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ブラジル:パイタル・スルイ族が先住民教育センターを開設

カテゴリー: ブラジル, 先住民, 市民メディア, 教育, 民族/人種, 開発

(特に注意がない限り、リンク先はすべてポルトガル語です。)

パイタル・スルイ族  [1][en] がブラジル・アマゾンに設立した教育センターが、ようやく開校した。センターでは、この地域に住む先住民向けに専門講座を提供する。

2013年6月に開校した [2]パイタル・スルイ教育センターでは、パイタル・スルイ族などアマゾンに住む先住民族向けに、環境保全を主眼とした技術専門講座を設ける。開校に先立ち、2013年3月、パイタル・スルイ族は開校を告知するビデオを公開した。

地元先住民たちは、法律や雇用の創出、収益、地図作成に関する講座を2年に渡って受けられる [2]ようになる。講座は毎日実施され、理論と実践の両面から学べる内容だ。登録者数に定員はあるが、スルイ族は各講座30名前後の登録を予定している。

パイタル・スルイ教育センターは、講座の開講に必要なブラジル教育大臣の正式承認を待っているところだ。

1969年に初めて部族外の人間と出会って以来、パイタル・スルイ族は数多くの苦難に直面してきた。ビデオインタビュー [3]の中で部族長が認めたとおり、道路の建設で彼らの土地が侵略されたり疫病による壊滅的な打撃を受けた結果、人口が5,000人から290人程度まで減少した。

パイタル・スルイ族は、建物や設備を拡張して国内初のブラジルパイタル・スルイ先住民大学地区にしたいと考えている。パイタル・スルイ部族長Narayamoga Almir [2]は次のように語る。

Inicialmente os cursos serão destinados apenas para os indígenas, porém já estamos construindo uma Política Pedagógica do Centro, para que esses cursos sejam estendidos para toda a sociedade.

当初開講は先住民向けのみとする予定だが、講座の対象を社会全体に拡張できるよう教育政策センターも建設中だ。

2013年5月、スルイ族リーダー陣および、アマゾン保全チーム(Amazon Preservation Team。ポルトガル語でEquipe de Conservação da Amazônia もしくは ECAM [4])や先住民環境保護団体カニンデ [5](the Association of Ethno-Environmental Protection Kanindé)などパートナー組織の代表者たちはベネズエラ先住民大学 [6] [en]を訪れた。ブラジル国内に同様の大学モデルを再現する方法を探るためだ。 公立大学として2010年に設立されたベネズエラ先住民大学はベネズエラ南部の5,000エイカーの熱帯雨林にあり、多様な民族出身の学生が学んでいる [7][ja]。

A building of the Paiter-Surui Formation Center in Cacoal, future site of planned indigenous university. (Photo by Rachael Petersen)

先住民大学(計画中)予定地カコアルにある、パイタル・スルイ教育センターの建物。撮影:Rachael Petersen

先住民環境保護団体カニンデのウェブサイトには次のように書かれている [8]

Já temos muitos indígenas fazendo curso superior nas faculdades e universidades espalhadas pelo Estado, mas com uma universidade indígena vamos fortalecer a relação dos índios com a terra e a natureza, já que o conteúdo vai valorizar a cultura dos indígenas.

ロンドニア州のあちこちで多くの先住民が大学の講座を受講しています。しかし先住民大学なら、先住民と大地や自然とのつながりを強化出来るのです。なぜなら、教育内容が彼らの文化を後押しするからです。

先住民大学は、開発への革新的な取り組み [9]の長い歴史の中で一つの新たな成功例となるだろう。Almir Surui族長が率いるパイタル・スルイ族の人々が世界中の関心 [10][en]を集めることになった訳は、人的資源と天然資源の持続可能な開発に向けた先見性のある50年管理計画だった。この計画は、森林破壊を防止して得た炭素クレジットを販売する [11] [PDF]ことで彼らのコミュニティにお金が再投資されるという仕組みを採り入れている。2013年6月、パイタル・スルイ族は、炭素プロジェクトで2つの新興炭素市場基準に基づく認証 [12] [en]を受けた最初の先住民族となった。

以下のビデオでは、彼らがグーグルアース(Google Earth) [13][en]をはじめとするいくつかの組織と手を結び、デジタル技術を用いて彼らのテリトリーの森林破壊状況を地図におこすまでの様子を紹介している。
また、彼らのテリトリーの文化地図もここからダウンロード [14]してグーグルアースで見ることができる。

この新しい大学によって、先住民たちが伝統的な価値観や彼らの大地とのつながりを取り戻すことが期待されている。スルイ族とつながりたいと思ったら、Associação Metareilá の Facebookページ [15]に「いいね!」をするか、彼らのブログ [16]をチェックしてみよう。

校正:Maki Ikawa [17]