人権派の弁護士劉暁原はミニブログサイト「新浪微博」に範木根の裁判中の写真をアップロードした。範木根とその家族は立ち退き担当者から暴行を受け、彼は頭蓋骨骨折を負った。

中国東部の都市、蘇州にて、強制退去に頑として抵抗した高齢の農夫が逮捕され、中国ソーシャルメディア上で激しい抗議が巻き起こった。

地方新聞の南方都市報は2013年12月3日、上海近くの都市蘇州の郊外に住む64歳の退役軍人農夫の範木根が立ち退き担当者2人をナイフで殺害したと報じた。自身とその妻、息子が暴行を受けたからである。中国版ツイッターとも言える「新浪微博」のネチズンの多くは、この殺人は正当防衛となりうると主張しており、しかしこのままでは範に死刑宣告が下される可能性があると警告している。

12月22日、中国全土から50人を超える弁護士と市民が負傷し身柄を拘束された範木根の妻を面会に病院に訪れた[zh]が、大勢の警官により行く手を阻まれた。

南方都市報によると、範木根の家は補償の減額に合意せずその村に残った最後の一戸であったという。範は2004年から行政への請願を始め、2013年には二度、請願のため北京に出向いている。今年11月に立ち退き合意のサインを強制されたという遺言状を残している。また範木根は中国共産党員でもあるという。

この事件で多くのネチズンは2人の城管、すなわち都市管理局職員を殺害したとして死刑判決を受けた露天商の夏俊峰のことを思い出した。世論は情状酌量を求めたにもかかわらず2013年9月に死刑執行されたため、この国の司法制度は経済的に苦しい人々を守らず、厳しく罰しすぎていると声を上げた多くの法律活動家たちを失望させた。夏俊峰の行動は容赦ない暴力を被ったことに対する自衛とされるべきと多くの人々が主張した。

蘇州公民権センターは同センターの新浪微博アカウントを通じて最新動向をアップデートした。

律师和公民五十余人来到苏州市高新区人民医院探望范木根的妻子顾盘珍，范木根因反抗入侵者保护家人正当防卫刺死两名入室行凶者，现被以故意伤害罪名刑事拘留，范妻被入侵者打断胳膊正在住院治疗。苏州辅警在医院列队 严阵以待！！

50人を超える弁護士と市民らが範木根の妻である顧盤珍を面会に蘇州ハイテク技術産業地区の人民病院に訪れている。範は家族を守るため暴力をふるう担当者2人を殺害したのだが、故意に障害を加えたとして逮捕された。顧盤珍はこの襲撃者らにより腕を骨折させられたため病院で治療中だ。そして蘇州予備警察は病院で列をなし立ちはだかっている！

人権派の弁護士劉暁原は範一家の背景を説明し、この事件は自己防衛の結果とほのめかした。

“2013”年度人物候选人：范木根，苏州农民，年轻时在内蒙古参军。因房屋被强拆，他在2013年10月底出外躲藏一个月。2013年12月2日回到家中。2013年12月3日，拆迁公司人员又到家中逼迁。他在头部被打破，儿子头部被打伤，妻子右手骨头被打断时，拔打刺死两名逼迁人员。这是今年最大的一起血迁事件。

「2013年・今年の人」に値する人物、蘇州の農夫の範木根は若いころ内モンゴル自治区の軍に入隊した。範は2013年10月末から立ち退きを回避するため約1ヵ月家を離れ12月2日に戻った。12月3日に立退き担当者らが範の家に再度訪問し家から出るよう強制した。範は頭蓋骨骨折、息子は頭部外傷、妻は右腕骨折させられたため、押し入ってきた2人を殺害した。これは今年最も凄惨な立退きである。

フリー・ライターの王慶福は、範木根はヒーローだと声を上げた。

范木根，典型的正当防卫。范木根是不畏强权的英雄！

範木根のしたことは典型的な正当防衛。彼は強権に立ち向かったヒーローだ！

新浪微博ユーザーの「Jiang Nan school kid」は王慶福に同調した。

苏州范木根是一个了不起的军人！当老范面对暴徒，三刀两命。有多少人拍手称快？有多少人从内心里佩服老范的勇气！他做了许多人想却不敢做的事情。全国掀起了新一轮范木根无罪浪潮！因为他们很多在拆迁中都体会到那种无奈与绝望。拆迁办的黑社会化，政府的推皮球，公安的冷漠。

範は偉大な戦士だ。彼は恐れずに暴徒2人をナイフで刺し殺した。多くの人々が彼の行動を称賛している！多くの人々が彼の勇敢な心を尊敬している！彼はたくさんの人々がしたくてもできないことをしたのだ。強制退去の多くの犠牲者は暴力団のような立ち退き担当局、責任転嫁する中国政府、冷淡な警察を前にして絶望してしまうのだから。

楊翠芳はこの事件に注目しようと市民に呼び掛けた。

关注。关注这个保护妻儿保卫家园的血性汉子。关注这个时代里草民抗暴事件以及这起事件最终的走向。见证每一个个体活在当下的不易

妻子と家を守ろうとした勇気ある男に注目しよう。民衆による暴力への抵抗とこの事件の動向に注目しよう。全市民の生活の過酷さに目を向けよう。

中国における近年の強制退去問題は深刻な不和をもたらしてきた。地方政府が歳入の大部分を土地売買に依存していることで、再開発事業を目的とした家主や中小企業の立ち退きの大きなインセンティブ（動機・誘因）を生み出している。