タイ反政府運動こぼれ話8つ

(原文掲載日は2014年5月12日で、記事内容は当時の状況を反映しています。)

去年11月以来、タイの反政府デモ隊は内閣退陣を要求してきた。数千人でデモ行進し、政府の建物を占拠し、「バンコク・シャットダウン」作戦を実施した。2月の総選挙をボイコットし、人民評議会を設置するよう要求した。

デモ隊の大多数はバンコク市民で、野党勢力と共闘している。しかし、その攻撃的なやり方や、選挙の実施を拒む決定をしたことについては非難を浴びている。

先週(訳注:原文掲載日は2014年5月12日)デモ隊の念願かなって、タイの憲法裁判所は、インラック・シナワトラ首相が2011年に国家安全保障会議事務局長を更迭したのは違憲であるとして、首相失職判決を下した。

しかし、タイの政治的危機が去ったとは言い難い。デモ隊は街頭に戻り、内閣総辞職の要求を繰り返している。タクシン一族のタイ政界支配を終結させるべく「最終決戦」を計画中だ。

タイの敵対する政治勢力の間では対立が続いているが、私たちは、ここ数カ月の反政府運動に関する興味深くて奇妙な話を、いくつか振り返ってみた。面白おかしく興味深い話もあれば、ちょっぴり怖ろしい話もある。しかしどの話も、タイ社会が深く分断されていること、反政府デモが絶えずこの国に衝撃を与えていることを映し出している。

1.X線フィルム製の防弾チョッキを購入しているデモ参加者たち。 もちろん防弾効果はないが、集会を解散させられる際の暴力から身を守りたいデモ参加者相手に、かなり売りさばくことができた。

2.500人の警官が、デモ隊からの防衛を要求する集会を開いた。 この世にも稀なる政治行動を起こしたのは、バンコクの88ヶ所の警察署の代表たちだ。ある警官がデモ隊との衝突の最中に殉職した後、すぐに組織された。抗議警官たちは、殉職した警官への服喪のしるしに、袖に黒いリボンをつけた。彼らはデモ隊への対処が「手ぬるい」ことに抗議し、デモ中の攻撃に対してはもっと強硬な手段を取るべきだとしている。

3.集会敷地に野菜を植えるデモ参加者たち。 「バンコク・シャットダウン」のキャンペーン中は、デモ隊陣営内で面白い光景が多く見られたが、この光景からはどこか、デモ隊が期限を問わず街頭に居座るつもりだという意思がうかがえる。いずれにせよ、野菜は闘争中のデモ隊の栄養補給になる。

4.(訳注:政府によるコメ買い取りの)代金を支払ってもらえない農家が、トラクターで結集して空港デモを起こすと脅した。 幸い、政府がコメ代金支払いの確約計画を定めることを約束し、デモは中止された。この事態に、観光業が打撃を受けた2008年の空港閉鎖を思い起こした人は多かった。

5.道路封鎖の稲わら製バリケードを設置する米作農民。 古タイヤのほうが防御効果はあるが、稲わらバリケードには、反政府運動が都市部だけのものではないという、象徴的意味がある。地方の選挙区が支持基盤とされてきた政府にとって、残念なことだ。

米作農民のデモ隊がバンコク近郊の高速道路を封鎖する。Karnt Thassanaphak撮影、著作権@Demotix(2014年2月5日)

米作農民のデモ隊がバンコク近郊の高速道路を封鎖する。Karnt Thassanaphak撮影、著作権@Demotix(2014年2月5日)

6.反政府運動を取材するハンサムな日本人レポーター。 彼は榎並大二郎といい、28歳、フジテレビのレポーターである。デモ集会の間も、デモ隊や野次馬は彼の「ゴージャスなルックス」に惑わされた。

願わくは、日本人レポーター村本博之氏のことが多くの人に忘れられていなければいいが。2010年のデモ弾圧の折に銃撃を受けて亡くなり、彼もまた大きく報道された。

7.デモ隊陣営で販売されている「バンコク・シャットダウン」グッズ Tシャツ、旗、ホイッスルといったデモ装備一式が置かれている。シャットダウンでバンコク全体がまひ状態になったわけではないが、商業地区は影響を受けた。

デモ隊の集会敷地には、シャツや旗印を売る屋台がたくさん出ている。terry1撮影、著作権@Demotix(2014年1月18日)

デモ隊の集会敷地には、シャツや旗印を売る屋台がたくさん出ている。terry1撮影、著作権@Demotix(2014年1月18日)

8.集会敷地を通過するドライバー向け「カラーコーンの移動禁止」勧告 デモ隊がカラーコーンを保護するのを嘲笑する人が多いが、移動させたとのことでデモ隊に攻撃された人も何人かいるのだから、笑いごとではない。

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