厳しい乾季 [1]（訳注：カリブ海諸国は雨季（5月～10月）と乾季（11月～4月）に分かれる。原文掲載日は2014/5/17）が続いているトリニダード・トバゴ [2]では、 頻繁に発生する山火事 [3]により、国全域の丘陵斜面が、傷つけられ貧相な状態になっている。
その一方で、乾季の宝石のような存在であるピンクや黄色のポウイの木 [4]は輝き続け、最高に素晴らしい時を迎える。そして同時に、国中が雨を心待ちにしている。雨の訪れとともに緑の山々は再生するのだが、 過去に国を麻痺 [5]させてきたような洪水 [6]をおこしうる削剥作用
（訳注：地表の露出）は起こらないでほしいと思っている。
ポウイの木。FlickrユーザのHumberto GEによる写真。
CC BY-NC-ND 2.0
黄色のポウイ。FlickrユーザーGeorgia Popplewellによる写真。彼が言うには、「黄色のポウイの開花は一般的に乾季の終わりを示す。しかし、何が最近の天気を左右しているかなんて、本当のところは誰にもわからない」 CC BY-NC-ND 2.0
トリニダード・トバゴにおけるポウイの開花は日本での桜の開花 [7]と同じような文化的意味を持つ。 トリニダード・トバゴの人々はポートオブスペイン [8]のクイーンズパークサバンナ [9]によく訪れ、落ち花のじゅうたんの上にブランケットを広げ、木の下でピクニックをする。
ポウイのじゅうたん。Flickrユーザーjaninephotoの写真。
CC BY-NC-ND 2.0.
ピンクのポウイの花。Flickrユーザーjaninephotoの写真。CC BY-NC-ND 2.0.
チェリーポウイ。Flickrユーザーjaninephotoの写真。
CC BY-NC-ND 2.0.
イースター [10]の時、伝統的に凧揚げがある。ポウイの木を背景にたくさんのカラフルな凧が舞う様子は、トリニダード・トバゴらしい光景である。クリケット [11]のチームが週末の試合を楽しんでいて、ポウイの枝が試合を応援しているかのように揺れるのも、また同様だ。
凧とポウイの木。FlickrユーザーNicholasの写真。CC BY-NC-SA 2.0.
ポウイフレア。Flickrユーザーjaninephotoの写真。CC BY-NC-ND 2.0.
都市でも地方でも国中の丘にポウイの花は咲く。下の写真はアナナス科 [12]の植物の宿主となっている黄色のポウイの写真であり、トリニダード・トバゴ北東の沿岸にあるマテロットの集落で撮られたものだ。
マテロットポウイ。FlickrユーザーNicholas Laughlinの写真。CC BY-NC-SA 2.0.
とても魅力的なポウイの開花は年に1度、希望と再生を思い起こさせるものであり、カリブ人の春にとってもっとも密接な関係がある。