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地下鉄:ニューヨーク市の動脈

カテゴリー: 北アメリカ, アメリカ, 市民メディア, 芸術・文化
NYC Subway

撮影はFlickrユーザーのRomanK Photography [1]による。 CC BY-NC-ND 2.0.

急いで 列車が到着するよ
レールのきしむ音が聞こえてきた
さあ“A”列車に乗ろう
あっという間にハーレムのシュガーヒルさ

これはかの有名な「A列車で行こう [2]」の歌詞だ。ジャズの巨匠、デューク・エリントン [3]が作曲(訳注: 正しくは ビリー・ストレイホーン作曲、デューク・エリントン編曲)し、エラ・フィッツジェラルド [4]によって歌われた。ビックアップルことニューヨーク市 [5]地下鉄 [6]に着想を得た多くの作品の中のまさに一例である。ニューヨークの地下鉄は全長1,353キロメートル。アメリカ合衆国及び世界の中で、もっとも広範囲にわたる地下ネットワークのひとつだ。

Amado u odiado, el sistema de metro de Nueva York es más que un medio de transporte, es casi un estilo de vida. Imagen cortesía de Flickr/sakeeb (CC BY 2.0)

好きであれ嫌いであれ、ニューヨーク市の地下鉄は交通手段以上のものだ。それはほとんど人生そのものといえる。写真はFlickrユーザーのsakeebの厚意による。(CC BY2.0)

下水管にワニが住むというような都市伝説から、「乗客の海で見失った恋 [7]」まで、地下鉄は確かに交通手段以上のものである。それはほとんど人生そのものだ。

一日500万人の利用者の面々は、ウォール街の役員たちや夜の避難場所を探すホームレス、また大志を抱く芸術家、例えばヒップホップダンサー [8]からメキシコポップミュージックの歌手 [9]までさまざまである。

芸術があふれている状況は電車内だけのことではない。200に近い常設展示が地下鉄の駅の壁や床などで見られる。メトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ、通称MTA [10]の「地下鉄にアートを [11]」プログラムが全て後援している。MTAが行う他の事業の中でも、このプログラムは様々なジャンルの音楽家―オペラから東アジア音楽に至るまで―を保護する役割を担っている。次の列車へ乗り換えようと大急ぎで走る何百万という通勤客に向かって彼らは演奏している。

だがニューヨークの地下鉄はいつも賞賛を受けているわけではない。地下には何十億というネズミが生息し、電車のレール周辺で増殖している。最近では、市の交通労働組合が「一番ブサイクなネズミ」コンテスト [12]を開催した。このコンテストでは、電車に乗っている際に見かけた「もっともむなくそ悪い」ネズミの写真を提出するよう乗客に呼びかけた。

コンテストの目的は、多くのMTA従業員の労務環境に対する意識を上げることだった。スタッフルーム、事務所、食堂など地下にあるあらゆる場所で従業員たちはネズミに出くわす。コンテストは2012年に開催されたが、ネズミのような害獣をうまく制御しつづけることは難しい。満員電車にすら紛れ込んでいる [13]のだから。

また、地下鉄のサービスを評価するとなると、乗客は率先して意見を出している。過去15年にわたって、the New York City Straphangers Campaign(訳注 The New York Public Interest Research Groupが始めたキャンペーン)は「レポートカード [14]」を蓄積してきた。定刻率や清潔さ、技術的故障、席に座れる割合やアナウンスの頻度といった5項目の要素に基づく報告である。一番最近のレポートでは、Q列車が一番良い点を獲得し、C列車は最低の地下鉄路線と評価された。

そして例によって、利用客は地下鉄のサービスについての意見をツイッター上で述べている。

また仕事に遅れて、その分給料がもらえない。だって時給働きだから。なのに俺は毎月112ドルを地下鉄に払わなきゃならない。#MTA [15]

土曜日をまるまるマートル・ウィロビー駅でG列車を待つはめにならなきゃいいと願っていたんだけど、どうも地下鉄(#MTA [15])は何か別のことで頭がいっぱいみたいだな

#mta [18].またもやクイーンズの人々は地下鉄の「すばらしい」サービスを祝福したいようだ。

一方で、新しい技術を率先して取り入れる姿勢を賞賛する人もいる。

地下鉄(#MTA [15])は新しい太陽発電技術を試している。その第一号はまさにここブロンクス(#Bronx [21])にある!詳しくは @News12BX [22]

好きであれ嫌いであれ、ニューヨーク市の地下鉄は、何百万という住人の多くにとって無くてはならないものである。中にはその関係を強めたいと思う人もよくいる。たとえば、この映像は車掌を驚かせたいと思った人々を紹介している。電車が駅ホーム上の正しい位置に安全に止まったことを確認するために、車掌は黒と白のストライプの板を指ささなければならないのだ。

校正:Masato Kaneko [25]Sayuri Ishiwata [26]Takashi Ota [27]