厳しい乾季(訳注:カリブ海諸国は雨季(5月~10月)と乾季(11月~4月)に分かれる。原文掲載日は2014/5/17)が続いているトリニダード・トバゴでは、 頻繁に発生する山火事により、国全域の丘陵斜面が、傷つけられ貧相な状態になっている。
その一方で、乾季の宝石のような存在であるピンクや黄色のポウイの木は輝き続け、最高に素晴らしい時を迎える。そして同時に、国中が雨を心待ちにしている。雨の訪れとともに緑の山々は再生するのだが、 過去に国を麻痺させてきたような洪水をおこしうる削剥作用
(訳注:地表の露出)は起こらないでほしいと思っている。
トリニダード・トバゴにおけるポウイの開花は日本での桜の開花と同じような文化的意味を持つ。 トリニダード・トバゴの人々はポートオブスペインのクイーンズパークサバンナによく訪れ、落ち花のじゅうたんの上にブランケットを広げ、木の下でピクニックをする。
イースターの時、伝統的に凧揚げがある。ポウイの木を背景にたくさんのカラフルな凧が舞う様子は、トリニダード・トバゴらしい光景である。クリケットのチームが週末の試合を楽しんでいて、ポウイの枝が試合を応援しているかのように揺れるのも、また同様だ。
都市でも地方でも国中の丘にポウイの花は咲く。下の写真はアナナス科の植物の宿主となっている黄色のポウイの写真であり、トリニダード・トバゴ北東の沿岸にあるマテロットの集落で撮られたものだ。
とても魅力的なポウイの開花は年に1度、希望と再生を思い起こさせるものであり、カリブ人の春にとってもっとも密接な関係がある。