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「中国人皆殺し」ジミー・キンメル・ライブでのアメリカ少年の発言に中国は

カテゴリー: 北アメリカ, 東アジア, アメリカ, 中国, ユーモア, 国際関係, 市民メディア, 意見, 民族/人種, 経済・ビジネス, 言論の自由

「アメリカは中国に1兆3000億ドルの借金があります。どうやって返したらいいのでしょうか」という問いに、一人の男の子が「いっそ地球の反対側まで行って、中国の人をぜんぶ殺したらいいじゃない」と発言した。

この話は、ABC(American Broadcasting Company) [1]の番組「ジミー・キンメル・ライブ」の2013年10月16日放送回で起こったものだ。この回では、アメリカの人気コメディアン、ジミー・キンメルが子どもたちとアメリカ政府の抱える負債危機問題について討論していた。この話が中国系アメリカ人の住民たちの感情を逆なでし、ここ一ヶ月の間、その心情がソーシャルメディアを通じて、中国本土に伝えられた。

幸いなことに大部分の中国人は、この発言は腹が立つものの、しょせん子供の発言だと理解しており、またABCとジミー・キンメルは公的に謝罪をしていた。この中国本土への偏見に対し、不屈の中国人と名打ったアニメが11月2日にインターネット上にアップされ、広まった。

この本格的な動画は、映像マーケティング会社vmini.comが制作し、dig.chouti.comというソーシャル・メディア・ポータル(reddit.com(訳注:アメリカの有名なソーシャル・ニュース・サイト)と似たようなもの)によって公開されたものだ。映像では、古くから続く中国の歴史と、労働面で中国が世界に担う役割を振り返り、なぜ中国人を殺すのが良くないのか、なぜそれが実現不可能なのかをユーモラスに伝えている。

この少年の発言に対するアメリカ国内の反応は、当初もっと敵対的なものだった。「80-20」と呼ばれるアジア系アメリカ人による政治団体は、これをナチスの物言いと同じだとして、10月18日、ホワイトハウスにこの発言に対する調査を行うよう求める嘆願書を提出した。以下、その内容 [2]である。

 その子には分別がなかったかもしれません。ですが、ジミー・キンメル氏やABCの経営陣は大人です。彼らには、この特定民族への憎しみを助長する人種差別的な番組を放送しない選択肢がありました。番組内容は到底受け入れられないものであり、カットされるべきでした。心からの謝罪がなされるべきです。非常に不愉快ですし、これはナチスがユダヤ人に対して使った言葉と同じものです。ただちに番組を打ち切り、公的に謝罪してください。

嘆願書には今のところ88,499人の署名がある。ABC側は10月28日、ただちに公的な謝罪の手紙で嘆願書に対応した [3]が、平和的解決は失敗に終わり、中国系アメリカ人の抗議は止むことがなかった。

Protest against ABC's kid's show. Public photo uploaded by Pang Linyong to Weibo. [4]

ABC「キッズ・ショー」への抗議。写真はPan Linyongさんがウェイボー(訳注:中国のミニブログサイト)に投稿したもの。

何件かの抗議行動が先週末行われ、スタンフォード大学の中国学生会の前代表Pang Linyongさんはウェイボーに集めた抗議シーンの写真 [5]をアップした。Pangさんは今はカリフォルニアのシリコンバレーにいて、10月29日に愛国的な呼びかけ [4] [zh]を行った。

是中国人,不想被屠杀,就要行动起来,告诉你所有的朋友,抵制ABC,抵制ABC的母公司迪斯尼,不再去迪斯尼,不看迪斯尼动画片,直到ABC道歉,直到Jimmy Kimmel被解雇。如果你还是中国人的话,就把这个转发给你所有的朋友,让我们一起抵制ABC!美国华人已经在旧金山、纽约游行了,让大家告诉大家!

 命が惜しい中国人は立ち上がるべきだ。ABCやその親会社ディズニーへのボイコットを呼びかけよう。ABCが謝罪し、ジミー・キンメルをクビにするまでディズニーランドやディズニーアニメをボイコットしよう。自分たちは中国人なのだという考えがまだ心にあるなら、このメッセージを周りに伝えて一緒にABCをボイコットしよう。中国系アメリカ人はサンフランシスコとニューヨークに集結している。みんなに伝えてくれ。

しかし、この呼びかけは十分な支持を集められず、今のところ18人がウェイボー上で彼のメッセージを転送したに過ぎない。つまるところ、たかが子どもの発言なのだ。RensiがChinaSMACKで指摘したように、「熊孩子」(訳注:中国の方言で、手に負えないが、憎めない子どものこと)はどこの国にもいるものであり、このブロガーが子どものテーブル会議に反応して集めたのは、中国の典型的なやんちゃっ子のふるまい [6]に過ぎない。

反感の気持ちを表現するには、ユーモアのセンスと、憎む相手についてよく知ることが肝心だ。そういう見方をすると、この不屈の中国人動画は、素晴らしい仕事を成し遂げている。

校正:Sayuri Ishiwatari [7]