし今回はさらに悲劇的な結末を迎えることとなった。
彼女たちを殺した性差別
性的な画像や動画の公開にまつわるエピソードを取り上げた投稿の中には、性差別や公開する男性の人格に関する問題に焦点を当てたものもある。このような男性が女性の画像/動画を流出させるのは女性への復讐、または単に仲間内でステータスを獲得するためだというのだ。
ブロガーのカミラ・パヴァネッリさんはこのような悲惨な事件は社会的な性差別に起因していると強調する。
O problema não é que ela transou. O problema não é que ela tirou foto enquanto transou. O problema não é que o ex-namorado é louco e/ou mau-caráter e ELA deveria ter arrumado homem melhor. Em suma, o problema não é que ela estava usando minissaia, como costumam dizer em caso de estupro.
O problema mesmo é o machismo.
彼女がセックスしたということが問題なんじゃない。セックスの最中に写真を撮ったことが問題なんじゃない。元カレが変人だったとか悪人だった(またはその両方)とか、彼女自身がもっとましな男を選ぶべきだったとかいう問題じゃない。つまり、レイプ事件が起こった時によく言われるけれど、スカートが短かったからとかいう問題じゃない。これは性差別の問題なの。
パヴァネッリさんはこうも考えている。
O que as pessoas não entendem é que sempre se dá um jeito de botar a culpa na mulher. Se transou, é porque deu, então é puta; se não transou, é porque não quis dar, então é histérica. De qualquer forma, é culpada.
世間というものは被害にあった女性を非難する手段を探すものなのだということが理解されていない。もし彼女がセックスしたのなら、それは彼女がセックスしたからで、ふしだらな女だということになる。もし彼女がセックスしないならば、それは彼女が拒んだからで、ヒステリー女だということになる。どっちに転んでも、悪いのは彼女のほうだということになる。
弁護士のフラビア・ペニードさんも彼女のブログLady Rastaでこの問題を取り上げ、少女たちはもっとよく相手を選ぶべきだという忠告に疑問を投げかけている。
Em uma semana, continuamos a ler e ouvir a mesma cantilena de sempre: que como os homens não mudam e a sociedade “é assim mesmo”, nós temos que ensinar as meninas a não se deixar filmar; que como “os homens (vocês sabem, esses menininhos grandes inimputáveis que não sabem o que é certo é errado, tadinhos deles) dividem mulher em pra casar e pra zoar, nós temos que ensinar nossas filhas a se comportar” (não sei bem o que é se comportar – pra mim ainda é não roubar o lanche do amiguinho, mas enfim, sou moça antiga).
Tá errado, gente. Não é assim que as coisas vão mudar.
同じような古臭いたわごとをこの1週間で見聞きした。男というものは変わることはないし、世の中なんて「どうせこんなもの」なんだから、誰かに自分を撮影させたりしないように女の子に教えてやらなくちゃ、というのだ。「男というものは女は結婚相手か単なる遊び相手のどちらかだと思っているのよ。(なにしろすっかり大きくなっても無責任で、善悪の区別もつかないんだからね。まったく可哀そうに。)女は結婚相手か単なる遊び相手のどちらかだと思っているのよ。だから女の子にはお行儀よく(お行儀よくってどういう意味?私にとってはお友達のオヤツは取っちゃダメよってことだけど。まあ、どうせもうおばさんだものね。)するように教えておかなくては。」だって。みんな、こんなの間違ってる。こんなことでは何も変わらない。
性的な動画や画像に関係した女性が誹謗中傷され人生を台無しにされた挙句、最も悲惨な結末を迎えることさえあるのに対し、リークした男性はものすごいことをしたかのように扱われて痛手を受けないことからもこのような考え方が見て取れる。
ソーシャルネットワーク上ではモラルに反する嘆かわしい書き込みを良く見かける。このようなコメントを繰り返しているのは主に女性だ。例えば「ジュリアの場合:新しいセックス動画が浮上し友人が服毒自殺を図った」という記事では「その子が映っているというのは、彼女自身がそうしたかったからよ」とか、「すれてない女の子は動画なんか撮らせたりしない。そんなことさせるのはセックス経験が豊富な人だけね」などのコメントが見られた。
リベンジポルノ
社会はリベンジポルノの問題に対し迅速に対処し、このような痛ましい事件が繰り返されることを未然に防がなければならない。リベンジポルノに対して刑罰を設ける法案が世界中で議論【en】されている。ブラジルでは性的な画像や動画の不適切な公開を違法とする法案が、議員および元フットボール選手のロマーリオ・ジ・ソウザ・ファリア氏により提出された。
だがジャーナリストのLino Bocchini氏が自身の「ヴェラノポリス出身の少女を自殺に追いやった犯人は誰なのか?」という投稿でコメントしたように、この問題の根底にある、そもそも女性がこのような状況に置かれている理由に関する議論こそが緊急の課題なのだ。
Vivemos numa sociedade que cobra a cada instante que você tenha sucesso. E, no caso das mulheres, por sucesso entenda-se uma cruel e impossível equação na qual você tem que ser magra, bonita e gostosa mas, por outro lado, não pode ser “fácil”, tem que “se dar o respeito”. Tem que ser bem sucedida profissionalmente. E tem que assistir o exemplo de uma mocinha da novela das oito que, aos 17 anos, usa shorts minúsculos e rebola para milhões de pessoas toda noite mas, fora das telas, assume o papel de futura esposa respeitosa do namorado jogador de futebol famoso.
私たちの住む社会では常に成功することが求められています。そして女性にとっての「成功」とは痩せていて、きれいでセクシーで、しかも一方では「軽々しく」なく、「貞淑」でなければならないという要求にこたえることを意味しており、それは非情かつそもそも不可能な要求なのです。女性は社会的に成功し、かつメロドラマを演じたお嬢さんのようなお決まりの例にならわなければならないのです。つまり、17歳の時にはきわどいショートパンツやミニスカートを履いて大勢の人の前で毎晩お尻を振っても、私生活では有名なフットボール選手の貞淑な未来の奥さんとしての役割をこなすということなのです。
このようにブラジルの女性たちは官能的であることは良しとされながらも、性的であることは軽蔑されるという相反する価値観の狭間で困難に直面している。フラビア・ペニードさんはブログのLady Rastaで、女性は二種類のカテゴリに分けられていると次のように発言した。
A mulher tem que ser precavida, se guardar, ser ciosa do seu “tesouro” (em que século estamos estamos mesmo?), que não deve ser visto a despeito de todas as câmeras existentes no mundo. Ela, ELA deve ser responsável, já que os homens, esses irresponsáveis, não entendem que todas as mulheres são iguais e “eles” decidiram que “tem mulher pra casar e mulher pra zoar”.
女性は自分で身を守り、「純潔」を重んじ(全く何世紀の話なの?)世界中にどれほどカメラがあったとしても、その「純潔」が人目にさらされることがないように用心しなければね。男ときたらいいかげんで女だってみんな平等だということが分かっていないし、「女は結婚相手か遊び相手のどちらかだ」と決めてかかってるんだから。しっかりしなければならないのは女性自身よ。
性差別どころか女性の肉体の扱いさえが矛盾している国では、性別による不平等や抑圧をまねく思想の克服こそが、例えば今回のような形で表面化する女性への暴力を防ぐ重要な手立てとなるのではないか。